藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています


大好きな鮎に脂が乗るのを待ちすぎて、食し損ねる。

そんなことにも注意だが。


洋服やら食べ物ならまだいい。

「自分」ならどうか。


大体どんな人も外見だけなら十代後半から二十代が一番美しい。


ところが面白いもので、もっと年上でも全然素敵な人はいる。


モノの旬、はいいとして「自分の旬」はいつだろうか。

旬を探せ

そういうと当然「もう旬は過ぎたかも」という懸念がよぎる。

「自分という人間の旬」はいつだ。

などと思ったらある人の顔が浮かぶ。


(毎日.jpより)

日野原重明、96才。

聖路加病院の院長として、現役の医師。


睡眠時間は今でも一日4時間半。

年間160階の講演をこなし、

スケジュールは数年先まで埋まっているという。


その日野原を変えたのは、「よど号ハイジャック事件」に乗り合わせたことだとい
う。

四日間続いた極限の緊張の末、韓国に降り立った瞬間に人生観が変わったという。

日野原は述懐する。

。「60歳で人生終わり」と思っていたけれど、いや違う、これから始まるんだとその
時確信した。(中略)


60歳は還暦。

普通なら「人生の晩年が始まる」と思うかもしれない。

でも、僕は違った。

本当に新しい人生が今から始まると思えた。


ちょうど同じ頃に、哲学者マルチン・ブーバー氏の「人は創(はじ)めることを忘れ
なければ、いつまでも若くある」という言葉に出合っていてね。

その言葉が非常に心にしみた。


新しいことへの挑戦を続ければ、体は老いても心の若さは続くのだと。

それからはもう挑戦の人生。

人がやらない、新しいことを創めるようになった。

この言葉への共感こそが僕のパワーになっているのかもしれない。

そしてもちろん、楽しむ人だった。

――疲れないですか?


全然。むしろ楽しくて仕方がない。

僕は働けば働くほどプロダクティブで、達成感がある。

その達成感がエネルギーになっている


カナダの生理学者、ハンス・セリエ氏がストレスには「良いストレス」と「悪いスト
レス」があると説いていますが、まったく同感。


「良いストレス」というのは、人間を前向きに成長させてくれる。

バネになる。

(中略)


――ストレスを前向きなエネルギーに変えるコツは?


仕事の依頼を受けた時、言われたままやるのではストレスになるから、そこで自分が
やりがいを持てるように工夫したり、発想を転換して取りかかるようにするんだよ。


相手に「こうしてほしい」と期待するのではなく、自分を変えて状況を楽しむ。

それができるようになると、気持ちもさわやか、イライラすることもなくなる。

僕はそうやっている。

相手への対応、打つ手を変えることで、プラスのエネルギーを導き出せているんだろ
うな。

「相手への対応、打つ手を変えること」で

「あいてにこうしてほしい」と期待するのではなく、

自分を変えて状況を楽しむ。


さらっと言うが、これが身についている、のはまさに達人だ。


今が旬

長い引用で恐縮だが、日野原の旬は今だろう。


そして十年前も「旬」だったろう。


つまりハイジャック以降、はぜんぶ「旬」。

いつが旬、ではなく今を旬、にするのか。


そして自分で「旬が過ぎた」と思い、そのまま目が濁ってきたら腐り始めるのだろ
う。

「そういう気持ち」が精神の老化を進める。


「最近調子、どうですか?」

(笑顔で)「ええ、今が旬です」



サラッとそう言いたいものだ。