藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

寿命の先に

*[次の世代に]*[医療]中身が大事。
日経より「高額医療」の記事。
江戸時代の日本人の寿命は40歳程度、縄文時代はなんと15歳だったというから、自分たちは抜群に長生きになっている。
医学の発達が進めば進むほど「新たな病気」も判明し、またそれへの挑戦が始まる。
まるで永遠に終わりのない"いたちごっこ"に思えるが、実際にはどうだろうか。
人は病がなければ120歳まで生きる、とも言われるがともかく屋久杉のように何千年もの生命を宿している、というわけではないらしい。
人工知能はともかく。
将来的にも「人が五百年も生きる」ということはなさそうだ。
せいぜい100年ちょっと。
だとするともう人の医療は「かなりのところ」にまで進歩してきているのではないだろうか。
日本ではしばしば「人生100年時代です」とCMが流れている時代である。
 
まだまだ「最後まで健康に生きる」とか「原因のわからない難病に挑む」というテーマはあるものの、「寿命への挑戦」についてはそろそろ終わりを迎えるような気がする。
これからはQOL(生活の質)をいかに維持していくかということが主流になるに違いない。
長く生きるというよりは「最後まで楽しく生きる」が次のテーマだ。
 
がんは克服できるか(5) 高額薬は誰のもの
2019年8月3日 2:00
「実証! これが37万ドル(約4000万円)のスーパー細胞だ!」。米テキサス州ヒューストンのMDアンダーソンがんセンターの病室。トッド・シャイブリー(53)はベッドから、ツイッターに興奮気味に投稿した。
手にした点滴剤は米ギリアド・サイエンシズの「イエスカルタ」だ。スイス・ノバルティスの「キムリア」と同じようにCAR-T技術を使ったがん治療薬で、2017年に米国で新薬承認を受けた。がんを攻撃するように遺伝子を改変した自らの免疫細胞が入っている。
4月にがん細胞がなくなる「完全寛解」と診断された。7月の検査でも再発していない。6年前にがんを発症し、いくつもの抗がん剤を試してきた。今回は「治るかもしれないという可能性が見えてきた」。

 
シャイブリーさん(右)はがん治療薬「イエスカルタ」で寛解した(3月、米テキサス州)
だが、米国で先端の医療を受けられるかは、患者がどのような保険に加入しているかに左右される。自営業のシャイブリーが加入する民間保険の保険料は年2万ドルで、検査や入院費を含め治療にかかる費用は50万ドルを超えた。
対照的に、医療が原則無料の国民保険制度(NHS)を持つ英国。税金などでまかなわれるため原則的に高額な薬は使えない。そのため、医療技術評価機構(NICE)が費用対効果を見極める。1人の患者が健康な1年を暮らすための治療費などをおおむね2万ポンド(約270万円)とし、薬価がそれを下回れば保険適用を推奨する。NICEは年間約80種類の薬を審査するが、2割ほどは価格が高いなどの理由で却下される。
ファイザーの肺がん治療薬「ビジンプロ」もその一つ。もともとの希望価格は30日分で約2700ポンドで、年間の治療費は基準を上回る。だがファイザーは値下げをNICEに提案、5月の再審査で推奨が決まった。「革新的な薬がNHSで提供され、患者はより長く人生を送れるかもしれない」。NICEで審査委員会を統括するマインダート・ボイセン(51)は語る。
英国では年間約1500人がビジンプロを使う見込み。値下げしても顧客を獲得したほうが利益になるという計算も働く。命とお金はてんびんにはかけられないが、それでも、医薬の進化と保険制度、薬の価格の微妙なバランスの上で救われる命もある。
(敬称略)