藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

老いを活かす。

老後というのは「定年で働くなってから死ぬまで」ということらしいが、それが「社会の循環」から切り離されて考えられていることが問題だ。

基本的にはもう「生産」はせず社会保障で最期を迎える存在、という定義なのである。

だから生産をせず、死ぬまでの費用は幾らか?という話に終始する。
老後の夫婦は月に24万円の生活が必要だというが果たしてそうだろうか。
老後の生活スタイルもそうだし、また60歳とか65歳とかにこだわらず、健康な間は社会参加するのが自然な試みに違いないとも思う。
起業したりするだけでなく、長年生きてきた経験は活躍の場を失っているのではないだろうか。
「ナレッジ」といとどうもビジネス臭がするけれど、年長者の知見がもっと自然に生きるようなことは、今のIT技術を活用すればどんどんアイデアが出てくるのに違いない。
自分もこれからはそんな仕組みのことを考えて行きたいと思っている。
若い世代に負担だけがかかるというのでは年の取り甲斐がないじゃないか、と思うのである。

老後資金は本当に3000万円も必要?
フィデリティ退職・投資教育研究所が勤労者3.2万人を対象に行ったアンケート調査によると、「退職後に必要となる公的年金以外の資金総額」の全体平均は約2953万円。やはり老後資金は3000万円必要なのでしょうか。
老後資金に3000万円必要と考える人が多い
みんな老後に3000万円は必要と思っているんだな……
フィデリティ退職・投資教育研究所は、全国の会社員(正規雇用・非正規雇用)、公務員、自営業者を含む勤労者約3.2万人に2014年4月退職準備状況に関するアンケート調査を行いました。

それによると、「退職後に必要となる公的年金以外の資金総額(=必要額)」の平均は2013年より約60万円少ない2952.8万円でした。男性は女性より20%程度高い金額を想定しています。

<「必要額」に対する年齢別・性別の回答> (  )は2013年

■男性
20代  2717.3万円(2827.7万円)
30代  3119.3万円(3017.0万円)
40代  3308.3万円(3210.0万円)
50代  3246.1万円(3291.0万円)
20代  2333.6万円(2546.3万円)
30代  2742.3万円(2899.3万円)
40代  2880.2万円(3035.3万円)
50代  2791.2万円(2945.0万円)
準備額は約600万円
では、退職後の生活に向けて準備している金額を見てみましょう。全体平均は必要額約2953万円の20%に過ぎない598.7万円で、準備額0円が44.8%もいます。それに対し準備額1000万円以上は15.7%です。50歳代でも準備額0円が男性32.1%、女性28.6%、1000万円以上は男性28.2%、女性26.1%です。

退職後の資金準備がなかなか進まない理由の一つに同研究所は、「退職後の生活を楽観している」を挙げています。退職後の生活費水準が退職前の5割と考える人は25.7%、7割と考える人は17.8%です。一般に、リタイアメントプランニングでは、「退職後の生活費は現役時代の7割〜8割」と考えて老後資金計画を立案しますので、生活水準5割はかなり楽観的と言えます。
65〜80歳の必要額は約1700万円
では、退職後の生活費として公的年金以外に必要とする金額を、「家計調査報告(家計収支編)―平成25年平均速報結果の概況―」の高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の家計収支をもとに計算してみましょう。

・収入 21万4863円 (うち社会保障給付 20万309円)
・消費支出 24万2598円
・非消費支出 2万9857円
・収入−支出 ▲5万7592円

社会保障給付=公的年金等とすると、毎月の公的年金では不足する金額は「社会保障給付−消費支出−非消費支出=20万309円−24万2598円−2万9857円=▲7万2146円」です。老後期間15年に必要な生活資金は約1300万円、20年では約1700万円になります。

■老後期間15年(65歳〜80歳の期間)
7万2146円×12カ月×15年=1298万6280円

■老後期間20年(65歳〜85歳の期間)
7万2146円×12カ月×20年=1731万5040円

同じ家計調査をもとに、単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)と高齢無職世帯(総世帯)(世帯主が60歳以上の無職世帯)の老後20年間に必要とする金額を計算すると、単身無職世帯は1000万円程度、高齢無職世帯(総世帯)は1800万円程度になりました。

■単身者
社会保障給付 11万4415円  
消費支出 14万4820円 
非消費支出 1万2133円  
不足分 ▲4万2538円  
→老後期間15年 765万6840円
→老後期間20年 1020万9120円

■高齢無職世帯
社会保障給付 15万8400円
消費支出 21万660円
非消費支出 2万3844円
不足分 ▲7万6104円
→老後期間15年 1369万8720円
→老後期間20年 1826万4960円
一般に「老後に必要な資金は3000万円」といわれていますが、上記と比べるとかなり違います。理由は、次ページで考えていきましょう。
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フィデリティ退職・投資教育研究所が勤労者3.2万人を対象に行ったアンケート調査によると、「退職後に必要となる公的年金以外の資金総額」の全体平均は約2953万円。やはり老後資金は3000万円必要なのでしょうか。


老後資金3000万円と「改正高年齢者雇用安定法」
「いくつまで働くか」それが問題だな……
これまでの計算は、日常をつつがなく生活するための資金です。日常生活費以外に、住宅のリフォームや介護費用、子どもへの援助資金、葬儀費用などの資金も必要です。それらを含めた金額が一般に言う「必要な老後資金は3000万円」なのです。ただし、この一人歩きしている「老後資金3000万円」は60歳定年退職を想定した数字です。

2013年4月1日施行の「改正高年齢者雇用安定法」は、原則65歳までの継続雇用を企業に義務づけました。これにより「老後は65歳以降」となりつつあります。

65歳リタイアということは、現在より老後期間が5年短くなる=必要な老後資金額が減る、ということです。それがどのくらいなのかは、60歳以降の働き方や賃金、退職金、リタイア年齢等により大きく異なります。60歳以降の働き方やリタイア年齢を決めた時点でキャッシュフロー表を作成し、お金の流れを確認することをお勧めします。

2014年5月、政府の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)の有識者会議「選択する未来」委員会は「新生産年齢人口――70歳までを働く人、労働力と考える」を提言しました。60歳定年が65歳定年になり、近い将来70歳定年に(?)。定年退職は蜃気楼のように遠のき、否が応でも「生涯現役」になりそうな……。そのうち「老後資金」という言葉はなくなるのかも知れません。

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更新日:2014年12月10日
(公開日:2013年06月11日)