藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

出版業二兆円割れ


インターネットが完全に「通信インフラ」となり、ますますその上を流通する情報、とくにテキスト情報は増大の一途をたどっている。
一方。
自分たちが読む「活字の総量」はひょっとしたら増えているかもしれないのに、印刷物の流通は減少を続けている。

「諸君!」「BRIO」「マリ・クレール」などを含む170誌が休刊。

もう「外連(けれん)」の活字媒体、というものは通用しないのかもしれない。
つまり、ネットの媒体化、という試練を通じて、印刷物はより重要な媒体へと試練されているのかもしれない、などと思う。
今の出版不況を乗り越えて行くものこそ、次世代の「活字物」として相応しい、という時代の波である。


そんな中、
アニメは、相変わらず超ド級のヒットが続いているらしい日本はこれまでオリジナルを持たない、とさんざん揶揄されてきたが、サブカルチャー大国、ということがいよいよはっきりと認知されるのだろうか。


出版ではない活字に


それでも、「活字」を使ったコミニュケーションが廃れているか、と問われればそんなことは全く感じない。
メールやニュースなど、ネット上での活字配信は増大の一途だと思う。(残念ながら計る術が見当たらなかったが)


伝統的な小説とか、論文、という形式はずっとなくならずに「紙」出版で。
しかし、その必要性の薄いものから順番にどんどんネット上で無線配信されてゆく。


そんなことでさらに活字は広がってゆくのだ、という気もする。
webの配信アプリが、(廃刊になる)出版物ほどに編集や推敲の労を経ていないなぁ、という無念さはあるものの、消費者が「有料の出版より無料の活字」へと流れる中で、出版物はさらなる高みを目指さねばならないのだと思う。


webは本とか、音楽とか、情報とか、それらに無限の「配信便利」をもたらし、しかし、恐ろしい高さの「有料のハードル」を課す存在なのかもしれない。
ホンモノじゃないと生き残っていけない。


ケレンの通じない、厄介な時代なのである。



asahi.comより>

本の販売2兆円割れ 170誌休刊・書籍少ないヒット作


今年の書籍・雑誌の推定販売金額が2兆円を割り込むことが確実になった。出版科学研究所の分析で明らかになった。1989年から20年間にわたって「2兆円産業」といわれてきたが、最終的には1兆9300億円台に落ち込む可能性がある。

 書籍・雑誌の推定販売金額は、出版物の調査や統計業務を行っている同研究所が出しており、古書店ブックオフなど新古書店での販売金額は含まない。バブル期の89年に2兆399億円となり、初めて2兆円の大台に乗った。96年に過去最高の2兆6563億円まで伸びたがその後は減り続け、昨年は2兆177億円だった。今年は10月末時点で1兆6196億1千万円と昨年同期比4%減で、11、12月の2カ月間で大幅に伸びる要素はないという。

 書籍は10月末で昨年同期比3.9%減。村上春樹著「1Q84」の2巻で224万部が目立った。だが、オリコン調べでは、昨年5作あったミリオンセラーが今年は2作のみだった。

 新刊の刊行点数は89年の約3万8千点に比べて、昨年は約7万6千点と倍増、今年は10月末時点で昨年より3.2%増えているが、販売金額の減少は止まらなかった。出版社は少しでも売り上げを増やそうと刊行点数を増やしているが、売れない本は書店が次々と返品している実態が背景にある。08年の返品率は40.1%で、今年10月末の時点では40.7%とさらに悪化している。

 再販売価格維持制度(再販制)があるため、一部の本を除いて安売りできないなど、販売の自由度が低いという指摘も根強い。

 雑誌は10月末までの前年同期比で4.1%減。推定販売部数も大幅に減っている。08年は前年比6.7%減の約24億3800万部だったが、今年は10月末時点で前年同期比7.3%減と過去最大の落ち込み幅に。多くは平均3%前後の値上げによって販売金額の減少をカバーしているのが実情だが、デフレ下での値上げが部数を減らす要因にもなっている。

休刊ラッシュも続く。同研究所によると今年は10月期までに「諸君!」「BRIO」「マリ・クレール」などを含む170誌が休刊した。

 同研究所の佐々木利春主任研究員は「出版業界は、非常に厳しい状況にある。特に雑誌離れが加速している」と話している。(西秀治)