藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

数打ち当てる

行きつけの焼鳥屋、なぜか値段が倍くらいになっている。(汗)

イヤな感じだ。
居酒屋めぐりは男磨き、とはかの池波正太郎先生の名言だが。


そこでと思い、かねてから目をつけていた某店にアタック。
外見は何だか賑わっていそうだが。
いざ潜入。


土台、ゴミゴミしている。


カウンターは五、六人がせいぜいか。
その前には二人用のテーブルが二つだけ。
あと座敷にはテーブル席が三つか。


混んでる、というか空きはカウンターにわずか一席と、二人用のテーブルが一席のみ。
でも大丈夫か、ここ。
なんか生ビール「まいう」とか書いてある。
今どきそんなこと言うか?


入り口の左に見える厨房とも土間?ともつかぬ暗い空間。
無造作に青いポリでできたゴミ箱が置いてあるし。


あまり清潔感なし。
というか、どちらかというと汚い。
店内は煙でモウモウだし。
すわ失敗か、といきなり点数をつけそうになる。


「お飲み物は」
「レモンサワー」


「あいよ」
「ゴク。・・・・・・」


あまり味なし。
まだまだ。
気を取り直せ。

メニュー。
ふにゃふにゃのビニールカバーに入れられた一枚のみ。
でもって片面は飲み物。
食べ物は「はいこっち」。
て店のメニューは今時ペラ一枚か。

しかも、ともかくボロっちい。


○ッポロ、とか○ロンハイ、とか上の方はメニューがチビて読めなくなっているじゃない。
こりゃまったくダメだわい、と思ふ。

またか。
まあ「一見の店」を外すのはいつものことか。

と自嘲気味に納得しながら、それでも一通りの串焼きを注文。

それにしても「ウチはタレとか塩とか、全部決まってるんで、それでいいですか?」とは驚く。
普通は客に合わせますよ、今時分のお店は。

と心中で呟きながらも「あ、分かりました」と返事しつつ、プチ自己嫌悪。
味のない焼酎を飲みながら待つことしばし。




まとめて焼いてくるのかと思ったら一本づつ供されるらしい。
ともかくカブりつく。



「・・・・・!・・・・ウマし」。


お通しの「蒸し鶏のポン酢和え」はずい分パンチが利いているし。
ささみから、レバー、皮、合鴨、さび焼きと息もつかせぬ。


焼き物の出てくるスピードは、食べるペースに合わせているのか。
ん、焼き手は。


あのTシャツの兄ぃが焼いてるのではなさそうだな。


見れば、あねハッピを着たニタニタしたオヤジがこの串を焼いているのか。
紀州備長炭使用店」こんなタバコでケムい店で備長炭。鳥●●、の名はダテではない。


四ッ谷界隈は言うに及ばず、ここは激戦区東京で相当なものだろう。
笹身や軟骨を堪能して、一見ね店を後にする。
隠れた名店はあるものだ。食の世界、は広い。


それにしても、地元の店を侮らぬものである


性懲りもなく、また色んな店をめぐるべし。
と一人ごちて帰途につく。