藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

良い部分もあるんじゃないかな。加速する意思表示。


ソーシャルメディア、特に'ライン中毒'が言われるようになってしばらく経つ。
即時性と秘かなグループ性が今の時代に受けているのだろうなと思っていたらもう少し違う理由があるらしい。
スマホ中毒で睡眠時間が減るというの(くらい)は、自分たちの若い頃のゲームやギャンブルへの耽溺とあまり性質は変わらないと思う。
多くはそのうち瘧が落ちたように見向きもしなくなる場合が多いだろう。

授業や部活動、アルバイトを休むなど愉快ではない連絡をしなければならないとき、一番楽なのはLINEやメールなどを使うことだ。
(中略)
LINEやメールは相手の反応を見たり聞いたりせずに済む。拒否されたり、文句や小言を言われたりといった相手の反応を極小化できるため、自分は傷つかずに済む。

ここまで読んで自分が「何だ今の若者は。意気地のない。」と思うかと思ったら違うく。
もう何年も年賀状は書かず。
必要な年賀もメールで。
だって会社同士でもそうしているし。
アポイントのお願いもメールで。
面談のお礼もメールで。
見積りもメールで。
お断りもメール。

自分もあまり中高生と違わないのではないか。
そんな風に社会全体が便利に軽薄化しているのだろう。

子どもたちは「傷つきたくない」と考えている。不快なこともまとめて引き受けて責任を果たすのが大人だが、子どもたちは相手からの反応を受け止めず、スマホの電源を落とすように、関係性を自分から打ち切ってしまおうとするのだ。

そんな心情も正直分かる。
お互いに「謝り謝られ」顏付き合せてこそ人情じゃない、とも思うが「どうせその結果」なのであれば余計な辞宜は省きたいな、と正直思う自分もいる。

記事では「自転車に乗るように」危険なこともあるけれど、マナーと技術を大事にしよう、と指摘されているが正にそうした新感覚とも言えるマナーの常識が確立されてくれば、意思決定は今の社会よりもずい分早く、はっきりしたものになるだろう。

外国の友人に「やはり日本人の意思表示は分かりにくい」と言われるけれど、ネットやソーシャルメディアはそういう曖昧さを結構くっきりとさせてくれる効用もあるのではないだろうか。

若者に学ぶ部分もあるある、と思いました。

睡眠と勉強削ってスマホ 「ソーシャル中毒」の処方箋
ソーシャル新人類の不夜城(11)

2014/7/8 7:00
ニュースソース
日本経済新聞 電子版
ITpro
 高校生のソーシャルメディアの利用時間は1日平均1時間以上――。利用時間を捻出するために犠牲になるのは、睡眠や勉強時間だ。そして授業や部活、アルバイトを休むなどの気の重い連絡は、LINEやメールで済ましてしまう。今や「不夜城」と化したソーシャルメディアから、子どもたちを守るにはどうしたらいいのか。その処方箋を、元小学校教員でIT(情報通信)ジャーナリストの高橋暁子氏が解説する。今回は、ソーシャルメディアに依存しリアルなコミュニケーションが取れなくなりつつある子どもたちへの対処法について述べる。

ソーシャルメディアを使う時間が増えた結果、睡眠時間や勉強時間が減っている(写真はイメージ)
ソーシャルメディアを使う時間が増えた結果、睡眠時間や勉強時間が減っている(写真はイメージ)

 スマホの普及によって子どもたちはインターネットやソーシャルメディアなどのサービスを以前よりも簡単に使えるようになった。では子どもたちは1日どのくらいソーシャルメディアやネットの利用に時間を割いているか、あなたは知っているだろうか。

 総務省情報通信政策研究所が2014年5月に公開した「高校生のスマホ・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査<速報>」によると、スマホや一般的な携帯電話を使ったネット利用のうちで利用時間が一番長いのは「ソーシャルメディアを見る」だった(男37.3分、女74.4分、平均57.2分)。

 「ソーシャルメディアに書き込む」も、男21.2分、女41.4分、平均32.0分と、利用時間は長くなっている(図1)。これだけの長い時間をソーシャルメディアなどに使っている分のしわ寄せは、別のところに現れる。

図1 スマートフォンフィーチャーフォンでの平均利用時間(2014年5月、「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査<速報>」より)
図1 スマートフォンフィーチャーフォンでの平均利用時間(2014年5月、「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査<速報>」より)

SNSのために睡眠と勉強時間を削る

 スマホ利用開始により減った時間については、「睡眠時間」という回答が40.7%と一番高く、次に「勉強時間」が34.1%と多かった(図2)。これは高校生だけの話ではない。

図2 スマートフォン利用開始により減った時間(2014年5月、「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査<速報>」より)
図2 スマートフォン利用開始により減った時間(2014年5月、「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査<速報>」より)

 情報通信政策研究所が2013年6月に公開した「青少年のインターネット利用と依存傾向に関する調査 調査結果報告書」によると、ネットのために犠牲にしている時間については、やはり「睡眠時間」という回答が高校生の48.1%、中学生の33.7%、小学4〜6年生でも12.3%いた。

 さらに、高校生の46.6%、中学生の40.3%、小学4〜6年生の17.0%が、「勉強時間」が減少したと回答している(図3)。中高校生の実に約3割から5割が、睡眠時間や勉強時間を削り、ソーシャルメディアやネットに時間を費やしているわけだ。


 子どもたちの多くは、自らをコントロールして日常生活に支障ない範囲でネットを利用するといったことができていない。個人差はあるにしても、ネット依存あるいはソーシャルメディア依存に近い状態にある子どもたちが多いと言えそうだ。依存状態になると、身体的にも精神的にも悪影響が出て、学業のほか家族や友人との人間関係にも支障を来す可能性がある。

 なぜ彼らは、これだけの長い時間をネットとソーシャルメディアに利用しているのだろうか。

■「傷つきたくない」からスマホを使う

 取材などを通じて子どもたちと話をする中で、筆者には、最近の子供たちにリアルなコミュニケーションを避ける傾向があると考えている。嫌なことや言いたくないほど、メールやメッセージで済まそうとするのだ。

 先日、あるテレビ局の職員から、高校生とのやり取りに関わるこんな愚痴を聞かされた。

 「ある女子高生が取材OKと言っていたのに、向かってみると待ち合わせ場所に来ない。横浜まで出向いていて、放送日も決まっている上、後の取材もつかえているので焦って電話をかけたが電話には出ない。その後、LINEで『やっぱりやめます』と送ってきたので驚いた」。

 このときは、繰り返し電話をかけてようやく通話ができ、何とか呼び出して撮影したという。LINEやメールで連絡を取って、気軽に責任を放棄する子どもたちについて、これと似た話をよく耳にする。

約束のキャンセルなど、気まずい連絡ほどLINEやメールで済まそうとする(写真はイメージ)
約束のキャンセルなど、気まずい連絡ほどLINEやメールで済まそうとする(写真はイメージ)

 授業や部活動、アルバイトを休むなど愉快ではない連絡をしなければならないとき、一番楽なのはLINEやメールなどを使うことだ。高校生は「(交際相手と)別れる」「謝罪」をメールで済ます割合が高い(各30.0%、34.7%)という調査結果があったが(マクロミル調査、2009年)、これも根っこは同じだ。

 LINEやメールは相手の反応を見たり聞いたりせずに済む。拒否されたり、文句や小言を言われたりといった相手の反応を極小化できるため、自分は傷つかずに済む。

 子どもたちは「傷つきたくない」と考えている。不快なこともまとめて引き受けて責任を果たすのが大人だが、子どもたちは相手からの反応を受け止めず、スマホの電源を落とすように、関係性を自分から打ち切ってしまおうとするのだ。

■満たされない承認欲求をネットに求める

 もう一つ今の子どもたちに見えている傾向は、この連載でも何度も述べてきた「承認欲求の強さ」だ。子どもたちは常に、誰かに認められていなければ我慢できない。

 これらはソーシャルメディアがなかった時代には、友人や恋人、あるいは部活動や学業、アルバイトなどで得られていた感情だったはずだ。密なコミュニケーションを経て家族以外の他人に受け止められたり、不安や欲求を昇華させて努力し、役割を果たし、成果を出すことで認められたりしてきたはずだ。

 ところがその部分が、ソーシャルメディア上では安易にかなえられる。だからこそ、子どもたちはソーシャルメディア上での目に見える承認を求め続ける。

 認められたい世代だからこそ、つながりたい欲求も強い。子どもたちはソーシャルメディアに向かい、既読が着いたらすぐに返事を求め、「いいね!」やリツイート、PV(ページビュー)を期待する。友人や恋人だけでなく、特定多数の誰かに常に承認してもらいたいという欲求には際限がない。

 子どもたちにとってソーシャルメディアは、快楽とつながっているところである半面、不安もあるところだ。ソーシャルを通じて仲間はずれになる不安や、陰口をたたかれる不安がいつも彼らを追い詰める。

 普段持ち歩く端末からは、常に休むことなく承認を迫られ、不安を突きつけられる。不安から逃れるには反応を続けるしかない。それが、ソーシャルメディア依存の一つの正体だろう。

■自転車の乗り方を教えるように

 子どもはソーシャルメディアやネットの危険性を知らない半面、操作する技術にはたけているため、問題が複雑化する。しかも周囲の大人たちは子どもたちが危険にさらされている実態を理解していないため、防ぐための意識は働かず、子どものいいなりにそれらを利用できる環境を与えてしまっている。

 子どもに請われたからと言って、自分がその実態を理解していないものを渡していいのだろうか。使い方次第では、子ども自身が危機にさらされ、他人をも巻き込んでしまう可能性がある。

 ただし、危険だから取り上げるだけでは問題は解決しない。子どもは友だちに借りたり、友人から情報を得たりして、あの手この手で利用しようとする。それなら、禁止するのではなく、リスクや危険性などについて正しく教え、危険に遭わないような仕組みを用意してやるべきではないだろうか。

 自転車は事故に遭う危険があるから子どもに乗らせない、という保護者は少数派だろう。安全な場所で乗り方を教え、練習させて、交通ルールについて教えてから公道に出られるようにしたはずだ。ソーシャルメディアやネットでも、それと同じような対応を親が考えなくてはならない。

 これまで本連載では、様々なネットやソーシャルメディアの事件や危険性などについて具体的に述べてきた。新聞などで報じられる事件や記事、講演、書籍などから学ぶのもいい方法だろう。

■「本当はやりたかったこと」を考えさせよう

10代の時期はリアルなコミュニケーション力を伸ばすべき時(写真はイメージ)
10代の時期はリアルなコミュニケーション力を伸ばすべき時(写真はイメージ)

 ソーシャルメディアは、使い方次第で人間関係や可能性を広げるとても有効な道具だ。その半面、使い方が難しく、子どもたちを支配してしまう側面もある。ソーシャルメディア運営会社はビジネスとしてサービスを提供しており、何回もログインさせて利用頻度を上げるようにしている。

 「LINEはすぐに既読つけて即返しなきゃ友だちに嫌われる」と言う中高生の声を筆者は聞いてきた。「A子がいないグループではA子の悪口を言ってる。私のいないグループでは私の悪口が言われてるかもしれない。だから嫌われないようにがんばらなきゃ」と必死にLINEを続けている女子中学生を知っている。

 しかし本当の人間関係を確立できていれば、LINEでのやり取りだけで簡単に壊れることはない。簡単に壊れない人間関係を築くことが大切であることを、子どもたち自身が知らなければならない。

 もし自分の子どもがソーシャルメディアにはまっていたらどうすればいいだろうか。まず、本当はやりたいと思っていたことや、ソーシャルメディアやネットを始めるまでやっていたことを振り返らせてみよう。

 高校2年生のB美はこう振り返る。「スマホを持ち始めてから、頑張っていた部活を辞めてしまった。LINEに夢中になって、朝練と午後練があるきつい部活が続けられなくなった。まだ残っている子は楽しそうで、レギュラーになった子もいる。なのに自分はLINEの既読スルーで嫌な思いをしている」――。

 ネットコミュニケーションは感情が伝わりづらく、コミュニケーションが難しい。だからこそ絵文字や顔文字、LINEスタンプなどが支持されたという背景がある。こうした、「誤解を受けないようにネットでコミュニケーションする能力」は重要かもしれないが、その前段階として、10代の時期はリアルなコミュニケーション力を伸ばすべき時ではないだろうか。

 傷つくことは誰でも怖い。けれど、他人と真剣に衝突する経験を通してこそ、本当の意味で誰かに承認され、受け入れられる存在になれるはずだ。

 保護者は、子どもたちと実際に会話や対話をする機会を増やすべきだろう。そして、体を動かしリアルに何かを体験する機会を多く用意してあげてほしい。ネット以外の世界を知り、能力を身に付けること。それが、ソーシャルメディア依存を減らす一つの方策になるはずだ。


高橋暁子(たかはし・あきこ)
 ITジャーナリスト、情報リテラシーアドバイザー。SNSなどのウェブサービス、子どもの携帯電話利用をはじめとした情報モラル教育、電子書籍などに詳しい。元小学校教員であり、昨今の教育問題にも精通している。本や記事の執筆のほか、携帯電話やSNSなどをテーマに講演、セミナー、監修、アドバイザーなども手がける。近著は『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)、『ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条』(共著、マイナビ)。

[ITpro 2014年5月21日付の記事を基に再構成]