それでもあなたの道を行け―インディアンが語るナチュラル・ウィズダム
- 作者: ジョセフ・ブルチャック,中沢新一,石川雄午
- 出版社/メーカー: めるくまーる
- 発売日: 1998/08/01
- メディア: 単行本
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少し読み進むうち、アフリカの民族の教えに似ていることに驚いた。
「生命の円環」(circle of life)とか、何も彼らに限らず、仏教の輪廻の思想のようなものは、実は人間には共通の思想なのだろう。
それにしては、21世紀の今ごろ、「サスティナブルな社会」とか「循環型のエネルギー」とかいうのが前面にスローガンになっているのは、先祖がえりのようでシニカルなお話である。
ちょっと疲れているとこういう、字数の少ない本に癒される。
最近の人は知恵ではなく、知識ばかりを求めている。
知識は過去のものだが、知恵は未来からやってくる。
ヴァーナン・クーパー(ランピー族 1990年)
「知恵は未来からやってくる」というのに引かれた。
知識は「獲得された」ものだが、知恵は「創造」の産物、ということだろうか。
知識を溜めながら、その知識の中の「原理」を掘り出し、それを色んな「違うケースにあてがう」。
知恵、とは自分にとってはそんなものに思えるのだが、どうだろうか。
と思って辞書を引く。
ちえ —ゑ 【知恵/▼智▼慧/▼智恵】
(1)〔仏〕 空など仏教の真理に即して、正しく物事を認識し判断する能力。これによって執着や愛憎などの煩悩(ぼんのう)を消滅させることができる。六波羅蜜の一つ。般若(はんにや)。《智慧》(2)事の道理や筋道をわきまえ、正しく判断する心のはたらき。事に当たって適切に判断し、処置する能力。
(3)〔哲〕 単なる学問的知識や頭の良さではなく、人生経験や人格の完成を俟(ま)って初めて得られる、人生の目的・物事の根本の相にかかわる深い知識。叡智(えいち)。ソフィア。
おお。
あながち間違ってはいないじゃない。
ちょっと驚き。
というか、自分はほんと日本語を深くは理解していない。(憂)
だのにどうですか、母国語というだけでこの自信。
こんななら、英語や仏語のマスターなんて簡単だと思うのは、考えが甘いだろうか。
"西"の章より。
(中略)
創造されたもののすべてが、今もそのとき与えられた〈生き方の教え〉を守って生きている。
木や果物も、その教えをけっしてはずれない。
同じ季節がくれば、木はかならず果物を実らせる。
動物もけっして間違えない。
動物たちも、自分たちが創造されたときのまま生きている。
では、こうして創造されたすべてのもののなかで、人間に与えられた〈生き方の教え〉とはなんなのだろう?
私たちは創造された世界を見る。
……そこには、生命があり、円環(サークル)があり、はじまりも終わりもない尺度がある。
フィリップ・ディアー(ムスコギー・クリーク族 1977年)
サスティナブル、とか循環というのは、太古からの原理なのだ。