藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

私大、過半数定員割れ。


二十年前には、「大卒かどうか」というのは学歴、という意味ではまだまだ常識的に大きな部分を占めていた。


自分が社会人になった頃からは、急速に「その辺りの意味」が薄れ、「実力の時代」とか「個性」とかとか「問題解決力」などといわれるようになってきたように思う。
昨今の流行は「創造力」などだろうか。


今の頭で判断すればそんなもの当たり前、と思うが、薄い記憶だが、社会人になりたてに「パーキンソンのマネジメントバイブル」なんかを読み、驚き、そしてそこに「創造することの重要性」などという項目を見つけては、とても新鮮に思っていたことを思い出す。
その頃からそんな辺りに注目していたパーキンソンはさすがだが、それにしても時代と共に主要な価値観、というものがこうも変化するのか、とは当事者の大いなる感想である。

思えば、今の時代に「ブランド企業」とか「高級官僚」とか「政治家」とか声高に主張する人はずい分減っている。
ことほど左様に自分の二十歳くらいのころは、そんな「物質的」なまた、「ブランド的」な価値観が世の主流だったと思う。


変化は徐々に起こるようで、意外にそのスピードは速い。
こと「自分の歴史」の高々数十年でみても、相当な変質である。

今の十代くらいの人は、その価値観が四十代になったらどんな風か、ということをぜひ想像を巡らせてみることをお勧めする。

ところで、現実に翻ってみると、どうも自分の周囲には割合「そんなこと」を分かっている人が多いようなのは気のせいだろうか。
自分だけが例外なのだが。(嘆)


みんな割と友人や家族を大事にし、
家庭に時間を割き、なのに
それほど高望みをせず、
しかも「あまり不平、不満を言わない」のである。


自分たちはハングリー精神、と言えばかっこいいが、何だか不満をバネにがんばるのだ!と幾分歪んだ動機で自分を鼓舞していたような気がするが、今の若者は「より素直」だと思える。
枯れている、というのではなく成熟しているのだろう。


それはともかく。

学びの再考

私大はついに半分が定員割れになるという。

もう早慶以外はブランドでは苦しい時代か。
日東駒専とか関関同立、などとは言っておれなくなってきた。
もともと、大卒の大量生産、というのは「産業が急速にサービス業化」するときの徒花(あだばな)的な減少だったか。


先日、村上龍が「社会人の再教育システム」の必要性を説いていたが、さもありなん。
私大は淘汰の時代に、その存在意義を問われているが、今が個性の発揮どころか。


今のように、「入学金と学費ありき」の動機で考えるのではなく、「付加価値としてどれだけの人物を輩出できるか」という長期の重要性の強化にシフトできた大学が次世代型である。


あの大学を出たら、「人生を生くる」において、「こんな力がつく」とか「こんな人生観でいる」とか、「異性や家族や友人をこう扱う価値観が備わっている」とか、そういった評判が立つようになれば、それが本当の付加価値か。
何かミッションスクールの神学の授業みたいだが、まず「そんな辺り」の力がないと、とても二十代以降の重要な岐路に立ち、「後悔しない自分だけの判断」は出来ないのではないか。


今の大学で哲学を学ぶよりも、もう少しリアルな人間教育を目指す学び舎があればよいと思う。


<MSN記事全文>

私大の半数が定員割れ 「在学中に廃校になったら…」不安の声
6月15日14時57分配信 産経新聞

 少子化で18歳人口が減少し、定員割れの私立大が半数近くに上るなど、厳しい運営を迫られる大学が少なくない。「大学全入時代」の到来で希望すればだれでも大学生になれる一方、学生の獲得競争に敗れて淘汰(とうた)され、廃校が決まった大学の学生からは、「留年や休学して在学途中で大学がなくなったら、どうすればいいのか」と不安の声が上がっている。

 文部科学省によると、4年制の私立大は平成20年度で591校あり、2年度の372校から約1・6倍も増加した。しかし、日本私立学校振興・共済事業団の20年度調査では、定員割れした私立大は約半数の266校に上った。このうち、29校は定員の半数にも満たなかった。

 定員割れの大学は、地域別では北関東や北陸、中国、四国地方で多く、学生数では800人未満が目立つという。都心の大規模校に学生が集中し、地方の小規模校ほど厳しい運営を迫られるという「二極化」の実態も浮かんでいる。

 今回、募集を停止した三重中京大の担当者は「今、募集停止しないと在学生の教育も十分にできなくなってしまう危機感があった」と明かす。聖トマス大でも12年度以降、定員割れが続き、累積赤字は20億円に上っているという。

 一方、学生の側も廃校を念頭に置いた募集停止に、不安を隠せない。「学生や保護者向けの説明会を何度も開いてきたが、学生からは『留学や休学したときどうなるのか』『他大学への転学などはできるのか』といった声が多い」と三重中京大広報課。

 「消える大学 残る大学」の著者、諸星裕桜美林大学教授は「1万人規模の大学は60校ほどしかないが、それが学生の半分ぐらいを取ってしまい、残り半分を500校近くで取り合うのが実態で、淘汰は仕方がない」と説明。

 今後について「地方大、女子大、小規模大、単科大の順に危なくなるだろう。運営の厳しい大学は、18〜22歳層ではなく、地域や社会人に活路を求めていくしかないのでは」と指摘している。