藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

自分の今を理解すること。

yahoo newsより。
薬物報道を見るたびに、アルコールとか嗜好品とか、あるいは珍奇な趣味とかに依存している人は多いな、と感じる。
自分も含め「酒色に耽溺し」なんてのはそこらじゅうにある話だ。

人によって差異はあるだろうけれど、まずは「外部への依存度がどの程度か」。
そして「何に依存しているのか」。
を自分について考えておくことは自分自身を理解するのに役立ちそうだ。

例えば手帳に一ヶ月の行動を記録しておいて使った時間や頻度を拾ってみると色んなものが発見できたりして。
休日には「惰眠依存」とか。
平日には喫茶店の「コーヒー依存」とか。
夜は居酒屋依存症とか。
家飲み依存の人もいるだろう。(自分は両方だ)
「活字依存」とか「漫画依存」とか「音楽依存」「スマホ依存」「ネットゲーム依存」「買い物依存」とか。
もちろん「仕事依存症」の人は昔からいる。

大事なのは他人からの指摘ではなく「自分が自分の状態を見てやろう」という視点なのではないかと思う。
大体自分のことが客観的に見られれば、多くのおかしな事って自分で分かるし解決もしやすい。
くれぐれも自分の依存状態が正常の範囲であることを祈りたい。

覚醒剤じゃなくても、みんななにかに依存している
橘玲 | 作家2016年2月29日 18時3分配信
元有名野球選手が覚醒剤所持・使用容疑で逮捕されました。報道によれば選手時代から覚醒剤を常用していた疑いもあり、近年は完全な依存状態になっていたようです。

健康への影響がタバコよりも少ないマリファナが欧米で解禁されつつあるのに対し、覚醒剤アンフェタミン)やヘロイン、コカインなどはハードドラッグと呼ばれ、強烈な快感と強い依存性から法できびしく取り締まるのが当然とされてきました。ところがノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンやゲイリー・ベッカーらは、マリファナはもちろんハードドラッグも合法化して酒やタバコと同様に市場で取引できるようにすべきだと主張しています。

彼らはもちろん、ドラッグの危険性を軽視しているわけではありません。しかしアメリカにおけるドラッグ・ウォーズを振り返るなら、規制や取締りはほとんど効果がなく、麻薬組織はあいかわらず莫大な利益をほしいままにし、供給側の中南米の国々の治安を破壊しています。また近年のきびしすぎる量刑は、巨額の税金を投じて末端のドラッグディーラーを大量に刑務所に収監することで、黒人やヒスパニックなどマイノリティのコミュニティを危機に陥れました。黒人女性の未婚率や母子家庭の割合が極端に高いのは、若い黒人が刑務所にいるからなのです。

米国での調査では、ハードドラッグ体験者のうち95%は中毒になる前に使用をやめており、依存症になるのは5%程度です。このひとたちはさまざまな理由から依存状態になりやすく、ドラッグを禁止すれば非合法な手段で手に入れようとするか、大量飲酒など他の有害な行動をとるようになります。医師のなかにも、ドラッグよりも酒(アルコール)の方が有害だと考えるひとはたくさんいます。だとすれば、ハードドラッグを合法化し、法の下で製造・販売を管理して、そこからの税収を依存症への治療に充てたらどうでしょうか。

麻薬を合法化すれば地下組織は壊滅し、刑務所に収監される犯罪者の数も激減し、高価な麻薬を入手するための衝動的な犯罪も減るでしょう。麻薬供給国の治安は劇的に改善し、アフガニスタンタリバーンのようなテロ組織がケシを資金源にすることもできなくなります。麻薬依存症はアルコール依存症などと同じく、犯罪ではなく治療の必要な病気として扱われるべきです。

依存症を引き起こすのは、酒や麻薬だけではありません。セックスや恋愛でも脳内にドーパミンなどの快楽物質が分泌されることがわかっており、セックス依存症恋愛依存症が社会問題になりつつありますが、これを法で禁止すれば国民がいなくなってしまいます。過激なナショナリストアイデンティティを国家に依存していますが、国家が国家を禁ずることはできません。IS(イスラム国)のテロが明らかにしたようにもっとも危険な依存の対象は宗教でしょうが、神を違法にすることもできません。

けっきょくのところ、すべてのひとが、多かれ少なかれなにかに依存して生きているのです。私たちは、そんなに強いわけではありません。

だとすれば、必要なのは特定の依存症患者を袋叩きにすることではなく、彼らが社会復帰できるよりよい仕組みをつくっていくことでしょう。このような視点があれば、退屈な芸能ニュースにも多少は深みが出ると思うのですが。

参考:ゲーリー・S. ベッカー『ベッカー教授の経済学ではこう考える』(東洋経済新報社

週刊プレイボーイ』2016年2月22日発売号

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橘玲作家
作家。1959年生まれ。2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。最新刊は『(日本人)かっこにっぽんじん』。