藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

停滞ムード

*[経済]ヘタにお金は使えない。
日本の大手企業の自社株買いが倍くらいに増えているという。
端的に「お金の使い道がない」のだ。
よくわからない見通しに対しては、自社の資本を手厚くしておこうという守りの戦略。

借金を負って返すのも大変だが、実は手元にあるお金を「きちんと使う」というのも難しいものなのだ。

特に上場して市場からお金を集めていれば、投資家の目線は厳しい。
損せずに、しかも投機的な運用でもなく、「将来の自分たちや株主のため」にお金を使うということに自信がなくなれば「自社株買い」になるわけだ。
経営者の大事な役割は「資本を集めること」もあるが、そのあと「集まった資本をきちんと使えること」でもある。
そんなこと、自分が独立した時にはちっとも知らなかったが、このくらいのことは義務教育でも教えておくべきだろう。
上場企業で多数の株主がいるなら、確実なリターンを毎年毎年求められる。
そのために無理な設備投資やM&Aをする、というのでは本末転倒なわけだ。
 
大手企業は設備投資よりは成長分野のM&Aの様子見、という感じだが「景気が停滞気味なオリンピック前」から景気はどう動くのか、とても注意が必要だと思っている。

自社株買い急増、9割増の3兆4000億円 19年度計画

日本株市場は欧米主要市場に比べ営業日数が少ない(東京・中央の東証アローズ)
上場企業の自社株買いが急増している。2019年度の自社株買い計画額は21日時点で、約3兆4千億円と前年同期比9割増だった。三菱地所など資本効率を改善するため、株主への還元策を見直す企業が相次いでいるためだ。ファナックなど減益でも自社株買いに踏み切る例も増えている。18年度の自社株買い額は日銀の上場投資信託ETF)の買い入れ額を上回り、日本株の重要な下支え役となっている。
日銀の金融緩和政策などを背景に、上場企業は潤沢な手元資金を抱える。ただ経営者は大規模な設備投資には依然として慎重だ。コーポレート・ガバナンス(企業統治)改革の進展で「従来よりも資金の使い道を問う投資家の視線が厳しくなっている」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之シニアストラテジスト)。消去法的に自社株買いに資金を充てる企業が増えている。
自社株買いは、企業が発行した株式を自社で買い取り、市場に流通する株式を減らす行為を指す。株式需給が引き締まり株価を高める効果があるほか、1株当たりの利益も増える。少ない資本でどれだけ効率的に稼ぐかを示す指標、自己資本利益率ROE)を底上げする効果もある。
4月1日から5月21日までに発表した自社株買い計画額(取得枠)を集計したところ、合計額は約3兆4100億円と、前年同期(1兆7700億円)と比べて93%増となった。計画を発表した企業数も約230社と3割増えた。
目立つのが、資本政策を改め、新たに自社株買いに踏み切る企業だ。
三菱地所は今回、初めて1000億円分の取得計画を発表した。不動産市況に応じて負債と資本のバランスをコントロールする経営方針を新たに掲げる。現在のような不動産相場が高値圏で推移している局面では、資産売却と株主還元を増やすという。
京セラは、ROEの目標を初めて設定すると同時に、還元手法に自社株買いを加えた。取得計画は未発表だが、ROEを低下させる要因となる自己資本が膨らみすぎないよう自社株買いを機動的に使う。
マクセルホールディングスROE改善のため自己資本比率を21年3月期に約50%に下げる(前期は62%)。この計画を達成するため、稼いだ利益額以上を配当と自社株買いで株主に還元する方針だ。
自社株買いの規模も拡大傾向にある。ソニーは2月に引き続き、2000億円の自社株買いを実施する。KDDIは1株利益を5割増やす目標を掲げており、今月は1500億円を上限とする自社株買いを発表した。
減益でも自社株買いを増やす例も増えている。利益成長が鈍る分、還元で株主に報いる狙いがある。
今期の純利益を6割減と発表したファナックは3年ぶりに自社株買いを発表した。前期に13%減益だった旭化成は、17年ぶりに自社株買いを行う。19年12月期に2割の減益を見込むキヤノンは、2年ぶりに500億円の自社株買いを計画し、金庫株を通じてM&A(合併・買収)に備える。
日本の18年度の自社株買い額は6兆680億円に達し、日銀のETF買い入れ額(約5兆6500億円)を上回った。ただ米ゴールドマン・サックスによると、米国は主要上場企業500社だけで、年8000億ドル(約88兆円)と巨額の自社株買いを実施する。日本は米国に比べて大きく見劣りしており、市場では「日本企業はまだ拡大の余地がある」との声が多い。