職場からの帰り道、いつもの書店に立ち寄ると「店員のイチ押し!"幸福について"-人生論」とのpop。
誰かの新書かいな?と思ってみるとショーペンハウエルのそれであった。
- 作者: ショーペンハウアー,橋本文夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1958/03/12
- メディア: 文庫
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51刷25万部を超す、お化け書籍だが、こういうのが本当の真書という書きものなのかもしない。
これを現代人が再度ひも解き、自分の住む世相になぞらえてみて心の安寧を得る。
不朽の真作である。
book asahi.comより
幸福について――人生論 [著]アルトゥール・ショーペンハウアー
[文]瀧井朝世(ライター) [掲載]2012年03月25日■肩の荷が下りる名言の数々
160年ほど前にドイツの哲学者が記した人生論が、今月いきなり大きく動き出した。きっかけは2月29日放送のテレビ東京系報道番組「ワールドビジネスサテライト」内の一コーナー「スミスの本棚」。ゲストの小説家・劇作家・演出家の本谷有希子さんが、付箋(ふせん)をたくさん貼った私物の本を手に「幸福にならなきゃと思っている人は、ずいぶん肩の荷が下りると思います」などと語った。
難しい哲学書ではなくユーモアと皮肉たっぷりの随想集で、幸福なんて人間の一大迷妄だと言い切った上で持論を展開。幸せは他人の評価ではなく自らの心のあり方で決まると説き、「最も直接的にわれわれを幸福にしてくれるのは、心の朗らかさである」。精神的に優れた人間は孤独を選ぶと言い、個人的な恨みがあるのかと思うほど「社交好き」をこき下ろす。あまりの毒舌ぶりに笑ってしまうが、他人あるいは自意識との折り合いに悩んだことのある人なら、ラクになる言葉を多々見つけるだろう。幸福を感じにくい今の時代の感覚にフィットする名言が並んでいる。
放送後、ネット書店のアマゾンのランキングでいきなり総合1位に躍り出た。店舗からの注文も殺到、放送から10日もたたないうちに3回計3万2千部の増刷が決定。2000年代以降はだいたい3年に1度3千部の重版ペースだったというから、まさかの急展開である。
「富や地位や名声なんて関係ないとお墨付きをもらって、ほっとする人が多いのでは。我々は苦しむ必要のないところで苦しんでいると教えてくれる本」と文庫編集部の佐々木勉さん。営業部の岑(みね)裕貴さんも「この話題の広がり方は、ワーキングプアや格差社会が話題になっていた頃の『蟹工船』ブームと似ています」と手応えを感じている。
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橋本文夫訳、新潮文庫・578円=51刷25万1千部