藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

エスケイプを許すな。

参院選へ向けた主要9党の主張が出揃った。
明確に自民党は「再稼働」を挙げている。
自民党以外は「原発ゼロ」が基本主張である。

けれど、安倍首相も原発国内最大の13基を抱える福井県では口を噤んだという。
さらに北海道、関西、四国、九州電力はもう今月の「再稼働申請」を始めている。
生活の党、などは明確な脱原発を打ち出すが、「再稼働反対を声高にすれば伸び悩む」という事態に大政党は態度を決めかねている。
同様の動きはTPPをめぐっても起きており、まるで「参院選を巡る踏み絵」に対して皆が「踏み絵を避けている」かのような状態である。

原発にしても、TPPにしてもその意見が割れるのは、地域レベルでは仕方のないことであるが、それを「国レベルにいかに集約するか」ということができずに国政など舵取りはできない。
原発再稼働にせよ、原発ゼロにせよ、その先に「なぜか、どうやるか」という部分に踏み込まねばただの人気投票でしかない。
それを地方でTPP含めワイワイやっているのでは、バラバラの意見が集まるだけである。

エネルギーについては慎重に原発再稼働を考えるべきだと自分は思うが、それにしても今の電力会社の体質や、行政の制度は硬直している。

いったん原発ゼロもありき、で旧体制を見直し、再稼働の基準は別に作り直すことが必要ではないだろうか。

今の既得権益ありきの人たちに任せていては、再稼働も脱原発もどちらも実現しないと思えて仕方ないのである。

(5)自民VS「原発ゼロ」
エネルギー政策、議論深まらず
東京電力福島第一原子力発電所事故を教訓とした原発の新しい規制基準が8日、施行された。
原発再稼働に向けた具体的な手続きが始まったことを受け、主要9党の党首は、9日はTBS、10日はテレビ朝日の番組に出演し、論戦を繰り広げた。

「私たちには、低廉で安定的なエネルギーを供給していく責任がある。原子力規制委員会が基準に合うと判断したところについては、地元の皆様の同意を得る努力をしながら、再稼働をしていきたい」

安倍首相はこう述べ、再稼働に向けた決意を強調した。
安倍を除く8党首は、「原発ゼロ」を求める立場で一致。民主党の海江田代表は、再稼働について「一切やってはいけないという考え方ではないが、地元自治体の意見を聞いて慎重のうえにも慎重にやってください」と注文を付けた。共産党の志位委員長は「15万人が避難生活を強いられている中で、再稼働は論外だ」と主張した。安倍は「責任ある立場としては、今、ゼロということを申し上げることはできない」と譲らなかった。

今回の参院選で、原発・エネルギー政策を巡る議論が深まっているとは言い難い。安倍は10日、全国最多の商業用原発13基が立地し、国内で唯一稼働中の関西電力大飯原発3、4号機を抱える福井県を訪れたが、演説で原発に触れることはなかった。東電柏崎刈羽原発のある新潟県で10日に演説した民主党の野田前首相も、再稼働問題への言及を避けた。

昨年の衆院選では、再稼働反対を訴えた政党は伸び悩んだ。新規制基準が施行されたことを受け、北海道、関西、四国、九州の電力4社は8日、再稼働に向けた安全審査を一斉に申請し、手続きを開始した。

日本経済の再生には、電力の安定供給が不可欠だ。各党には、原発再稼働に対する論戦を通じ、現実的なエネルギー政策の提示が求められている。

原発地元 訴え慎重…新潟
新潟選挙区は、東京電力が早期の再稼働を目指す柏崎刈羽原子力発電所を抱える。

自民党塚田一郎は11日、新潟市のJR新潟駅前で演説した。安倍政権の経済政策「アベノミクス」や北朝鮮拉致問題に時間を費やす一方、原発・エネルギー関連では「エネルギー、食料の供給で新たな雇用を創出する」と述べ、さらりと触れただけだった。

塚田は再稼働容認の立場で政府と足並みをそろえるが、演説で原発政策を語ることは控えている。陣営幹部は「柏崎地区以外の県民には、原発問題は実感がないからだ」と解説する。泉田裕彦知事が「再稼働の議論は、今はする段階ではない」と慎重姿勢を明確にしているため、再稼働容認に言及するのは得策でないとの判断もあるとみられる。

民主党風間直樹も10日の三条市での演説会で、食品の放射能規制値の厳格化に尽力したことを紹介したが、原発政策そのものには言及しなかった。

同党が「2030年代に原発稼働ゼロ」を目標として掲げる中、東電労組の支援を受ける風間は、「脱原発」とは一線を画している。6月28日には、東電労組柏崎刈羽原子力支部定期大会に出席し、改めて支援を求めた。だが、参院選公示後、原発再稼働について訴える場面はほとんど見られない。

これに対し、生活の党代表代行の森裕子は11日、長岡市で「原発がなくても電気は足りている。原子力村に代表される既得権と断固戦う」と演説し、脱原発の立場を強調した。

東電は、知事の同意を得られる見通しが立たないことから、現時点では再稼働に必要な安全審査の申請を見送っている。原発運転停止が続けば、電気料金値上げなどで国民生活や経済活動に影響が出る。各候補の訴えからは、国のエネルギー政策や地域経済・雇用に原発をどう位置付けるのか、見えてこない。

農業者、TPP対応に不信感…北海道
北海道選挙区では、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加が大きな争点だ。

自民党伊達忠一は10日、仁木町にある新おたる農協前で、「我々が(関税自由化を)認めるようなことがあれば、農業がダメになるだけでなく、地域がダメになる。北海道の自民党議員が一丸となって戦っている」と述べ、理解を求めた。

JAグループの政治団体「北海道農協政治連盟」は今回、自民党を推薦せず、初の自主投票を決めた。自民党北海道連が昨年の衆院選の地域版公約でTPP交渉の「断固阻止」を掲げたのに対し、3か月後には安倍政権が交渉参加方針を決めたことへの不信感がある。

自民党道連は今回、参院選の地域版公約に「『農林水産物の重要品目の関税撤廃を認めず、聖域が確保できないと判断した場合は脱退も辞さない』という強い決意で臨む」と明記した。

新おたる農協の山田裕二組合長は「与党内でTPP反対の活動をやっていただくことが重要だ」と話す一方、「聖域をどこまで守ってくれるのか。自民党は裏切らないでほしい」と不安を口にする。

民主党道連は地域版公約で、「TPPに断固反対し、道経済を活性化する」と打ち出した。同党の小川勝也は9日、帯広市での街頭演説で「北海道農業が犠牲になっていいのか」と訴えた。(敬称略)
(2013年7月12日 読売新聞)