藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

今の世代で責任を。

競争相手のいないインフラ事業は営利企業と言えるだろうか。
今のように「安全性第一」という機運であれば、もともと官営の方がよかったと思う。
日本中の電気インフラを事業会社が占めてしまったために、「いざ」となっても潰せず、しかし債務の返済も見込めないという、なんとも宙ぶらりんな事態を引き起こしてしまった。

さて、今から「債務を返済するためには、"現行の電気代を倍増"させてもらいます」というのではいかにも責任の所在が不明確である。

どの道、今後は「補償金などの債務返済」と、「適正価格での電力供給」を同時に果たすのは難しそうである。

今後原発の復活や、他のエネルギーへのシフトが選択肢となると思うが、もう「どこまでの責任をどのような形で負ってゆくのか」という「一番重要な問題の答え」がないまま、事態は第二ステージに入ろうとしている。
国はどこまで行っても債務の肩代わりを免れず、また今後何十年経っても「電力の適正料金はいくらか?」という問題には答えがないまま今回のような「個別の経営事情」によって右往左往することになるだろう。

結局事故直後に解決できなかった命題は、そのまま「さらに複雑化」しながら将来に影響してゆくのである。
すでに再来年以降の「電力買取り価格」のことや、国の支援策についてビジネス界は動きつつあるけれど、「そもそもなぜ電力政策は国が関与することになり、どこまで影響するのか」というもんだいは既に線引きができなくなりつつある。

補償の問題一つをとっても、今からでも責任の範囲を決めておかねば将来に禍根を残すだろう。
あと二十年もして世代交代してからでは、次世代の人たちに顔向けできない話ではないだろうか。

廃炉や除染の費用、一企業ではとても…東電社長
東京電力の広瀬直己社長は、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(新潟県)の安全審査を申請したことで金融機関が融資できる環境が整い、電気料金を大幅に値上げする必要性は薄れた、との見方を読売新聞のインタビューで語った。
 ただ、福島第一原発事故に伴う廃炉や除染の費用については、「一つの企業では、とても負いきれない」とも述べ、国の財政支援を求める考えを示した。
 広瀬社長は、審査申請で「見通しが明るくなる計画を経営として持つことができる」と説明した。収支改善を見込んで、経営再建で当面の目標となる2014年3月期の経常利益の黒字化に向けた工事や点検の時期を調整することで、効果的なコスト削減ができるようになるとした。
 主力の火力発電に比べて燃料費が安い原発が再稼働しない場合、東電は電気料金を大幅に値上げせざるをえない。広瀬社長は「(審査申請は)ありがたいフォロー(追い風)のイベント」と語った。
 今後は、再稼働に向けた立地自治体との調整や、東電が「活断層でない」と主張する2基の下を走る断層の審査などが焦点となる。広瀬社長は「非常に時間がかかりそうな、根本的な話が出ないとも限らない。いつ再稼働するか(見通すの)は、なかなか容易でない」と述べた。
 12月に予定する再建計画の見直しでは、「積み残されている問題に触れることが肝だ」と指摘。10兆円を超える可能性がある福島第一原発事故に伴う廃炉や除染の費用負担が国と東電の間であいまいになっている問題を解決する必要があると強調した。
 一方、福島第一原発の汚染水問題について、広瀬社長は「(完全な早期の)解決というのは、なかなか難しい」との考えを説明した。
 貯蔵タンクからの汚染水の流出は「東電の管理の悪さ。しっかりやればコントロールできる」と解決に自信を見せる一方、「地下水の流れを把握して対応するのは簡単でない」として、今後新たな問題が出てくる可能性についても懸念した。
(2013年9月29日14時16分 読売新聞)