藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

合理性と健康と

*[ウェブ進化論]健康をおまかせ、の時代。
製薬大手のノバルティスとマイクロソフトがAI創薬で提携するという。
個人ごとに治療法や薬の用量を決める「オーダーメード医療」を実現するとか。
なるほど薬の調合も「その人次第」の時代がくるかもしれない。
 
それにしてもいずれ「自分の健康管理」をAIにしてもらう日が程なくやって来そうだ。
さらにその先には「寝たきりにならない社会」が待っているかもしれない。
そうなったら人は"AI様"にお伺いを立てずには何もできなくなるだろうか。
 
へべれけに酔っ払ったり、たまには好きなだけ揚げ物を食べたりといった人間くさい行動が一切なくなって、誰もがほどほどに運動してバランスよく栄養をとる社会は、どこか不気味な気がする。
 
居酒屋につきものの、病気自慢や健康法なんかの話題が一掃されてしまうのはどこかさみしい。
 
 
  [FT]ノバルティスとマイクロソフト、AI創薬で提携 
 
  2019年10月2日 12:56
 

スイスの製薬大手ノバルティスと米マイクロソフト人工知能(AI)を活用した難治性疾病治療の創薬で提携する。製薬大手とテクノロジー大手による最も広範な提携事例になりそうだ。
 
提携期間は5年で、1年ごとに更新される。主に2つの目的があり、1つ目は資金調達から生産に至るまでノバルティスのあらゆる事業を簡便化するため、AIを活用した新システムを開発すること。2つ目はAIに近年目覚ましい進歩をもたらした機械学習を活用し、ノバルティスの新薬開発の速度と精度を向上させることだ。

 
    ナラシンハンCEOはノバルティスをデータサイエンス企業にする目標を掲げている=ロイター 
ノバルティスのバサント・ナラシンハン最高経営責任者(CEO)は、AIは個人ごとに治療法や薬の用量を決める「オーダーメード医療」の分野で特に有望で、新たな治療が最も効きそうな患者を特定しやすくなると語った。
 

ビッグデータを駆使して研究開発を加速

製薬業界は当初、デジタル技術の医療への応用にほとんど関心を示さなかったが、ここ数年で急速に認識が高まり、英グラクソ・スミスクラインや仏サノフィなど企業がビッグデータを駆使して研究開発を加速させる手法を検証している。
 
ノバルティスはいち早くその可能性に気付き、2018年2月にCEOに就任したナラシンハン氏は同社をデータサイエンス企業にする目標を掲げている。同氏によると、同社は社内の情報を3つの大規模なデータファイルに保存しており、属性の異なるため統合が難しいデータでも簡単に組み合わせて活用できる。同社では約800人のデータサイエンティストとバイオ統計学者が働いている。
 
ナラシンハン氏は今回の提携で、ノバルティスは同業他社を引き離せると期待する。「何としてもこの分野で先頭に立ちたい」と述べ、AIを研究開発や生産、資金調達、販促や調達に活用する構想を示した。さらに「当社のバリューチェーン全体にAIを活用できれば、いずれ大きな差別化につながる」と語った。
 
両社はまず、加齢黄斑変性症、細胞・遺伝子療法、創薬の3つの分野に注力する。スイスのノバルティス本社やアイルランドのダブリンにある同社のグローバルサービスセンターで共同研究を進める。英国の機械学習の権威であるクリストファー・ビショップ氏が所長を務める英ケンブリッジマイクロソフトの研究所も参加する。
 
新薬の発見から実用化までにかかる期間は平均14年、費用は最大25億ドルでここ数十年間ほとんど変わっていない。
 

新薬開発コストを確実に削減

今回の共同研究では3年以内に「目に見える効果」を示せるようにする。ナラシンハン氏は「新薬の発見・開発コストを確実に削減できるようにしたい」と語った。
 
さらに同氏は「当社の大規模な臨床・前臨床データ作成にAIを活用することで、『その薬が特によく効く』患者グループや、薬によって効き目が異なる患者グループを特定できるようになる。それが次の臨床試験(治験)にも有効利用できると考えている」と述べた。
 
その結果、一人ひとりの患者に応じた薬を開発でき、ノバルティスが「医療システムにより優れた価値を提案できるようになる」と期待を示した。
 
By Sarah Neville and Richard Waters