藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

マイナスの予測計算だけじゃなく。

年金のこととか少子化の報道を目にしない日はない今日この頃。
それにしても明るい話題の少なさには閉口する。(明るい話題はニュースになりにくいのだと思うが)
「年金破綻」「老後破産」「介護難民」ともう楽しいことはないぞ、と言わんばかりだ。
まあいざというときに慌てるなという警告だと思うがそれにしても下向き過ぎる。

そしてついに"アラフィフ"という言葉が出現し、それに該当している私。

ビジネスキャリアについては、ここから年収が何倍にもアップすることはあまりありません。職場での昇格・昇進レースの行きつく先も見当がつき始めているはずです。

とか

「今の年間貯金額のペースをひとまず15倍してみます。 」

50歳というのはそういう時期なのだ。
二十歳前後で社会人になって四十年くらい働く上では、五十歳というのは「残り三分の一」という終盤戦なのは間違いないけど、このままあと十年で悠々自適とはいくまい。
だからといって六十以降に「後幾ら必要か」という計算をあまり若い時からしているのもジジムサいというものだ。
70歳まで働く方法とか、そのための仕事をあっせんするようなことを考えるべきだと思う。
「もし90歳まで生きたらあなたは破たんします」などと大きなお世話というものである。

アラフィフ45歳 定年までの収支を先読み
「5」の年齢で人生とお金を考える(3)2015/10/20 6:30日本経済新聞 電子版
 今月は「5」の年に人生とお金の問題を整理してみようというテーマです。アラサーと呼ばれるようになる25歳、アラフォーと呼ばれるようになる35歳の人生とお金のテーマを考えてきました。
 「30歳」になって考えるより少し早回りして「25歳」でお金のことを考えたり、「40歳」になって焦る前に「35歳」のうちから一歩先んじてお金のことを考えようとアドバイスしてきました。
 次の世代はアラフィフの入り口、「45歳」です。50歳前後のカテゴリーに入る年齢でも、「5」の年に考えるべきことがあります。
45歳は定年となる60歳までにどれぐらい貯金できるかを考えるいいきっかけになる

■人生のできることできないことがほぼ見えてくるアラフィフ
 アラフィフというのは人生の可能性が無限に広がっている年齢ではありません。むしろ働ける時間は限られてきて、仕事でなすことのできる可能性も狭まっていきます。
 ライフプランにおいては、これ以降の年代では既婚かシングルかの方向性がほぼ固まってきます。45歳を過ぎておひとりさまが結婚する可能性はかなり下がってくるからです。
 同様に、アラフィフになってようやく子育てがスタートする可能性も下がっていきます。子どもの人数が増える可能性より、今いる子どもをしっかり卒業させていくまでのお金の問題に注力していくことになります。
 住宅購入も「これから」のテーマから「すでに組んだローンをどう返すか」というテーマに移っていきます。確定した債務はまだ高額が残っています。
 ビジネスキャリアについては、ここから年収が何倍にもアップすることはあまりありません。職場での昇格・昇進レースの行きつく先も見当がつき始めているはずです。
 ……と、いきなり書き始めると何やら楽しいことがないような年代に思えますが、悲観することばかりではありません。45歳はむしろ「自分のできることとできないことが分かる」年齢でもあるからです。
 自分の人生でできることや、やらなければならない課題をはっきりさせることができれば、その目標に向かって効率よくダッシュすることもできます。そしてそのための時間はまだ十分に残されています。
 アラフィフの入り口にさしかかって考えてみたいお金のポイントをまとめてみましょう。
■残り15年の収入と現状での貯蓄見込みを概算する
 まずは定年となる「60歳までに稼げる額」を考えてみます。今、夫婦が(シングルなら自分ひとりが)定年退職までに稼げる総額を考えてみます。昨年の年収の15倍をまず考えてみて、まずこの金額を維持することを第1目標に据えて実現性を考えてみます。
 次に「60歳までに稼げる額」はどこまで上積みが可能か考えてみます。非現実的な高望みは禁物ですが、今の仕事をがんばったら獲得できそうな昇格分くらいは見込んでもいいでしょう。子育て中であった専業主婦が共働きに戻ることができると数千万円単位で稼げる額がアップすることもあります。
 この「60歳までに稼げる額」という数字は定年までで稼げる額であると同時に、これからの人生でこれ以上の出費は許されないという上限でもあります。また、ここから老後のための貯金も確保していかなければならない厳しい予算枠なのです。
 次に考えてみるのは「60歳までにためられる額」です。60歳までにどんなに稼いでも、その金額が全額残るわけではありません。ここから60歳までのあいだにもたくさんの支出がありますので、現実的に残すことのできる「60歳までに貯められる金額」についても考えてみる必要があります。
 今の年間貯金額のペースをひとまず15倍してみます。年間50万円ためているなら750万円、年間100万円ためているなら1500万円です。
 60歳までに重要なのは「稼ぐ額を増やす」努力と同時に「ためる額を増やす」意識を高めることです。そうしなければお金は右から左に流れていく15年を過ごすことになってしまいます。
 仮に年収が現状維持のままでも、節約さえ成功すればためる額は増やすことができます。「稼ぎを増やす」と「出費を減らす」の2方面から、ためる額を増やす方法を考えてみましょう。
 今ある資産額に、残り15年でためられる貯金額を合計したものが60歳時点での資産額、ということになります。
■現状想定される債務への対応状況を整理する
 さて、60歳までの「想定貯金額」がどれだけ高額であっても、全額が残るわけではありません。60歳までにかかる「想定出費」も考え合わせる必要があります。
 仮に日常生活のコストが変わらないとすれば、新たに生じる費用がこの想定貯金額を減額させていくことになります。たとえば
・子の進学費用(予備校や塾の費用、受験費、入学金、学費などが生じることになる)
・定年時点で返済が終わっていない住宅ローン残高(今返済中のローンは60歳までの収支にすでに織り込まれているので、60歳時点の残債を考えてみる)
 などがライフイベント上大きな出費です。45歳時点でまだ高校や大学に進学していない子どもがいれば、ひとりあたま「900万円前後」を、60歳時点で返済が終わらない住宅ローンについては「60歳時点での借入残高」を想定貯蓄額から引き算します。
 ほとんどの場合、たくさんためる努力をしているつもりが、残り15年のうちに教育資金や住宅ローンに消えていき、老後に残せないことでしょう。ほとんど老後に残せないという事実にがくぜんとします。
 もし、ここで赤字になる、ということは退職金にツケを送ってなんとかする、ということですし、その赤字が1000万円以上であれば、退職金でも返し終わらないリスクがある、ということです。
 しかし、ここまで数字が概算できると話は簡単です。とにかく赤字にはしない工夫を考えてみるのです。もう一度振り返ってみて生涯獲得賃金をアップする方策を再検討したり、60歳までの貯蓄額をアップさせるための節約を考えてみることになります。
 できる限り退職金には手をつけず、セカンドライフに入ることが大切です。「45歳から60歳になるまでの15年の収支」を大まかにつかんでみることをオススメします。
■45歳は老後に向けて行動を起こす良いタイミング
 本日紹介したような人生の収支を概算してみると、たいていは厳しいシミュレーション結果になりますので、結果が悪い試算になってもあまりおびえる必要はありません。
 むしろ危機意識が具体的になったほうが、なんとなくアラフィフを過ごす10年より格段によい10年を過ごすことができることでしょう。もちろん、60歳時点の自分の財政が好転するよう有意義な時間とすることが前提です。
 45歳というのは「60歳までのお金の問題整理に使う15年」という時間を得られることと「60歳以降のお金の問題整理に使う15年」という時間を確保できることの両面で良いタイミングにあります。
 50歳や55歳ではお金をためたり、節約をするとしても、できる選択肢が少なくなっていきます。
 ぜひ「45歳」で意識を高め行動をスタートさせていきましょう。「50歳」になったとき、余裕をもって残りの10年のハンドリングができるはずです。



山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、1級DCプランナー、消費生活アドバイザー企業年金研究所、FP総研を経て独立。商工会議所年金教育センター主任研究員、企業年金連合会調査役DC担当など歴任。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。論文「個人の老後資産形成を実現可能とするための、退職給付制度の視点からの検討と提言」にて、第5回FP学会賞優秀論文賞を受賞。近著に『20代から読んでおきたい お金のトリセツ!』(日本経済新聞出版社)。twitterでも2年以上にわたり毎日「FPお金の知恵」を配信するなど、若い世代のためのマネープランに関する啓発にも取り組んでいる(@yam_syun)。ホームページはhttp://financialwisdom.jp