藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

動画革命。

革命、と言っても昨日少し書いたことの流れで「飛躍した発展」ではなく「程度の進化」の話である。
これまでは高価で、「そんな使用方法」は許されなかったデジタル記憶媒体が、限りなく安くなり、いろんなユルんだ使途が出て来たのである。


話は逸れるが。

中国では、最近道路での「老人の転倒放置」が増えているという。

それは「当たり屋」のせいだというのだ。

自ら転倒し、怪我をした老人(なぜかほとんど老婆ということであるが)を気の毒に思い、助け起こし、あるいは病院まで連れて行った揚句、「あなたに倒された」と居直られるという「親切心にツケいる」さもしい事件が頻発しているらしい。
おかげで、助けられるはずの「転倒者」は、大勢の目に触れながら放置され、重傷事故になっているというのである。

これを許していては、「良心的な社会」は生まれない。

そんなことにもデジタル技術は役に立つのではないだろうか。
(と言っているさ中、今度は広東省どひき逃げされた二歳の女児が通りがかった人に救助されず、18人もの人に見過ごされて意識不明の重体、という事故が起こっている。)

危険記録システム。

別に特に危険と隣接して生活している人でなくとも。
災厄はどこで遭遇するか分からない。例えば、

痴漢の冤罪とか。
不意の事故とか。
言いがかりとか。

思えばこれまでも、そんな「不意のアクシデント」と結構そこらじゅうに転がっていた。
ただ、そんなことを言っても自分の日常をすべて記録するわけにもいかず、「十分注意して過ごす」というくらいがせいぜいだったのだ。
君子危うきに近寄らず、は至言だったのである。

で何が言いたいか。
例えば「メガネ」とか、「ワイシャツのボタン」にカメラを付け、それを外出時は「常時記録しておく」というようなこと。
都心部の日本のタクシーは、事故の起きた時の見分のために、カメラを装着しているものが多いし、また乗り込んだ「モンスター客」の対応のために、「客を録る用」のカメラも付いていることがある。

ユビキタス+クラウド

これからの社会は「自分の周囲の状態」は「常時記録」しておくようなシステムになるのではないだろうか。
それらは、自動的にクラウドに保存され、必要のないものは消去されよう。
これまでの伝統的な「刑事事件の聞き込み捜査」のようなものは飛躍的にその精度が高まる。

例えば政治家は、当選した途端から、その「公務の記録」が自動的にされる。
学生は、登校した時から記録。
会社員は出勤したら記録。(通勤時は自己防衛とか)
夫婦は結婚したら記録開始(ちょっと極端か)

そうしたら、この世の中につきものの「言った言わない」での争いごとは殆ど無くなるのではないだろうか。
有史以来、ITの最大の効果と言ってもいいだろう。
何せ、「全ては記録されている」のだ。
汚職の現場も、いじめも、契約も、「全部リアルタイムの証拠つき」である。
裁判の進行も早いだろう。

映像記録としての万能性。

何だか、自分の周囲を常時撮影している、というのもプライバシーがないような感じがするが、そう味気ないことばかりではない。
もう観光地や、旅行先で、景色を楽しむ間も惜しんで「ビデオカメラ片手」に記録撮影する役割、は無くなるかもしれない。
何せ、いま自分が見ている景色は「そのまま保存する」ことが可能になっている。
自分が見た綺麗な景色や、大自然の風景などは、わざわざカメラを回さずとも、後からアーカイヴをみれば一目瞭然。
撮影を意識しない「自然な思い出」も記録されているだろう。


インターネットの進化について、次はAI、という声も大きいが、自分はまず「ストレージ溢れ」の社会が来るのではないかと思う。
それは案外便利で、公正な社会を実現するのに一役買うのではないかとも思うのである。

それでも、「道端に倒れている人に手を差し伸べる」という文化が失われては、国とか村とかのコミュニティは意味がないだろう。
"そうした文化(価値観)"を支えるためにもITがその下支えをするのは、とてもよい役回りではないだろうか。

ひき逃げされた女児助けず 中国で「薄情な社会」論議中国広東省仏山市で今月、ひき逃げされた2歳の女児が、現場を通りかかった人たちに救助されなかったため、さらに別の車にひかれ重体となる事故が起きた。人心の荒廃と「冷漠社会(薄情な無関心社会)」の象徴として、中国社会に大きな衝撃を与えている。

 複数の地元メディアによると、一部始終は現場の防犯カメラに映っていた。13日夕、金物の卸売業者が集まる地区の路上で「悦悦ちゃん」がワゴン車にひかれた。それから18人が現場を通りかかったのに路上で苦しむ悦悦ちゃんを助けようとせず、後から来た別のトラックにもひかれた。

 最初の事故から7分後、ゴミ収集をしていた女性がようやく悦悦ちゃんを抱き起こして救急車を呼んだが、悦悦ちゃんは19日現在も意識不明の重体だ。

 省政府は18日、学者や婦人団体幹部らを集めて緊急討論会を開催。救助を怠った市民への罰則の検討を求める意見も出たという。

 テレビや新聞は高い関心を示す。地元有力紙南方都市報は19日、5ページを割いてこの事件を特集。悦悦ちゃんの容体のほか、救助義務に関する海外の法律や市民の声を紹介するなど、7月の温州・高速鉄道事故並みの手厚い報道ぶりだ。

 ネット上では「経済発展の末の道徳の空白。民族の悲哀だ」「自分が現場を通りかかったらどうしていただろうか」といった書き込みが相次いでいる。

(広州=林望