藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

嬉し苦し、わたしたち。

モノポリー(寡占)は面白いボードゲームの名前だが、二極化とか富の偏在、とよく話題になるこれからのキーワードものかもしれない。

230万人対66万人。
スーパー世界最大手のウォルマートと、4月に米市場の時価総額の上位に並んだITビッグ5(アップル、アルファベット=グーグル、マイクロソフト、アマゾン・ドッド・コム、フェイスブック)合計の従業員だ(米国外を含む)。
5社が束になっても、ウォルマート1社の3割に満たない。

ビッグ5はたいそうお金持ちだが、それでも人は減っている。
効率的というか、寡占化というか。

いっそのこと「雇用が減っている」と思わずに「働かなくていい事態が進みつつある」と解釈してはどうだろうか。
ITとかネットの進化のおかげで、どんどん人間は「単純労働から解放」されているということだと思う。

だから雇用がなくなる恐怖、というよりも「検品とか検査とかデータ入力」とか「運転とか配送とか取り継ぎ」とかの人手からは解放されるのだ。
有難いことだが、そのために食えなくなってしまっては困る。

つまりは今の自分の仕事の中で「コンピュータでできることと絶対にできないこと」について真剣に考えねばならない時代が迫っている。

ムムムむむ。

ニュー・モノポリー 米ITビッグ5(下) 少ない雇用、処方箋見えず 置き去りの労働者
 一握りのIT(情報技術)企業にデータや富、頭脳が集まるニュー・モノポリー(新たな寡占)。ソーシャルメディアなどを通じ、生活は格段に便利になった半面、新しい時代に順応できない人たちも増えている。

多くの労働者が将来、ロボットに置き換わる可能性も(アマゾンの配送センター、カリフォルニア州)=ロイター

 230万人対66万人。スーパー世界最大手のウォルマートと、4月に米市場の時価総額の上位に並んだITビッグ5(アップル、アルファベット=グーグル、マイクロソフト、アマゾン・ドッド・コム、フェイスブック)合計の従業員だ(米国外を含む)。5社が束になっても、ウォルマート1社の3割に満たない。

 10年前。ファクトセットによると2007年末の時価総額トップ5社の従業員数は計109万人だった。ゼネラル・エレクトリック(GE)とAT&Tがそれぞれ30万人超の雇用を抱えていた。

 ITビッグ5も雇用を増やしてはいる。際立つのが、インターネット販売の拡大に応じて配送センターの整備を急ぐアマゾン。全世界で10年前の1万4000人から34万人に増えた。今年1月には1年半の間に米国で10万人の常勤労働者を採用する計画をぶち上げた。

 だが既存小売業を侵食するアマゾンの雇用増は小売業の失業増と裏腹だ。短期的に小売業の失業を吸収したとしても厳しい労働環境もあって離職率は高い。長期的にはロボットで自動化される可能性が高く、若い人たちが生涯、勤め上げる仕事とは言いにくい。

 アマゾンも認識している。一定期間勤めた従業員に費用の95%を先に支給する資格取得支援プログラムを用意。ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は「アマゾンの仕事は他の分野でのキャリアのステップかもしれない」と、離職後の備えとの側面を認める。

 新たな技術は新たな需要の母となり、新たな仕事を生んできた。だが蒸気と電力による人海戦術型の産業革命を経て、コンピューター化による第3次革命で潮目は省力化へと変わった。人工知能(AI)を軸とする第4次革命で少数精鋭の傾向はもっと強まる。

 こうした変化に取り残された低技能の白人労働者層の不満が、トランプ政権を生み出した。バンクオブアメリカ・メリルリンチマイケル・ハートネット氏は「金融危機後にウォール街を占拠しろと主張するデモがあったが、これからはシリコンバレーが標的になりかねない」と指摘する。

 ITは自分の得意なことを自分の都合のよいときに提供する新たな労働の姿を生み出した。一夜限りの演奏(ギグ)になぞらえたギグ・エコノミー(日雇い経済)。組織に縛られない自由な働き方を得る半面、雇用は不安定。社会保険などの待遇も不十分で、様々な労働問題が起きている。

 「ベーシックインカムのようなアイデアを探るべきだ」。フェイスブックマーク・ザッカーバーグCEOは5月、学んだハーバード大学の卒業式で主張した。最低限の公的所得が無条件で得られる仕組みで、シリコンバレーの企業経営者の間で支持が広がる。

 だが、技術の変化を軽んじ、一昔前のような工場労働者の増加を訴えるトランプ大統領がその声に耳を貸す可能性は低い。「新たな寡占」が社会にもたらす弊害とその処方箋はまだ見えない。

 ニューヨーク=山下晃、大塚節雄、シリコンバレー=小川義也が担当しました。