藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

人は暴走を想像できるか。

私見だが自分は

AIが本格的に進化すれば「全くの閃き的な人間の(創作的な)発想」も確率的に出現する。
つまり「ほとんどの部分で人間を凌駕する」と思う。
「一定の確率で"非合理的"としか思えないこと」も真似できるだろう。

と思っている。
で、今のAI脅威論とかがどうも論点がずれているように思えて仕方ない。
「思考の組み合わせ」をAIがやり始めれば、人の思考を超えるのは道理だろう。

「どこの部分にAIを導入するか」を人間が決めている間は恐れることはあまりない。
けれど「街の警備」とか「交通網の管理」とか「国の貿易政策」なんかを任せると、人が思わぬ結果を引き起こすだろう。
当たり前の話だ。

現にビルの管理に導入されているシステムは、しばしば人間を規制してしまうし、けれどそのシステムのおかげで50年前とは比べ物にならないくらい人の手間は省かれている。
すでにコンピューターによる人の管理は始まっているわけで、今後「どこまでやらせるか」が重要な議論である。

AIになにをしてもらうか。
世界平和とか、経済成長とか、自然環境の保護とか、そうしたテーマを設定して恐ろしく複雑な計算をしてくれり時代が来るだろう。

人は究極のツールを使いこなせるか、それとも道具に使われてしまうのか。
そんなことが問題になるのに違いない。

AIが"本能むき出しの子供"に負けるワケ
メタデータ代表取締役社長 野村直之氏

■これからは「演繹法」が重要になる
まず、最初に言っておきたいのは、「今世紀中にAIが、人間の総合能力を超えることなどありえない」ということ。しょせんAIは人間が作った道具。その規模やパワーは拡大しても、自意識や独立性といった、人間の本質的な特性を持つことができるとは、到底考えられないことです。

その意味では、AI時代に必要とされる人材とは、AIが苦手なことを柔軟にこなせる人間、まさに『シャーロック・ホームズ』がこれにあてはまります。

仮説を立て、物事を突き詰めて考え、証拠や反証を得て可能性をつぶしていく。さまざまな情報や物証を照らし合わせて分析し、事件現場で何が起きたかを推測する。つまり、消去法を用い、常人が思いつかない解答を出すのです。

ホームズは、並外れた演繹能力(仮説から結論を導き出す能力)を持っていた人物と言えます。そして、この演繹能力こそ、AI時代に向けて身につけておきたい力の1つなのです。

■日本企業は反対の「帰納法」が大好き

日本企業は、演繹法とは逆の帰納法(調査などによって知りえた事実をもとに仮説を導き出す)が大好きで、市場調査に力を入れてきました。しかしこれには弱点もあります。“現在の”ユーザーが知っている範囲のニーズしかわからないということです。つまり“未来の”ユーザーが何を欲するかの情報が足りないのです。

ユーザー自身はまだ見ぬ革命的な新機能や使い勝手など思いつかず、教えてくれません。「今の日本企業では、iPhoneのように現状を打破し、ライフスタイルに大変革をもたらすような製品は到底作れない」とよく言われるのは、このへんに原因がありそうです。

これに対し演繹法は、前提となる原理原則や実績をもとに、新商品や新サービスを開発したり、事業戦略を立てたりするときに用いられる手段です。

■仮説を検証するために「演繹」を繰り返すことが大切

有用なアイデアの多くは、論理的思考を突き詰めたところから生まれてきます。まずは、既存の思い込みを排除し、仮説を立てる。すべては仮説から始まると言っていいほど大事なことなのですが、それで終わらせてはいけません。仮説を検証するために「演繹」を繰り返すことが大切なのです。

もちろん、「検索」や「分類」といった専門知識があれば対応できる仕事などは、AIで補えるようになります。ただ、AIが特定の労働者と単純に置き換わるようなイメージを抱いている人がいるとするなら、それは誤解です。

AIの仕事ぶりに誤りがないかどうかをチェックしたり、AIに新たな正解を教えたり、AIが判定する結果がいつも通りかどうかを判断したり、さらには、新たな事象や問題について必要な対策を考え、実行させるといった仕事は人間が担い続けます。逆の見方をするなら、せっかく単純な仕事をAIが担ってくれるのだから、人間は、高度な判断、発想と検証、交渉などが必要な付加価値の高い仕事にシフトして、生産性を上げていけばいいのです。

■なぜAIは「雑用」が苦手なのか

いわゆる「雑用」もAIは苦手です。人間は常識を駆使して例外的、個別的な判断を、学習せずにこなせます。そして人間は「雑用」を「仕組み化」する際に大いに創造性を発揮することもできます。

こうして、AI時代にあってもビジネスの現場で活躍できる人物像が浮かんできます。例えば、マネジメント能力に長けた人、切り盛りする能力が高い人、課題発見のできる人を目指すべきなのです。

異常な事態に対して、課題を発見し、その重要度を考える。そのうえで問題解決のアイデアを出して、AIを使って実践する。こういう人は重用されるでしょう。そのために必要なコミュニケーション力、想像力、創造力、実行力を育むことが肝要です。「知識労働から知能労働へ」――、これがAI時代を生き抜くキーワードです。

1/2ページ

ページ: 2

8/14(火) 9:15配信

Getty Images=写真

■科学、数学以上に、人文科学を重んじよ

近年は、AI時代を担う人材を育成するため、「STEM」教育(※)を重視せよという動きが日本や米国などで活発化しています。しかし、私はむしろ文化系学問、とりわけ「人文科学」の裾野を広げ、深く追究していくことのほうが大事だと考えています。

※:Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の略

第1の理由は、AI時代を担う人材には、AIには不可能な「人間ならではの判断能力」「コミュニケーション能力」「説得や交渉、合意形成の能力」「ホスピタリティマネジメント(おもてなし)の能力」が必要だから。

第2の理由は、ITエンジニアでも、AIに対する目標設定といった業務フローを、人間の特性を踏まえて設計、実行しなければならないから。つまり、理系の技術者でも人間の本質的な部分である要求をつかみ取るスキルが必要になるということ。

これらの理由により、イチかゼロで割り切れない世界で確率値などを解釈し、統計的に優位性のある結論を必死に模索してきた人文科学が重要だと考えます。特に「心理学」や「社会学」を勉強するといいでしょう。人間の本質を追究する「哲学」「文学」も、先端AIのさらに先を開拓し、次世代AIのお手本を描き続ける、いわば「水先案内人」です。

もう1つ若い人にぜひ学んでほしいのは「統計学」です。「統計学」を学べば、人文科学や社会科学の分野で、読み書きやそろばんのリテラシーを、創造的に使いこなせるようになります。

■AIが得意な能力、苦手な能力

また、先に挙げた演繹能力を向上させるには、「論理的思考能力」を磨くことが不可欠です。私はこの能力を身につけるには、「リカレント教育」が重要だと考えています。つまり、1度社会人経験を経て、現場でのリアルな問題意識を抱くようになってから、大学院などへ進み、本格的な研究に取り組むのです。そのほうが、「新しい問題を見つけて定式化し、解決する」というAI時代に求められる研究スタイルに向いています。

高度な論理的思考能力を磨いたり、「あらゆることに疑問を持ち、何度もなぜ?  なぜ?  を繰り返す」といった発想の習慣を変えることで、シャーロック・ホームズ型の人間にもなれるのです。

                  • -

▼AIが得意な能力
・テキスト、音声、画像などの、大量な情報を「認識」する
・莫大なデータを、高速で「検索」「分類」「要約」「変換」する
▼AIが苦手な能力
・人間の本能、動機、常識を踏まえた判断能力
・コミュニケーション能力
・説得や交渉、合意形成の能力
・おもてなしの能力
・マネジメント能力
・読み書き、そろばんのリテラシーを創造的に使いこなす力
・事象に対し、「仮説」を立てる力
・上記全般を支える論理的思考能力 これらの能力を身につけるためには、「心理学」「哲学」「統計学」が有効。

                  • -
                  • -

野村直之
メタデータ代表取締役社長
理学博士。1984年、東京大学工学部卒業後、九州大学で理学博士号取得。NEC C&C研究所、米マサチューセッツ工科大学(MIT)人工知能研究所客員研究員、ジャストシステム、リコー勤務をへて、2005年、メタデータ設立。著書に『人工知能が変える仕事の未来』『実践フェーズに突入 最強のAI活用術』、共著に『WordNet』がある。

                  • -

メタデータ代表取締役社長 野村 直之 構成=小澤啓司 撮影=栗原克己 写真=Getty Images

2/2ページ