藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

夢と現実。


JALが遂にパイロットの養成を見送るという。
「一人につき億単位」の養成費用がかかるのがその理由である。
訓練生は「地上勤務か退職か」を迫られるとのことが無理もない。


JAL自身はいま「死に体」である。
報道記事を見るところ、いかに国策会社とて完全国有化でもせぬことには、到底立ち直れない「お役所体質」に満ちているようである。
報道や書籍を見る限り、三割減になっても年収1200万円のパイロットや、一つの社内に8つもある労働組合、赤字路線の管理方法などを見ても、今の体質、遺伝子では再建は難しかろうと思う。
あまりしがらみを引き摺らずに「ガラガラポン」した方がよいのは多くの国策企業の顛末と同様だろう。


また厳しいようだが、訓練生にしても今のJALがどのような将来をたどるか、については事前にもう少し研究も必要だったろうと思う。
ADRとはいえ整理に入った会社の新規投資や人材採用がまともに進むはずはない。
特に「拡大計画」での収束を見ない最近の再建策からすると、経費削減、リストラ、新規雇用や投資の削減、は立て直しの常道である。

最後の分かれ目


日航はさらにこれから5〜7年、パイロット養成を中止するらしい。
「怒りというより、絶望だった」という訓練生の方には気の毒だがそれでもこれからの航空機業界を見つめ、冷静に選択するよりほかないだろう。

「沈みかけている巨船」の上で自分の権利を主張しても、最終的には共に沈む可能性がある。

(というか「浮かび上がる可能性はとても低い」という感じか)


また「ある幹部は、機長と副操縦士の間の年齢に大きな断絶が生じ、技量の伝承など安全面への影響を懸念」と発言している。
この物言いこそが、現在の日航を象徴している、という気がした。
「いかがなものか」という声ばかり。
とて、抜本改革には組合、社員、幹部総がかりで反対する。

挙句に「安全面への影響を懸念」とある、と。
航空会社が「これ」に懸念を示すなら、即廃業すべきである。

そんなことを批判がましく唱える内部体質にこそ、これまでの迷走経営ぶりを察してしまうのは自分だけだろうか。


今こそ指導者の強力なリーダーシップの判断が生死の分かれ目だと思う。
再建を祈るばかりである。



<MSNより>
夢絶たれ深まる絶望感 日航、操縦士130人の養成断念
経営再建中の日航が、パイロット候補生として採用した訓練生約130人の養成を断念した。
地上職として働くか。
早期退職か。
選択を迫られる訓練生。
だが、ほかの航空会社で操縦士を目指す道は険しい。
訓練生の落胆や反発は大きく、日航の将来に大きな影を落としそうだ。

 
■地上職か退職か

「意味が理解できなかった。頭の中が真っ白になった」。
会社が訓練生に養成断念を伝えた6月下旬。
説明会場は、異様な静けさのあと、すすり泣く声に包まれた。


「夢なのではないかと思った。怒りというより、絶望だった」。
訓練生の関係者は、こう本人からその時の気持ちを聞かされた。


正規の操縦士になる訓練は4年程度。
まだ事業用操縦士ライセンスなどを取得していない段階の訓練生が対象。
全体のほぼ半数だ。
訓練はグループに別れて進む。
たまたまライセンスの訓練を終え、対象とならない同期もいる。
こうした理不尽さも絶望感を一層深めている。


早期退職の選択肢を設けた会社は「別の道でパイロットになる可能性を残した」という。
民間の飛行学校や航空大学校で資格を取り、中小や外国航空会社に採用される道はあるが、「採用が少なく、会社を辞めパイロットになるのは極めて難しい」(日航の操縦士)。


大学校は「入学年4月25歳未満」が条件で、全日空は「新卒」が対象。
訓練生の関係者は「採用後、自社で研修や訓練を続けたということは、日航以外からパイロットになる道を奪ったに等しい。養成中止は弱い立場の訓練生への責任の押しつけ」と憤る。


■安全面への影響懸念

大幅な路線削減を進める日航は今後、訓練全体を5〜7年間停止する計画だ。
操縦士養成にかかる費用は1人億単位。
5〜7年後に訓練を再開しても、その後働ける年数を考えるとペイしない。
その時に新規採用した方がいい。
日航の養成断念の理由だ。


訓練生側は「事業計画がまだ定まっていない先のことを、現時点で判断するのは不合理」と反発。
地上職として日航に残り、操縦士として養成するよう会社に求め続ける訓練生が出てくる可能性は高い。
訓練生と副操縦士らでつくる乗員組合も、長期的に支援を続ける考えだ。


ある幹部は、機長と副操縦士の間の年齢に大きな断絶が生じ、技量の伝承など安全面への影響を懸念。
日航が再建を果たしたとしても、今後の大きな火種として残りそうだ。