藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ウェブの力。

改めて、吉本隆明氏の講演コンテンツが無料で配信されるという件で。

あらためてショックを受けたというか、ついにウェブの奔流が来た、と思っている人は多いのではないだろうか。
これまでも少なからず、メールや通信の即時性とか、不特定多数・世界中への映像配信とかウィキペディアとか、"これがウェブか"と驚かされてきた。
これまでは専ら「スピード」とか「汎用性」とか「広汎さ」が常に特色だったと思う。
いまでも著作権の有効な書籍とか論文とか、映像作品なども「無料」という概念からは外されてきた。
それを職業にしている人の作品だから、当たり前といえば当たり前である。

ただその当たり前があるコーナーから徐々に崩されていくとしたら、それはまたウェブの力だと思うのである。
アナログの輸送・伝達システムではなし得ない瞬発力をネットワークは持っている。
もしそこに「先に」有用なコンテンツが「無料で」流れていくようなことがあれば、これまでのウェブのビジネスモデルは覆るのではないかと思う。

有志による知的なコンテンツが、むしろこぞってウェブに上がり、スポンサーか、あるいは視聴者が後から評価して料金を支払うとか。
次の時代のコンテンツは、「まず閲覧してから買う」という現代とは1ステップ高度で紳士的なものになる可能性があるのではないだろうか。
「立ち読み歓迎」の書店が今でも大人気なように、「まずは読んで、まずは観てください」という製作者が、結果的には損をしないような時代がくれば、これは大きな文明の進化ではないだろうか。

自分は気質的にもそういう互恵的な仕組みが大好きである。
権利や法律であえて武装せずとも、コンテンツが流通する社会では一層、創造活動が活発になるのではないだろうか。