藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

タクシーの極意。

「トレジャーハントですよ。」先日乗ったタクシーの達人はいう。
どこをどう流すか、どこでいつつけ待ちするが、というのは「すべて根拠ゆえ」だという。
ほほう。
それはそうか。でもどうやって?
その集積度というか工夫の仕方が尋常でないようである。
「例えば事故があって電車がとまるでしょ?あれを細かくチェックするだけでもずい分ちがいますよ。それによく止まる路線も片寄ってますからね。」
なるほど。

「あと、イベントがあったりとか、シーズンの特徴とか、政治とか経済とか。」
政治とか経済?と聞き返すと、「ほらお客さん、選挙とか不祥事なんかがあると、マスコミはすごく動くんですよ。もう時間帯なんか関係なしに車を使うんです。」
ははあ。
では経済は?
「だからさぁ、出版社は締め切り前は忙しいとか、年度末は官庁系は午前様が当たり前、とか会社の決算期は株主総会のあとは派手に飲みに行く社用族が多いとかさぁ、細かくあげたらきりがないよ」とのこと。そして「言わせてもらえば、タクシー運転手ってのは"道端に落ちているお金"を拾ってまわるっていう有り難い職業だと思うねぇ。」
なるほどなるほど。


さらにこのドライバー氏、自分の売り上げだけではなく、仲間の成績も伸ばすのだという。
新聞を三紙ほども読み、ビジネス誌もチェックしながら「本日のお宝地域予想」を披瀝するらしい。
「まあ、全て意識の問題だね。銀行から出て来た人は乗車率が高い、とかね。ほら、お金を下ろしたらちょっと不安なんだろうね。さらに宝くじの当選発表の日は思わぬ拾いものがあったり。」
拾いもの?に

「くじに当たったら、ちょっと気が大きくなって『ヨコハマまで高速で』なんて昼間っから乗ってくれたりすんのよ。このあたりは消費者の心を読むっていうかね。」

もっと聞いていたかったが、近距離の目的地に着いてしまった。
「またね、お客さん。もっとディープな作戦もあるからこんど聞かせるよ。」

とのこと。
次回がとても楽しみである。