藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

抜け落ちた議論(1)

*[次の世代に]命の捉え方。
---科学が進めば進むほど、より問題は深くなる---
ガンや内臓疾患や認知症など。
これまでは救えなかった命が、お金をかければ救えるかもしれない、という課題だ。
明治時代には新生児の15%は死亡していたという。今は0.2%だ。
 
〜〜医療はどこまで命(延命)を追い求めるのか〜〜
という重い問いをあらかじめ自分たちは覚悟しておかねばならない。
この問題は「医療」をテーマとする医師や学者たちではなく、自分たち一般市民が意思表示をしなければならない問題になっている。
(つづく)
 
日本で画期的新薬が出なくなる日(日経ビジネス
2019年5月13日 19:30
日本でいくらの値がつくのか──。製薬業界がこう注視する新薬がある。スイスの製薬大手ノバルティスが開発した血液がん治療薬「キムリア」。米国で1回の投与で5000万円超の値がついた新薬の国内価格を、厚生労働相の諮問機関が2019年5月末にも決める。薬価は米国と同水準となる公算が大きいが、薬剤費を原則、公的医療保険で賄う日本では財政悪化懸念が深まる。このため、いずれ薬価は引き下げられる、との見方が製薬業界にはある。
画期的な新薬の製造原価は高くなる傾向に(写真:Comezora/Getty Images)
小野薬品工業が14年に販売したがん免疫薬「オプジーボ」がそうだった。当初は100mg約73万円という価格だったが、仮に1年使用すると3000万円以上かかると試算され、薬価は段階的に4分の1まで引き下げられた。
製薬業界が懸念するのは、オプジーボのような薬価引き下げが当たり前になることだ。日本では、有効性や安全性が認められて薬事承認された医薬品は、原則として公的医療保険で賄われる。薬の値段は類似品のない新薬なら原価を積み上げて算出するが、開発費が膨らめば薬価も高くなる。医療保険財政への影響を最小限にしようと、国も薬価引き下げに前向きだ。
欧米では最初から医療保険に縛られない道がある。新薬の効き目に応じて患者から支払いを受ける「成功報酬型」制度だ。ノバルティスはキムリアで米国の同制度を活用。効き目が認められないケースでは、ノバルティスは対価を得られないが、新薬を必要な患者にいち早く送り届けられる利点がある。欧米ではこうした成功報酬型を採用する製薬会社が増えている。武田薬品工業も欧州で販売予定の高額なバイオ医薬品での導入を検討し始めた。

中国に創薬拠点の狙い

日本でも入院期間を短縮するなど、医療費全体を節約する効果を加味して薬価を調整する「費用対効果評価制度」を19年4月から本格導入するなど、薬価の算定基準を見直す機運も出てきた。それでも公的医療保険での支払いが前提。成功報酬型を導入して財政負担を軽くしようという議論は進まない。
「このままでは新薬開発の投資先として日本よりも中国が優先されるようになる」。こう指摘するのは米イーライリリー日本法人のパトリック・ジョンソン社長だ。中国では医薬品需要が拡大。世界の医薬品市場に占める中国比率は05年の2.7%から20年に11%に高まる見通しだ。加えて新薬を積極的に取り入れる中国は規制改革を進めており「日本より新薬の業績見通しが立てやすい」(ジョンソン社長)。米メルクやスイスのロシュなど欧米大手が続々と中国に創薬拠点を設けている。
一方の日本。05年に11.1%の市場シェアで、世界3位の市場規模を誇ったが、20年には6%までシェアを落とす見込み。市場としての魅力が薄れ、薬価でも報われない日本に製薬会社はどこまで画期的な新薬を投入するか。
誰もが公平に薬を手に入れられる日本の公的医療保険は世界に誇れる制度だ。一方で、医薬品の世界で生まれたイノベーションの果実を得る仕組みも考える必要がある。誰もが納得する制度をどう作り上げるか。技術革新が突き付けた課題は重い。
日経ビジネス 古川湧)