藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

顔なしはワンクリック。

大手住宅メーカーが揃って業績を伸ばしているという記事。
少し前から「ネットの効果とは何か」ということを考えているのだけれど、記事中にもあるようにネットで取引が活発になった「リアル商材関係」の業界が伸びている。
賃貸アパート、コンビニ、物流施設などが主役で、人口減を現して戸建住宅そのものの需要は減っているというから、何となく原理的には想像がつく現象である。

今の時代「顔の見えない相手から買う商品」はショートカットが進んで、クリック&当日になってきた。
本や家電や日用品は完全にそんなカテゴリーに入った。
やはりインターネットはそうした「顔なし」を極端に加速させる存在であり、逆に「顔が見たいもの」に対しては大した影響は出ていない。

買う際に「相談が必要なもの」とそうでないものに分かれて、日本の多くのメーカーの商品は「そうでないもの」になっているのだと思う。
それは店頭でいちいち現物を手にとって確かめなくても心配がない、国産メーカーの品質も後押ししている。
良い意味での省力化が進んでいると言えると思う。

逆に、自分たちが「色々とアドバイスを受けて」決定したいものについては、ますます「人的品質」が先鋭化してもいる。
例えば(保険の商品とか、住宅とか高齢者施設とか、あるいは就職とか結婚とか)「複雑なもの」についてはますますアドバイスの品質が求められている時代でもある。
そりゃ考えてみれば「答えが出しやすいもの」は極力手間を省くのは合理的な話だし、また「答えがはっきりとはしないもの」についてはより考えるプロセスは重視されて来るのは当然だ。
単にモノを買う、というのはこれからも範囲を広げて「クリック化」が進み、またクリックできないものについてはその質を競うことが進んでいくのに違いない。
自分たちの仕事もそんな流れで求められていくのだろうと思う。

2014.11.30 15:00
【ビジネスの裏側】消費税も何のその そろって「売上高2兆円」 大和、積水が勝てる理由

大和ハウス工業が出資するサイバーダインの歩行支援ロボット「HAL(ハル)」を着用する社員=大阪市北区(西川博明撮影)
 戸建ての売れない時代に住宅メーカーが過去最高の業績-。住宅各社が4月の消費税増税前の駆け込み購入の反動減に苦しむなか、大阪に本社を構える大和ハウス工業積水ハウスが売上高や最終利益などの記録更新を見込んでいる。戸建て住宅の受注不振という経営環境は同業他社と同じだが、好調な両社に共通するのは主力の不振をカバーしてあまりある別事業を育てておいた多角化戦略だ。

 住宅以外で1兆円超

 「戸建ては消費税の影響で厳しいが、過去最高の更新は間違いなくいける」

 住宅最大手、大和ハウス工業の大野直竹社長は、平成27年3月期の業績について自信が揺らぐ気配を見せない。

 消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減が響き、住宅各社の戸建て住宅の受注は昨年10月以降、前年割れが続く。大和ハウスも例外ではなく、昨年11月から今年10月まで12カ月連続のマイナスとなった。

 ところが、平成27年3月期の連結業績予想(11月現在)は、売上高が前期比3・7%増の2兆8千億円、最終利益も同5・8%増の1080億円と、いずれも過去最高を更新する見通しだ。創業60周年を迎える28年3月期の経営目標(売上高2兆8千億円、最終利益1千億円)を1年前倒しで達成することになる。

 なぜか-。事業別の売上高をみると、やはり反動減を織り込んで主力の戸建て住宅は同7・5%減の3650億円を想定。ただ一方で、賃貸住宅(アパートなど)が同12・8%増の7770億円、物流などの事業施設が同0・1%増の5930億円、コンビニエンスストアやドラッグストア店舗など商業施設が同3・3%増の4360億円と増収を見込む。

 つまり好業績を支えるのは事業の多角化だ。

 昭和30年に創業した同社はあらかじめ工場で部材を製造し、現地で組み立てる「プレハブ工業住宅」のパイオニアとして知られる。本業はあくまで「戸建て住宅の建設」(大野社長)だが、経営基盤の強化のため事業多角化を進めており、賃貸住宅や事業施設、商業施設の「ハコモノ建設」は創業時から培ったプレハブ住宅の技術を進化させた延長線上にある事業だ。

 同社の稼ぎ頭となった賃貸住宅事業は、来年1月に迫る相続税課税強化を踏まえ、土地の有効活用を見直す土地・建物のオーナーの存在が大きい。新築・建て替えの需要が増えたほか、「女性の社会進出が進んだことを背景に、大都市圏を中心に賃貸住宅そのものの需要が高まっている」(小川哲司副社長兼CFO=最高財務責任者)とのプラス要因がある。

 加えて、住宅以外の事業施設や商業施設を合わせた売上高は1兆円を超える。事業施設は、インターネット通販市場の急拡大で国内の物流施設の需要が高水準で推移している。建設するだけでなく、運営にも乗り出しており、新たな収益源として期待されている。

 コンビニエンスストアなどの商業施設は「出店競争が激しい」(大野社長)という旺盛な需要に支えられている。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による景気回復が企業の投資意欲を促す効果もあり、住宅以外の事業が好調だ。

 大野社長は「戸建て住宅事業は正直しんどいが、業績のさらなる上ぶれを目指したい」。約40年後の創業100周年には売上高10兆円企業を目指すという創業者の石橋信夫氏の遺言もある。このため、最近では医療・介護や住宅点検などのロボット事業などにも積極的に参入し、次世代の主力事業の育成に余念はない。

 「住まい」軸に稼ぐ

 一方、住宅業界で売上高2位の積水ハウスも負けてはいない。

 平成27年1月期連結業績予想(今年11月時点)では売上高が前期比5・8%増の1兆9100億円で5期連続の過去最高を更新、最終利益も同11・5%増の890億円と4期連続の過去最高益更新を狙う。

 主力の戸建て住宅は国内トップシェアだが、昨年10月から13カ月連続の前年割れに苦しむ。

 ただ、他社に比べて「富裕層が多い」(住宅アナリスト)という顧客層に支えられ、相続税対策の需要を背景に賃貸住宅事業の売り上げを伸ばし、収益面をカバーしている。27年1月期で戸建て住宅事業は前期比20・8%減の4100億円となる一方、賃貸住宅事業は同15・1%増の4100億円を見込む。

 2年後の29年1月期は売上高2兆200億円、最終利益1030億円へそれぞれ伸ばす計画で、こちらも「売上高2兆円企業」を射程圏に入れている。

 積水ハウスも主力以外の多角化を進めるが、基本戦略は「住まいを軸としたビジネスにこだわる」(阿部俊則社長)。11月に公表した29年1月期を最終年度とする中期経営計画でも新築住宅を経営の屋台骨と位置付けたが、太陽光発電などで家庭内の電力をまかなう付加価値の高いスマートハウスの普及を進めることを掲げた。さらに3〜4階建ての商品を強化することで戸建て・賃貸住宅の販売拡大を進める。

 さらに、リノベーション(大型リフォーム)や空き家解消を図る中古住宅の関連ビジネスも強化を図り、新たな収益源も育てる。マッスル(大阪市)と介護用ロボットの開発を進めるなど新規事業のタネをまくことも忘れない。

 ともに戸建て住宅事業を主力として成長してきた大和ハウス積水ハウス。さらなる収益源を開拓するため、今後は海外展開も加速させる方針だ。(西川博明)

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