藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

いよいよ始める。

*[ウェブ進化論]リーダーが動く。
FTより。
アマゾンのベゾスが個人で一兆円余りを気候変動対策に拠出するという。
またその行動の元になったのは従業員のサークルだとも。
そして記事は
シリコンバレーに代表される米産業界が、地球温暖化を科学的に解決する方法を真剣に模索しはじめたことを示す証拠だからだ。
と指摘している。
裏を返せば、今世界トップを占める企業たちや、アメリカそのものも「環境」には反応が鈍かった。
つまり「本気ではなかった」ということだろう。
「稼ぐが勝ち」という態度で、未だに租税回避地に本社をおいて節税している大企業も多いが、いよいよ風向きが本当に変わるのが今年あたりではないだろうか。
新種のウィルスも蔓延(はびこ)るし、異常気象もいよいよ進んで、2020年は環境元年と呼ばれるのではないだろうか。
 
 
[FT]アクティビスト従業員台頭、ベゾス氏基金設立に影響 
 

 
    アマゾン創業者ベゾス氏は気候変動に100億ドルを拠出すると発表した(1月、インド)=ロイター 
個人が気候変動に投じる額としては史上最大規模で、ほかのフィランソロピスト篤志家)が挑戦したことのない取り組みが始まる。基金は「自然保護や環境保全に役立つ可能性のある取り組みを行う科学者や環境活動家、非政府組織(NGO)などを財政的に支援する」という。称賛に値する動きだ。
 
だが、ベゾス氏の発表から間髪を入れずに、環境アクティビストたちからは非難の声が上がった。ベゾス氏が経営するアマゾンは、特に温暖化ガスの削減に取り組んできた訳でもなく、顧客に対して化石燃料からの脱却を求めてきた訳でもないからだ。アマゾンは最近までほかの大手企業よりも気候温暖化対策で出遅れていた経緯があり、ベゾス氏の環境派宣言を苦々しい思いで受け止める人たちがいるのも無理はない。
 
しかし、今回のベゾス氏の動きを軽視するのは間違えだ。金額が1兆円以上と巨額だからではない。
 
理由は3つある。まず第一に、ベゾス氏の発表が米政財界が地球温暖化問題に真剣に向き合い始めたことを意味するからだ。
 
2つ目の理由は、シリコンバレーに代表される米産業界が、地球温暖化を科学的に解決する方法を真剣に模索しはじめたことを示す証拠だからだ。ほかには、米マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏が次世代原発技術の開発を支援したり、米セールスフォース・ドットコムの創業者マーク・ベニオフ氏が数兆本の植林に挑んだりしている例がある。シリコンバレーの起業家たちは、イノベーション(技術革新)が問題を解決する魔法のツエを生み出すという考え方が大好きだ。
 
3つ目は、ソーシャルメディアを通じた抗議活動が威力を発揮した事例だからだ。昨年、アマゾン従業員の一部がベゾス氏に対して地球温暖化対策を強化することを求めるオンライン活動を立ち上げた。名称は「アマゾン・エンペロイーズ・フォー・クライメット・ジャスティス(AECJ、環境正義を求めるアマゾン従業員たち)」だ。
 
アマゾンは従業員管理に厳しい会社として知られ、当初はこうした運動は効力を持たないと思われていた。だが、AECJはソーシャルメディアをうまく利用して、社員の間で支持者を増やしていった。そして昨年末、従業員が大規模な抗議運動に踏み切るという直前になって、アマゾン経営陣は温暖化ガスの排出量を減らす取り組みを相次いで発表したのだ。
 
だが、まだAECJは満足していない。アマゾンに対して温暖化対策を強化するよう圧力をかけ続けている。ベゾス氏の発表を受けて、AECJは「アマゾンはいつ環境を破壊する石油やガス会社の支援をやめるのだろうか。アマゾンはいつ地球温暖化を否定するシンクタンクへの金融支援をやめるのだろうか」という声明をソーシャルメディアに掲載した。
 
気候変動に対するアマゾンの姿勢転換には、目を見張るものがある。米大手企業の経営陣はこの前例に注意を払う必要がある。AECJの成功をみて、ほかの会社でもアクティビスト(環境活動家)従業員の活動が勢いを増す可能性があるからだ。
 
By Gillian Tett
 
(c) The Financial Times Limited 2020. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
 
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