藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

潮目が変わる。

日本の国難
世界的にはお金はだぶついているらしい、どうも。
けれども多くの国は赤字だという。
仮想通貨はすでに1000種類以上あるそうだが、実物貨幣を嫌って「退避現象」だという人も多い。

少し冷静に考えれば「金とか米とかの現物に基づいていない」お金の価値が不安定なのは自明ことだと思う。
日本だって中国だって「いろんな理屈」を唱えて国債を発行したり、資金の規制をしたりする。
世界が(通貨としてだけでも)一つの国にならないと、「為替の最適化問題」というのは永遠に続くのに違いない。

先進国ではどこも農業や製造業からの離脱が進み、7割はサービス業になっているという。
この辺りに歪みの原因があるのではないだろうか。

足元では、既に「ホワイトカラーの崩壊」が始まっている、という声もよく聞く。

政治も行政も実業も、「リアルな世界」なしに机上で理屈をこねている時期はいよいよ終わりそうだ。

いよいよ政治に頼るのではなく、「自分の意思で自分の場所を探す」時代になったと思う。
面白い時代の分かれ目ではないだろうか。

アベノミクスで日本の8割が貧しくなる理由

4/27(金) 6:00配信

 早いもので、2020年の東京オリンピックまで、あと2年余りとなりました。私も1人の国民として、ぜひともオリンピックは成功させてほしい、と思っています。

【図】ガソリン価格等が乱高下する米国バブルはいつ破裂してもおかしくない

しかし、2020年の世界経済は、2008年秋のリーマンショックほどとは言わないまでも、世界的な借金バブルの反動によって、世界同時不況を迎えているのではないかと予測しています。とりわけ日本経済は、米国と中国の好景気に多大な恩恵を受けているので、その悪影響が最も及ぶ国の1つで、経済成長率が主要先進国の中でいちばん落ち込むことが考えられるのです。

 実際に、リーマンショック翌年の2009年の成長率はマイナス6.0%にまで落ち込み、主要先進国の中で、日本は突出して下落率が大きかったわけです。

■大企業と国民の間にある大きな乖離

近年、大企業の経営者が集まる催しに参加するたびに思うのは、大企業の景況感と国民の生活実感の間には大きな乖離がある、ということです。多くの経営者が口をそろえて、「とても景気がいい」「史上空前の好景気だ」という見解を述べているのですが、2018年の初頭にはそういった見解がことのほか強調されていたように思われます。

 確かに、大企業の世界では多くの企業が収益を拡大することができているので、彼らだけを見ていると、または、彼らだけの世界で生きていると、おそらく私も「日本は好景気だ」と錯覚してしまうかもしれません。

ところが、私はふだんから、経済を分析するうえで経済成長率や企業収益はその一面にすぎず、本当の意味での好況・不況の判断は国民生活の実感で決めるほうが適当である、と考えています。そういった意味では、国民のおよそ8割が「景気回復を実感していない」という事実は、国が判断する景況感に重い課題を突き付けているように思われます。

 産経新聞のような政権寄りのメディアであっても、日本経済新聞のような政治に中立的なメディアであっても、朝日新聞毎日新聞のような政権批判が十八番のメディアであっても、世論調査においてはおおむね、景気回復を「実感している」と答えた人々が2割、「実感していない」と答えた人々が8割、という結果が出ているのです。

私は2013年にアベノミクスが始まった当初から、「アベノミクスの恩恵を受けられるのは、全体の約2割の人々にすぎないだろう」とざっくりとした感覚で訴えてきましたが、その後のメディアの世論調査でも、おおむねそれに近い結果が出ていたということは興味深い事実です。私がなぜ約2割の人々だといったのかというと、富裕層と大企業に勤める人々の割合が大まかにいって2割くらいになるからです。

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4/27(金) 6:00配信

 アベノミクスが円安によって株価や企業収益を高めるかたわらで、輸入品の価格上昇によって人々の実質賃金を押し下げるという弊害をもたらすことは、最初からわかりきっていたのです。要するに、普通に暮らす残りの8割の人々は、未だにアベノミクスの蚊帳の外に置かれてしまっているというわけです。

私は地方へ仕事にいくたび、その地方の景況感をいろいろな立場の方々にうかがっているのですが、2014年〜2017年にかけておしなべて共通していたのは、大企業に勤める人々が「景気はよくなっている」と実感していたのに対して、その他の多くの人々は「景気なんてよくなっていない」とあきらめてしまっていた、ということです。

■「景気がいい地域」なんて本当にあるのか

さらに私は、最寄り駅から講演会場などまでタクシーに乗車する機会があったときには、運転手さんに「景気はどうですか?」と必ず聞くことにしていますが、その間、誰ひとりとして、「景気がいい」と答えた人はいなかったのです。東京であろうが、大阪であろうが、名古屋であろうが、返ってくる答えは、一様に芳しくないものばかりでした。中国や九州などでは不況としか思えないような答えが返ってくる有り様です。正直なところ、これが日本経済の掛け値なしの実態なのです。

 そのような好ましくない状況の中で、オリンピック前後に不況が到来したら、どうなってしまうのでしょうか。確実に言えるのは、富裕層と呼ばれる人々よりも普通に暮らす人々のほうが、生活水準が著しく悪化するのが避けられない、ということです。

これは2008年の世界金融危機後の米国や欧州で顕著に見られた現象ですが、そういった現象から未だに脱却できていないからこそ、米国ではドナルド・トランプ大統領が誕生したのであり、欧州ではポピュリズムが台頭して各国の政治が不安定になっているのです。米国は経済成長という視点で見れば間違いなく優等生になりますが、株主や企業の利益ばかりが優先されてきた結果、国民生活は置き去りにされてきてしまったわけです。

 私は経済成長率の数字そのものより、その成長率の中身のほうがはるかに大事なのではないかと考えています。そして、経済指標の中でいちばん重きを置くべき指標は、決して経済成長率の数字そのものではなく、国民の生活水準を大きく左右する、実質的な所得ではないかとも考えています。

拙書『日本の国難』においては、今後5年のスパンで考えた世界経済や日本経済の方向性だけでなく、10年後〜20年後までを見据えた、日本の経済、雇用、企業、賃金がどのようになるのかについて説明しています。ぜひご覧いただければ幸甚です。

中原 圭介 :経営コンサルタント、経済アナリスト

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