藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

2000兆円の管理(2)。

タックスヘイブンの資料から遡り、金持ちのお金の流れが見えるという話。
結局世界中の富裕層を回遊する2000兆円規模のお金が、右往左往しているのも今世紀中の「昔話」になるのではないだろうか。

今先進国でも電子マネーが台頭してきているが、自分は近いうちに「全紙幣」に「ID番号」が振られることになると思う。
まだ、このIT社会は電子パスポートすら「各国間」で実用段階に入っていないが、IT革命の真骨頂はこれからにある、と思う。
つまり「世界中の人間に固有のIDが振られ、管理される時代」はもうそこまで来ているだろう。

さらにその先には「世界中のマネー」に「固有のID」が振られるのだ。

「ある企業の利益から納税されたお金が、国庫に入り、それが銀行から再び貸し出され、別の企業の投資に回り、給与や業者に支払いされてゆく」

といった流れが「紙幣単位」で追及できるようになる。
すでに自分たちは電子マネーとか、「ポイント」などでその実験の端緒に立っているのである。
「真のIT社会」とは、そんな「マネーの完全管理社会」でもあるのだ。
もう不正送金とか、脱税とか、"へそくり"などという可愛らしいものは許されなくなる。

「タンス預金」という言葉も死語になるだろう。
国民総背番号制とも併せて、「マネー総管理体制」の時代がいよいよ来るのである。
いよいよ人類の初体験が始まるのだ。

タックスヘイブンの秘密資料入手 世界の金持ちの名続々
カリブ海に浮かぶ島々は、タックスヘイブン租税回避地)として知られ、節税やマネーロンダリング資金洗浄)目的の巨額の資金が世界中から流れ込んでいる。ベールに包まれてきた取引。その実態を明らかにする250万もの秘密の電子ファイルが報道機関の手に渡った。その中には、フィリピンの故・マルコス大統領の娘や、ロシア副首相の妻、オリンパス粉飾決算の協力者らの取引記録がある。
 英領バージン諸島、ケイマン諸島などに登記された12万を超える数の企業やファンドに関する膨大なファイルを入手したのは、米国ワシントンDCに本拠を置く非営利の報道機関「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)。朝日新聞を含む各国の報道機関とともに半年以上をかけて分析を進めている。
 タックスヘイブンは、法人税所得税などの税率がゼロか極めて低い国や地域。低税率や秘密保持を売りにして、国外資本の会社やファンドの設立を促して資金を呼び込んでいる。
 経営コンサルティング会社「マッキンゼー」の元チーフエコノミストであるジェームズ・ヘンリー氏らの見積もりでは、世界中の大金持ちがタックスヘイブン保有する金融資産の総額は少なくとも21兆ドル(約2千兆円)。多くの場合は合法的な国際取引に利用されるが、脱税や粉飾決算資金洗浄マネーロンダリング)の温床となっているとの批判が根強い。企業情報がほとんど公表されず、カネの流れが見えづらいため、日本や欧米の国税当局も手を焼いているのが実情だ。
 ICIJが入手したファイルは、タックスヘイブンでの会社設立などを代行する専門業者の内部文書だ。カネの動き、登記の日付、企業の株主や役員などが記載されている。そのほとんどはこれまで秘匿されていた情報だ。取引に関わった人たちの多くは、各国の報道機関の取材を拒んだ。
     ◇
 ICIJが入手したファイルによると、フィリピン北イロコス州のアイミー・マルコス知事は英領バージン諸島の「シントラ信託」の受益者になっている。独裁的な統治と腐敗で知られた故・マルコス大統領の長女。フィリピン当局は、それが故・マルコス大統領の隠し財産でないかどうか追及する考えをICIJ側に明らかにした。マルコス知事は記者の問い合わせに返答しなかった。
 モンゴル国会の副議長で元財務大臣のサンガジャブ・バヤルツォグト氏は2008年5月、英領バージン諸島の「レジェンド・プラス・キャピタル」という名前の企業を買収し、その名義でスイスの銀行に口座を開いた。同氏によれば、一時は自身の20万ドル(約1900万円)と「ビジネスの友だち」の80万ドルをその口座に預けていたが、公職者として資産開示していなかった。同氏はICIJに対して「今の地位からの辞任を検討するべきかもしれない」と述べた。
 ロシアのシュワロフ第1副首相の妻は、政府系ガス企業「ガスプロム」の役員とともに、英領バージン諸島の会社に権利を持っていた。取引の実態などに関する取材に対し、副首相の妻は回答を拒んだ。
 ケイマン諸島に登記された「ダイナミック・ドラゴンズ2」というファンドのただ一人の取締役として内部文書に名前が記されていたのは、精密機器メーカーのオリンパス(東京)の損失隠しの協力者として、昨年12月に米連邦捜査局FBI)に逮捕された人物だった。
     ◇
 タックスヘイブンの節税効果は大きい。英領バージン諸島をはじめ、基本的にもうけには税金はかからない地域もある。日本では法人税の基本税率はもうけの25・5%。本社がある自治体に払う地方税を加えれば約36%になる。
 企業を設立、維持するための手続きも日本より簡単だ。国際的な取引を手がける大企業にとって、定期的な株主総会や取締役会を省略できるなど、経営を簡素化できるメリットもある。
 一方で、タックスヘイブンを設ける国・地域にとっては、多数の企業を集めれば、一定の手数料収入が見込める。人口が少なく資源も乏しい地域にとって、有効な外貨獲得手段となっている。
 ただ、本来は日本国内で申告しなければいけない所得を意図的に隠す事例も、相次いで発覚している。こうした事態を受けて日本の国税庁は監視を強化。国内の情報だけでは実態を解明できないとして、欧米などの税務当局とも連携を深めている。
 2011年度に同庁が海外の税務当局に「情報交換」を求めた件数は1006件と過去最多。タックスヘイブンの企業について、登記情報や財務諸表の回答を得たケースも含まれている。今年からは、年末時点で5千万円を超える国外財産を持っている人は、種類や数量、金額を税務署に提出することが新たに義務づけられる。
 それでも実態把握には限界がある。インターネットを通じて個人でもペーパーカンパニーを設立することができる時代になり、すべてを監視するのは不可能だ。日本との情報交換の枠組みが決まっていない地域もある。脱税の手口も、複数のタックスヘイブン間で資金を移動するなど巧妙化している。国税庁の関係者も「努力はしているが、すべてをつかみ切れていないのが実情だ」と認める。
     ◇
 ICIJは、米国の非営利調査報道機関「センター・フォー・パブリック・インテグリティー」の国際報道部門で、朝日新聞社と昨年から提携関係を結んでいる。今回の調査報道では、朝日新聞のほかに英・ガーディアン紙、米ワシントン・ポスト紙、仏ルモンド紙など計38の報道機関の記者が取材にあたっており、今後も分析を続ける。
 取材班)ICIJ=ジェラルド・ライル、マリナ・ウォーカー・ゲバラ、マイケル・ハドソン、ニッキー・ヘイガー、ダンカン・キャンベル、ステファン・カンデア/朝日新聞編集委員・奥山俊宏、岩堀滋、小田健司、金井和之、多田敏男、吉田啓