藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ホロヴィッツの言葉

最近、楽譜を眺めていて、つくづく。


よく、「作曲家の書いた譜面には"一音のムダもない!"、もっと譜面に忠実に!!。などといわれるが。


じつわ。


それを聞くたび。


なんの、まあまあ。
そうは仰るが、作曲家もその作曲過程でノリノリで筆が走ることもあるハズ。


そんな「一音も飛ばすな」なんて暑苦しい。
ちょっとくらい、いいじゃないスか。と思っていた。


最近、一つの楽譜を二年くらい眺めていると、「うぉ。やっぱりここのスタカート、かならず意識しないといけないのか?(ショパン)」とか、「なんにも指示ないけど、ホントにこんな弾き方が作曲者の意図なのか?」(ベートーベン)とかまじめに分からなくなってきた。


そして、やはり「一音のムダもない」という気にもなってきた。


作曲者と演奏家とは、大変な関係だなぁ、と思っていたところ。


そう言えばホロヴィッツが言っていたのを思い出す。


アート・オブ・ピアノ : 20世紀の偉大なピアニストたち

アート・オブ・ピアノ : 20世紀の偉大なピアニストたち

ある作曲家のことを理解するには、その作曲家の作品を「全部」弾いてみるんです。


初期から最後までその人の作品を全部通して弾いてみることで、その作曲家と対話できるのです。


例えばシューマン


交響曲から、ソナタから、小品。


すべてのシューマン、を一度に弾いて「作曲家」を知る。


本でも、論文でも、そして音楽でも。
その「オリジン」たるところを辿り、真正面から付き合う。


自分には「それに足る技術」が足りないが、達人ほどそのアプローチは真っすぐで正道をゆく。


なんのことはない。


やはりショートカットなどできないのだ。