藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

自由主義の時代(10)

*[ウェブ進化論]私の自由と安定。

*これからは「社会資本主義」とか「新しい資本主義」ではなく「自由と安定を求める時代」になるのではないかという話の最後です。

 

■居酒屋と自由の関係。

自由ということについてあれこれ考えていたら、自分のいろんな行動だって「それ」に向かっていることに気がついた。

例えば、つい新しい居酒屋に行ってみるのも、自分の自由と安定を求めているからだったという気がしている。

どんなにいいお店でも、長く出入りしていると、そのお店の人や客同士のつながりができてくるものだ。

それはよこちが良く楽しくもあるし、しかし若干の不自由でもある。

そこには「居酒屋コミュニティ」とでもいうものが出来上がり、自分もその社会の一員になっていく。

「安定した居場所」ではあるのだが、自由はどんどん失われていくという一面もある。

 
一箇所にとどまり、安定していくほどに「自由」は萎んでいく。

見知らぬ土地にふらっと立ち寄り、そこで少しの暮らしを楽しんで、地域社会との関わりができてきた頃には、またふらっと旅に出る。

そんな話は小説にはよく出てくる設定だ。

次の立ち寄り先では「安定」はないが、まったくの自由がある。

 

そんなことを考えていたら、まるで「フーテンの寅さん」のイメージとぴったりだ。

テキ屋稼業の車寅次郎は、あんなに前から「自由と安定のバランス」を絶妙に取りながら生きていくロールモデルだったのである。

(おわり)