藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

まず世界を制するものは。

日経より。
アリババが東南アジアの「決済イニシアチブ」を取りに動いているという。
その競争は熾烈だ。
コンピュータが発展し始めてから、"決済"というのは常に話題の中心の一つだったけれど、「クレジットカードの時代」と今ではその規模が違う。

「電子決済」に雪崩を打って進む様子は、これまでの「現金」「通貨」「小切手」「手形」「クレジットカード」のような手段とは全く違う。

「キャッシュが死んでしまう」くらいの"統一した決済の時代"になりそうだ。

「買う」と「支払う」と「運ぶ」がほぼ一体になる時代。

「より便利に」「より安全に」「より有利なレート」で支払える手段に利用は集中するのだろう。
今回の「決済革命」が最後とは到底思えないが、数百年に一度の大きな波が、ここにも来ていると思う。

アリババ、東南アで電子決済 タイCPと提携 ネット通販の基盤に

 中国の電子商取引(EC)最大手、アリババ集団は1日、タイ最大財閥、チャロン・ポカパン(CP)グループと電子決済分野で提携すると発表した。アリババの電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」の東南アジアでの拡大を狙う。スマートフォンスマホ)普及で急成長が見込まれるアジアのネット通販市場の「財布」を握り、米アマゾン・ドット・コムなどとの激しい競争を勝ち抜く構えだ。

 「アリペイが使える店舗を増やすには、現地の有力パートナーとの協力が必要だ。10年間で世界で20億人の利用者を目指したい」。アリババ傘下の金融会社、●蟻金融服務(●はむしへんに馬、アント・フィナンシャル)の井賢棟・最高経営責任者(CEO)は1日、香港での提携記者会見でこう宣言した。

 会見にはアリババの馬雲(ジャック・マー)会長、CPグループのタニン・チャラワノン会長の両トップも出席。両社が提携にかける期待の高さを示した。アントはCP傘下のアセンドマネーの株式を取得する。保有割合や出資額は非公表だ。

■アリペイ普及へ

 狙いは東南アジア市場でのアリペイ普及だ。アセンドマネーは約70万人に電子決済サービスなどを提供。タイ国内では携帯電話料金や電気代、小売店での支払いに使われている。インドネシアやフィリピンなど東南ア5カ国でも事業ライセンスを取得している。

 華人が多いタイは中国、韓国に次いでアリペイが使われている。CPがタイで展開するコンビニエンスストアセブンイレブン」約9000店でも導入済みだ。CPと組むことでタイを起点に、他の東南ア各国へのアリペイ普及を加速できると踏んだようだ。

 「決済はアント・フィナンシャルが手掛ける事業の中核だ」。米ゴールドマン・サックス出身のダグラス・フィーギン上席副社長はこう語り、将来は消費者ローンや保険商品の販売など、他の金融サービス提供にも意欲をみせた。一方、CPはアントとの提携により、アリペイが持つビッグデータを消費分析などに活用。売上高の4割を稼ぐ中国市場で商品開発や販売戦略を磨く。

 アリババがネット決済サービスの掌握を急ぐのは、海外EC市場で優位な立場を築くためだ。中国国内のネット通販市場で圧倒的なシェアを誇るアリババだが、売上高の9割近くを中国国内に依存。「内弁慶」の解消が課題となっている。

 アリババは今年4月、タイやシンガポールインドネシアなど東南アジア6カ国でネット通販事業を手掛ける同業大手のラザダを計10億ドル(約1050億円)で買収。買収によって東南アジアでの足場固めに動いた。ただ、ラザダのように海外のネット通販企業を直接買収できる機会は限られる。そこで海外進出の「先遣隊」として注力するのが電子決済だ。

■インドでも出資

 アントは昨年、インドの電子決済最大手「ペイティーエム(Paytm)」の運営会社にも出資した。日本では9月、関西国際空港や成田空港と提携し、空港内の店舗や飲食店でアリペイを使えるようにした。9月末時点で「アリペイ」を使える海外の小売店や飲食店は世界70カ国・地域、8万事業者を超える。

 電子決済はネット通販だけでなく、コンビニでの買い物やタクシー配車など、あらゆる生活場面で存在感を高めている。中国で4億5千万人の利用者を抱えるアリペイをアジアへ水平展開することで、消費者の「電子の財布」を握り、ネット通販などのサービスに顧客を囲い込む戦略だ。

 アジアのネット通販市場の覇権を巡っては、アマゾンもインド市場などの開拓を急ぐ。地場EC企業も成長著しい。アリペイは昨年まで、中国国内のモバイル端末による決済市場で7割を超えるシェアを握っていたが、騰訊控股(テンセント)の電子決済サービス「微信支付ウィーチャットペイ)」が猛追する。今回の提携劇はネット業界の変化の激しさを熟知するアリババの危機感の表れともいえそうだ。

(香港=粟井康夫、上海=小高航、バンコク=小野由香子)