日本には外国人労働者はすでに年間40万人やってきていて、世界5位に入るという。
どうりで街中に外人の店員さんの多いこと。
またその外人さんの優秀なこと。
コンビニ、飲食店、小売店。
怠惰な日本人<勤勉な外国人の流れはすでにできているようだ。
こうした状況をみると、休廃業する事業所の中には、労働者の確保が難しくなったことによるケースがかなり含まれていることは容易に想像できる。その一方で、正社員の代替として業務に就く外国人がいることで休廃業を免れている現実もある。
移民が増えて雇用が脅かされる、というのは保守的な気がするのは自分だけだろうか。
日本はまず安全だし政情不安もない。
住んで働くには(地方都市も含めて)いい環境だ。
シリコンバレーのような「起業のハブ」ではないけれど、さらに積極的に「永住もできる外国人」を戦略的に受け入れてはどうだろうか。
こういうことこそ政治家の役割ではないだろうか。
外国人労働どう向き合う(下)「量」偏重の政策・意識転換を 「選ばれ続ける国」へ正念場 丹野清人・首都大学東京教授
政府は経済財政運営の基本方針(骨太の方針)で外国人材の活用を掲げ、建設・造船・宿泊・介護・農業の5つの業種で「新たな在留資格」を設ける方針を明らかにした。新たな在留資格は「特定技能」と名付けられ、技能実習生が移行することを基本形として想定されているようだ。家族帯同の自由はないが、5年間日本で就労できるようになる。技能実習生の5年と通算すれば、合計10年間働き続けることになる。制度創設で2025年までに50万人超の労働者を確保することを見込んでいる。家族帯同を可能とするための在留資格上の措置についても検討するという。
しかしながら、いま日本が目前にしている危機を考えると、この程度の労働力確保では焼け石に水と言える。まずはこの点を説明しよう。
日本の外国人労働者は16年に初めて100万人を突破して、前年比17万6千人増の108万4千人となった。翌17年には同19万5千人増の127万9千人となった。すなわち最近は1年間で外国人労働者は約20万人増えている。
しかも新たに必要とされる外国人労働者は年々増えている。新しい在留資格の創設で50万人が確保されたとしても対象は5つの業種に限られるので、ほかの職種のことを考えれば実に心もとない。
さらに言えば、一方で毎年帰国する人が大量におり、その差し引きで考える必要がある。15年の1年間に新たに労働市場に参入した外国人は39万人にのぼる。つまり日本経済は既に、年間約40万人の外国人の参入を確保しないと回らないところまで来ている。この現実を踏まえると、新たな在留資格を創設するだけでは済まないだろう。しかも50万人は実際に10年目まで働く人が出てきたときに達成される数字なので、すぐに確保されるわけではない。
もちろん「単純労働者は受け入れない」としてきた政府方針からすれば、外国人労働者受け入れへと大きくかじを切ったようにもみえる。「移民の受け入れ」ではないことに十分に配慮しているというが、10年の滞在期間を公にし、さらに将来は家族帯同に移行する人も出てくることを考えれば、移民受け入れの扉を開けたとみることもできる。
技能実習法の施行を通じて技能実習生の滞在期間が3年から5年に延長されたのは昨年11月のことだ。期間延長の効果を検証することもなく、1年もたたずに滞在期間をさらに2倍にせざるを得なくなったのは、労働力不足がそれほど厳しいということを政府も認めたものだと言える。
「移民」という言葉を使うかどうかはさておき、「移民化させない=長期に外国人労働者を活用しない」との政府方針が、日本の外国人労働者政策を隘路(あいろ)に追い込んでいる。
これまでの技能実習生は、仕事を覚えてこれから教育コストを回収するという段階で帰国していた。技能を身につけさせたところで実習生を帰国させ、新たに入ってきた人に再び最初から教育コストをかけて仕事を覚えさせる。この仕組みでは、もともと教育コストがほとんどかからない職での受け入れが中心になるのはやむを得ない。
近年休廃業の増加が注目されている。全国では倒産する企業の2倍以上の休廃業が生じている(図1参照)。倒産と異なり休廃業では通常、負債を整理したうえで事業を閉めるので周囲に迷惑をかけていない。ある意味で余力のあるうちに手じまいをしている。この点で休廃業は個別企業・事業所の観点からみれば望ましい終わり方かもしれない。
だが社会の観点からみれば徐々に雇用の場が消失していることの裏返しでもあり見過ごせない。しかも地方に目を向けると、休廃業の問題は別の角度からも浮かび上がる。
全国的にみて地域労働市場に占める外国人労働者の割合の高い地域の一つに四国4県がある。この地域では相当前から休廃業が倒産の2倍を超えており、近年は安定的に4倍以上で推移している。
筆者がかつて愛媛県今治市や松山市の事業所の聞き取り調査をした際、「女性はもちろん高齢者も含めて働ける人は既に皆働いている」という話をあちこちで聞いた。この言葉の裏には「だから人が必要になると外国から来てもらうしかない」という現実がある。結果として労働市場に占める外国人の割合が高くなるうえ、増え方や減り方も全国より大きくなる(図2参照)。
外国人比率が高い四国の労働市場でも、技能があまり必要とされない職種に外国人労働者が就いているという現実がある。それでも造船業などでは技能実習生に手取り25万円以上の給与を払うケースもみられる。本来ならば正社員雇用で対処しなければならない分野に、技能実習生を充てている事例も珍しくない。
こうした状況をみると、休廃業する事業所の中には、労働者の確保が難しくなったことによるケースがかなり含まれていることは容易に想像できる。その一方で、正社員の代替として業務に就く外国人がいることで休廃業を免れている現実もある。外国人労働者の受け入れ問題は、日本人の雇用も含めたより大きな労働政策・産業政策の観点から位置付けなくてはならない。
そしてその際には単に一時的に必要となる労働力の確保という視点ではなく、企業の維持・成長にとって外国人は必要な人的資源であり、生産性の上昇に不可欠なものであるとの視点も欠かせない。
残念ながら、これまでの外国人労働者確保を巡る議論は「量」に関するところで止まっていた。家族帯同を認めない方針が続く限り、外国人は単なる量としての労働力の問題にすぎない。そして量の問題である限り、質の問題に転じることはなく、それゆえに低生産性セクターへの労働力供給に吸収されてしまう。
いま外国人労働者問題に必要なのは、これまでの3K(きつい、汚い、危険)労働に代表される低生産性・低賃金セクターに吸収される労働力ではなく、企業・事業所が家族の滞在に必要なコストを払ってでも受け入れたい労働力を確保するという意識だ。
もちろん急速に人口減少が進む中では、一時的に必要な労働力確保も考えなくてはならない。しかし今後も人口減少が進むからこそ、長期的に必要な労働者の受け入れがより喫緊の課題となっている。現在のようなローテーション政策を基本とする大量獲得と大量帰国を同時に行う仕組みは限界に来ている。むしろ一定程度の外国人を長期滞在させられれば、毎年獲得しなくてはならない外国人労働者数を抑えることや労働者のさらなる能力開発も可能になる。
筆者が専門とする移民研究の領域では、途上国の急速な発展を背景に帰還移民(出身国に戻る移民)という新たな問題が関心を集めている。かつてのように移民が移住先に住み着く存在であるとは単純に考えられなくなっている。
こうした状況では、長期的に企業や社会に貢献してくれる人材の確保という視点を日本も前面に掲げなければならないことを自覚すべきだ。
年間40万人の外国人労働者受け入れという規模は、世界的にみてトップ5に入る。この規模での参入が続くには外国人労働者から日本が選ばれ続けなくてはならない。そして選ばれ続けるには、移民化してくれる人がいるなら、それを積極的に評価する意識への転換が必要となるだろう。
〈ポイント〉
○新在留資格で50万人確保でも労働力不足
○大量の外国人獲得・帰国の仕組みは限界
○途上国の発展で出身国に戻る移民が増加たんの・きよと 66年生まれ。一橋大博士課程単位取得退学。専門は労働社会学、国際労働力移動
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