藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

実務の難しさ。

一昨年、「子供手当」を民主党が配る際、行政に「配るシステムがない」という理由でとん挫していた。
一体行政というのはどれほど「前例」とか「既定値」にこだわるのか、と呆れたものだが、同様の事態はそこここで起こっている。
介護保険の制度が、もうすでに「被介護者や家族」にとっては分からないものになっている。

たとえば、自宅等に訪問してもらって身体介護をしてもらうような場合、20分未満であれば原則170単位。金額に直すと、
サービスの費用=170単位×10円=1700円
1割負担=1700円×0.1=170円
ということになります。

どうしてそんな話になってしまうのか。
一重に「すべてに適用できる仕組み」を硬直的に目指してしまうからに違いない。
この性質はシステムの開発によく似ているのである。

「要介護」の程度に応じて、保険制度を適用しようという試みと、
その対象者の「収入や環境に応じて」制度の適用を変えようという運用と、
そもそもの高齢者向け施設である有料ホームと「特養その他の介護施設」という国の施設政策の、いわば「三重のマトリクス」を厳格に適用しようとして、複雑怪奇な仕組みになっている。

このまま、国の補助を高齢者に適用しようとすればするほど、さらにその「適用のためのルール」は複雑なものになるだろう。
「ルール作りのためのルール」では結局間接費がかさむばかりで、しかも制度は末端には行き渡らない、ということを自分たちはこれまで何度も経験している。

国の福祉の適用に「所得」という網をかけるのならばその「所得の把握」ということが実現せねばいつまで経っても泥縄の繰り返しである。
制度の再設計は年金だけではなく、これからの保険制度の方が深刻ではないだろうか。

複雑怪奇な介護保険制度 悩んだらプロに相談を
第38回 公認会計士平林亮子2013/9/27 7:00ニュースソース日本経済新聞 電子版
 40歳以上を被保険者とする介護保険。実は私も、あと1年半ほどで被保険者となります。また、私の親世代はいわゆる団塊の世代ですから、本当に介護はひとごとではないと実感するきょうこのごろです。
介護サービスの利用限度単位数要支援14970単位要支援21万400単位要介護11万6580単位要介護21万9480単位要介護32万6750単位要介護43万600単位要介護53万5830単位
 さて、そんな介護保険制度。要介護認定を受ければ、自己負担1割で介護サービスを利用することができます。ただし、自己負担1割で負担できるサービスには限度があります。1カ月に受けられるサービスの限度は単位で定められていて、その範囲内であれば、1割負担で利用できます。
 介護サービスの単価は、単位で決められていて、原則として、1単位に10円を乗じたものがサービスの金額になります。そして、そのうち1割が自己負担となります。
 たとえば、自宅等に訪問してもらって身体介護をしてもらうような場合、20分未満であれば原則170単位。金額に直すと、
サービスの費用=170単位×10円=1700円
1割負担=1700円×0.1=170円
ということになります。
 ただし、これは、あくまでも原則的な話。まず、20分未満の場合の単位数ですが、早朝や深夜には割増になりますし、逆に事業者のサービス責任者の資格の種類によっては割引になったりするなど、同じサービスでもいつ、誰が、どの事業者からサービスを受けるかで、単位数が異なる可能性があります。
 また、サービスによっては、要介護の度合いによって単位数が変わります。さらに、1単位の単価も、地域によって多少の幅があります。原則10円ですが、最高で11.06円を乗じるケースもあります。
 つまり、
介護費用=単位数(時間・事業所・要介護度によって異なる)×単価(原則10円、地域によって異なる)
と計算されるわけです。そして単位数が限度内であれば、上記の1割負担で介護サービスを受けられるのです。
 なお、所得が少ない場合には、個人負担分が一定額を超えると払い戻される「高額介護サービス費」という制度があります。一割の自己負担額のうち、一定額を超えた分は払い戻されるのです。ただし、自ら申請しないと適用されませんのでご注意ください。
 ところで、介護施設などに入った場合には、居住費と食費が必要になりますが、これらは介護保険を利用したサービスとは異なり、原則としてすべて利用者が負担することになります。とはいえ、これが多額になってしまっては、介護保険の意味がありません。そのため、所得に応じた減免があります。これを「特定入所者介護サービス費」といいます。
 対象となるのは、介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設老健)、介護療養型医療施設への入所で、いわゆる有料老人ホームの居住費や食費には適用されません。なお、これも申請が必要ですので、施設に聞いてみてくださいね。
 余談ですが、有料老人ホームは、法律上、特養や老健とはまったく異なる位置づけとなっています。
そもそも、介護サービスは、大きく、(1)居宅系(2)施設系(3)地域密着型の3つに分けられます。
 (1)の居宅系とは、訪問介護など、一般的には自宅にヘルパーさんに来てもらって受けるサービス。(2)の施設系とは、特養や老健により提供されるサービスです。(3)はそれぞれの地域で展開するグループホームなど8種類あるのですが、詳細な説明は省きます。
 有料老人ホームは、あくまでも、住居が老人ホームにあり、そこにヘルパーさんが来てくれるという建てつけになっています。つまり、有料老人ホームで受けることのできる介護サービスは、(1)の居宅系サービスなのです。介護の必要な人が入居する施設、という点では似ている有料老人ホームと特養や老健ですが、受けることのできるサービスの内容は、法律上はまったく異なっているのです。
 介護の金額は、利用しようとするサービスや、施設や、それぞれの所得によって変わってきます。そして、その仕組みは非常に複雑です。そのため、介護事業者や介護施設に、料金についてはっきり聞くようにしてください。また、金銭面などで不安なことがあれば、それを伝えて相談してみてください。
 介護事業者や介護施設は、さまざまな解決方法を知っているものです。時には役所と掛け合い、一緒に解決の道を探ってくれることもあります。ご家庭でご家族の手で介護をすることだけが、心のこもったケアとは限りません。ぜひ、介護保険や介護のプロの力を上手に借りてみてくださいね!