藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

日本の特性。

年間訴訟件数が中国は5785件に対し、日本は146件。
やはり日本は古来「争わぬ国民」であると思う。
それは悪いことではない。ただこの国際社会で「他国とも競争し、伍してゆく」という"ルール参入"の手順で言えば、少々鈍くさいと言えるだろう。
とはいえ、隣国、中国のやり方はこうだ。

北京市の一部の特区では海外の特許を1つ取得するだけで、自治体から10万元(約130万円)が支払われ、法人税も40%近くカットされるという。

まさに国策。
国が経済活動にまで分け入って、「個別の特許取得に奨励金を出す」といいうのは、まさに「国としての動き」に他ならない。
国の思惑が経済圏にまで浸透してきている、ということであって、どうもスマートさを欠く、と思うのは自分だけだろうか。

アメリカにしても、そのまた「著作権ルール」にしても、先の中国にしても「我田」への無理強いが見えた途端に、周囲の仲間たちの意欲は萎える。

特許は、(特に日本の特許法では)"産業の振興のため"に存在するのが第一義である。
特許という武器で、国際間で戦うのはやむを得なかろうが、本筋の「発展のための唯一の技術の振興」という線をどの国も忘れずに論じてもらいたいと思う。

"産業発展のためのルール"は、決して「他社の妨害ツール」としての利用を促進してはならない。
競争の中にも、「発展の精神あり」だと思うのである。

【特許ウォーズ? 〜中国からの挑戦状(上)】「日本に負ける気がしない」挑発する中国企業
2012.5.25 10:00
今年3月、日本と中国の間の「逆転劇」が世界の注目を集めた。

世界知的所有権機関WIPO)が2011年の国際特許登録の出願件数を発表し、企業別で前年首位のパナソニックを抜いて、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE、中国語読み・ゾンシントンシン)が1位に躍り出たのだ。

中国で特許法が成立したのは、1984年。明治18(1885)年に同法が施行された日本とはおよそ1世紀の開きががある。それにもかかわらず、2011年に中国の特許庁が受理した特許出願件数は10年比34%増の約52万6千件と日本(約34万2千件)、米国(約50万3千件)を抜き去った。中国は今、有名ブランドなどの模倣品があふれる“パクリ天国”から“特許大国”へと変貌を遂げつつある。

「特許紛争で日本に負ける気がしない」。中国ZTEの幹部はこう挑発する。
同社は独自技術を早く市場に広めるため、特許取得とほぼ同時に、その特許を活用した製品を完成する戦略を敷く。これに対し、日本では特許取得から製品化までに10年以上も要する企業が目立つ。特許庁国際課の担当者は「海外企業のように特許にかかわる社員が幹部に出世するケースが日本企業では少なく、特許戦略強化の足かせになっている」と指摘する。

特許の活用には複数の手法がある。自社の特許を使った製品を流通させ、他社に同様の製品を作らせることを防いだり、一方で特許を他社に販売することで収益をあげることも可能になる。しかし、特許を持つだけでは、何の利益も価値も得ることはできない。

「日本には特許を数多く取得すればいいと勘違いしている人が多い。特許を活用しないと世界で生き残れないのに不思議だ」。ZTE日本法人の大和敏彦副社長(57)はあきれた表情で話す。
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特許活用に“不慣れ”な日本の姿が浮き彫りになったデータがここにある。

特許庁が昨年12月にまとめた、2010年の知財関連の年間訴訟件数が中国は5785件に対し、日本は146件。特許に関して日本はもめず、紳士的な国ともいえるが、言い換えれば十分に活用しきれていない表れでもある。逆に中国の訴訟攻撃の標的にされる例も多く、一方で中国の模倣品に悩まされている日本企業も少なくない。

ソニー知的財産センターの内山信幸・パテント部担当部長(50)は「訴えられても、中国訴訟に強くなるための学ぶ機会とも考える」と割り切る。中国企業などに特許関連で提訴されるたびに、中国のどの地域の裁判所で戦えば、有利に進行するかなどを研究してきた。さらに「防衛」のための特許取得にも力を入れ、昨年の中国での特許出願件数は外国企業で首位の2430件にのぼる。

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「今の中国は“特許バブル”。特許を取得しないとビジネスの世界で生きていけない」。ある中国企業の経営者は打ち明ける。
中国での特許件数が増加した背景には、国策として掲げる「報奨金制度」がある。日本の特許庁によると、北京市の一部の特区では海外の特許を1つ取得するだけで、自治体から10万元(約130万円)が支払われ、法人税も40%近くカットされるという。

特許はもうかる-。こう気付いた中国企業、中国人は日本企業の特許情報などが検索できるホームページに連日アクセス。特許庁の外郭団体が毎年開催する日本の特許制度を紹介する講座には中国の国会議員が参加するなど日本の特許システムを貪欲に研究している。
特許戦略で教師の立場だった日本は、アジアで急成長した“生徒”に追い越されようとしている。

第1部、第2部では、世界企業や大学を舞台に特許競争の実態を紹介した。第3部では、特許戦略や商標権の登録を“加速”させる中国に翻弄される日本企業の現状に焦点を当てる。