藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

城山三郎講演集。


新潮社から、講演録の最新刊の知らせ。


城山の淡々とした昭和初期の様子が語られる。


「白鼠」と号を取る金子直吉のエピソード。


日商岩井(鈴木商店)の原点を解き明かす。


魅力ある金子のエピソードながら、会社を倒したのも金子だったと論ず。


「個人商店」の利を尽くして最短のスピードで成長した鈴木商店が、最終的には組織化できずに潰れた様子を語る。


会社の成長と、近代化。


米騒動の焼き討ち疑惑などに影響を受けながら、金子は「寄付」を嫌がり、結果世間からネガティブイメージを持たれ、倒れることになる。


今年逝去した城山の三十年余前の講演に、城山の人間観、日本人観が語られる。


つくづく、「講演」の持つ伝える力、や肉声の迫力、を感じる。


著作からの「伝えるもの」と別物の媒体の力、が講演にはあるのだろうか。


とまれ、城山氏の二集、大変面白い。