*[ウェブ進化論]サイバーツイン。
日経より。
前評判の高い5Gは意外に普及が遅いという記事。
それはともかく。
サイバー空間に現実空間と同じモデルを構築する「デジタルツイン」が当たり前になり、あらかじめサイバー空間で将来をシミュレーションし危険を回避するのが定式になるとされている。
そんな時代に「あちら」に用意されるのはどんなモデルだろうか。
ともかく衣食住はなんでも対応されそうだ。
ひょっとしたら自分の近未来くらいは分かるようにのなるかもしれない。
さらにその先に。
さらにその先には「リアルの消滅」が待っていそうな気がするのは自分だけだろうか。
遊びも買い物も旅行も「もうサイバーで十分だ」という社会。そうしたら出会いとか結婚とか家族とかもサイバーになるだろう。
あ、すでにサイバーでしか繋がっていないような気がしますが。
5G、最大のライバルは4G 携帯大手のジレンマ
次世代通信規格「5G」の普及には通信可能エリア拡大に加えて、5G端末の普及が欠かせない。だが高価になると予想される5G端末は緩やかに普及すると予想されており、苦難の船出になりそう。世界有数の品質となった、国内の現行4Gネットワークの完成度の高さが、5G普及の妨げになる可能性も見えてきた。
KDDIの危機感
2月17日、KDDI(au)は新たなスマートフォンの販売プランを発表した。最大の特徴は自動車の購入で浸透しつつある「残価設定型」の仕組みを取り入れ、現行の販売プランよりもスマホが買いやすくなるプランを提案したことだ。
2019年10月に施行された携帯電話販売の新ルールによって、通信回線とひもづけて販売する端末の割引は最大2万円に制限されることになった。端末販売の売れ行きは落ち込んでおり、当初は10万円を超える高価格帯が中心となるとみられる5G端末普及の足かせになると危惧される。
KDDIが打ち出したのは、割引ルールに抵触しない形で5Gスマホを買いやすくする新たな仕組みだ。17日に発表した新販売プランでは、端末購入時に2年後の買い取り価格として残価をあらかじめ設定する。13カ月目~25カ月目に契約者が新端末に買い替えてそれまで使っていた端末を返却する場合、残価の支払いが免除されるようにする。
例えば本体価格が8万2472円(税別)の米アップル「iPhone11」の場合、残価は本体価格の約4割に設定されている。条件を満たせば残価を差し引いた実質5万3935円(同)で購入できる。
KDDIがスマホ販売プランを見直すのは19年秋から数えてこれが実に3度目となる。短期間の頻繁なプラン見直しは、旧プランの契約者に不利益を与える可能性もある。にもかかわらずKDDIが販売方法を見直した背景にあるのは「このままでは5Gの普及が進まないかもしれない」という危機感だ。
5Gの普及には接続可能エリアが広がることはもちろん、端末も5Gの恩恵をフルで受けられる5G対応端末に置き換わっていく必要がある。だが、現時点ではエリア拡大は緩やかで、端末の普及にも時間がかかるという見方が一般的だ。
23年度でも3割どまり
「5Gは4Gのような垂直立ち上げは難しい。3Gから(速度を高速化した)3.5世代への変化に近いのではないか」。KDDIの高橋誠社長はこう指摘する。
4Gはあらゆる面で携帯電話事業者にとって好条件がそろっていた。立ち上げ期とスマホの普及が始まるタイミングが一致し、ネットワークと端末の普及が一気に進んだからだ。
携帯電話事業者にとっては、契約者が従来型携帯電話からより通信量の多いスマホに機種変更するだけで月間収入が増える。収益増を見越して膨大な投資をすることができ、一気にエリアを広げられた。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社は4G開始からわずか1~2年で人口カバー率9割を超えるまでエリアを拡大した。
5Gはそんな4Gとはあらゆる面で対照的になりそうだ。5Gに新たに割り当てられた電波は飛びにくく、ネットワークを一気に広げることは難しい。端末もスマホに代わるキラーサービスを見いだせていない。産業分野での期待は高いが、企業と携帯電話事業者の間でどのように収益化するなど世界で手探りが続く。
4Gが高品質ゆえのジレンマ
この経験則に当てはめると、5Gの普及はやはり緩やかになりそうだ。日本の状況を見ると、世界有数の品質を誇る現行の4Gネットワークの完成度の高さが、5G普及の最大の足かせになる恐れもある。4Gの品質の高さ故に、5Gとの違いを打ち出しにくいというジレンマだ。
実は初期段階の5Gは、技術面からも4Gネットワークとの違いを打ち出しづらい。現在、世界で商用化されている5Gのネットワークは、実は5G単独では動作しない。「NSA(ノンスタンドアロン)」と呼ばれる初期段階の5Gの仕様は、4Gネットワークで基本的な通信を確立し、その上に構築した5Gネットワークで高速・大容量通信を実現する。
NSAは、エリアを急拡大しにくい5Gの導入初期には向いている。その半面、NSAには5Gの売りの一つである通信のタイムラグがほとんど出ないという能力を十分に発揮できないデメリットがある。バックグラウンドで4Gネットワークを利用するためだ。
それに対し5Gのフル機能を発揮できるのが「SA(スタンドアロン)」と呼ばれる仕様だ。5Gネットワーク単独で動き、低遅延を含めて5Gの真の実力を打ち出せる。もっともこちらは標準化の時期が遅れたため、世界で導入が本格化するのは23年以降となる見込みだ。5G単独でエリアを作る必要があるため、導入に膨大なコストや時間がかかるデメリットがある。
歩みを止めない覚悟を
5Gは期待の高さに反して、あらゆる面で垂直立ち上げが難しい宿命を背負っているかのようだ。だが今後10年かけて5Gは、あらゆるモノをネットワークにつなぎ、リアルとサイバーの融合を推し進めることは間違いない。サイバー空間に現実空間と同じモデルを構築する「デジタルツイン」が当たり前になり、あらかじめサイバー空間で将来をシミュレーションし危険を回避するのが定式になるとされている。
20年の5G商用サービス開始はその第一歩にすぎない。普及が遅々として進まなくても、5Gを使った新たなビジネスの創出に向け歩みを止めない覚悟が求められる。
(企業報道部 堀越功)