藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

頼もしい相棒に。

ここ数年で「膨大な知識を重ねて特徴を見抜く」ということではAIが完全に人を凌駕した。
これからもそういう分野ではどんどん導入されて、恐ろしくレベルアップするだろう。

シンギュラリティがどうのという前に、これから5年くらいは人の業務の「AIへの置き換えラッシュ」が楽しいテーマになると思う。

AIによる職業淘汰を心配する声も多いが、AIが人助けをしてくれるのはこれからが本番だ。

専門家に聞くと、荷物の仕分けや自動運転やRPAなどの分野よりも「各分野の"専門家"を支援する効果」が非常に高いのだという。

記事中にある「医師をサポートする」とか「研究者のデータ処理を助ける」とかいう「専門家強化ツール」のような役割だ。

つまりAIが専門家の仕事を取ってしまうのではなく「専門家の仕事をさらに優れたものにする」という。

例えば物流の支援なら、AIが最適なルートや方法を提案し、人間のマネージャはそれを元に「他業種との連携」とか「別サービスの発想」などを考える。てな具合だ。

自分にしても「高齢者のマーケットの推移はどうなるだろうか…」とか「法律との関わりについては…」なんてことを考えている時間が多い。
白書とか、民間統計とか、いろんなものを読んで思考を巡らしてはいるものの効率的とは言い難い。
AI(というか優れたコンピュータ)がそうした作業を助けてくれれば「本来やりたいこと」についても考える余裕が出てくるだろう。

まずは自分が「専門家として」どんどん使ってみたいものである。

がん患者を救い医療業界で人気化したAI「ワトソン」の次の狙い
 IBM人工知能(AI)技術「ワトソン」は2016年にがん患者の命を救って話題を集めるや、医療・ヘルスケア業界で仕事が急増した。そのワトソンは次に何を仕掛けるのか――。『週刊ダイヤモンド』7月21日号の第1特集「製薬 電機 IT/ 医療産業エリート大争奪戦」の拡大版として、産業のキーマンたちのインタビューを特別連載でお届けする。第2回はITサービスの巨人、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の金子達哉ヘルスケア・ライフサイエンス事業部パートナーに聞く。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)

――近年の技術進化によって、ライフサイエンスやヘルスケアの分野でのビジネスは広がっていますか。

急速に広がりました。2016年に東京大学医科学研究所で「ワトソン」(IBMのAI技術)ががん患者の病因を突き止めたと報道されたのが転機になりました。

――東大医科研でワトソンが診断の難しい特殊な白血病をわずか10分ほどで見抜き、患者の命を救ったケースですね。国内で初めて、AIが治療に影響を与えたと言われています。

インパクトは相当なもので、あれから病院だけではなく政府などいろいろなところからAIを使って問題を解決できないかという相談が寄せられ、ビジネスがぐっと広がりました。

――それまでのビジネスというと?

国内では500床以上の大病院向けの電子カルテシステム導入を20年以上にわたってやってきました。あとは製薬やライフサイエンス系の企業にERP(基幹系情報システム)導入などのコンサルティング。AI、リアルワールドデータ(診療報酬請求や診療記録、健診など患者の健康状態や医療提供に関連するデータ)などの括りでビジネスをやれるようになったのはこの2、3年。風が吹いてからです。

16年にはヘルスケアの事業部とライフサイエンス・製薬企業向け事業部がシナジーを出せるよう、「ヘルスケア・ライフサイエンス事業部」に統合。製薬企業、医療機関だけではなくて保険、食品、政府、自治体などのさまざまなプロジェクトを手掛けています。

――例えば?

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 国立循環器病研究センターとは、心筋梗塞など心臓疾患の発症や重篤化するリスクについてAIを使って予測し、適切なタイミングでの治療などにつなげるモデルの構築に取り組んでいます。その第2弾では気象データも使っているんですよ。買収した米ウェザー・ カンパニー(気象情報サービス会社)が持つ気象データと心臓疾患などの相関性を調べるというもの。心臓疾患は発症して数時間が勝負であり、天候によって救急体制を変えるといったことにつながっていきます。

第一生命保険藤田保健衛生大学が構築した糖尿病の悪化を予測するモデルでも、データ解析にワトソンが使われました。保険会社にとっては、保険加入者へ付加価値の高いサービスを提供していく取り組みですね。

――医療産業でのAIのマネタイズは、AIを組み込んだ医療機機器について国の認可制度も整っておらず、まだ容易ではありません。ワトソンを使ったサービスは、金銭的収益を生むBtoBビジネスとして成立しているのですか。

はい。うちではすでに、BtoBビジネスにおいてAIが一つの柱になっています。

――収益化で先を走りますが、他社のAI技術やサービスが追いついたり、AIがコモディティ化されることを想定した勝負も仕掛けるとき?

今ないマーケットを自分たちで作って、ビジネスにしていきますよ。AI活用、電子カルテ導入、効率化など今まで個々にプロジェクトを受けてきましたが、最初からAIが組み込まれたアプリケーションをパッケージ化して、この第3四半期以降に出していこうと思っています。

具体例を挙げると、もっと賢い電子カルテ。AIがあらかじめ組み込まれた電子カルテシステムです。

今の電子カルテは記録がメインですが、記録データに論文データなどを組み合わせ機械に学ばせる。そうすることで、医師が音声で入力してワトソンと対話し、一緒に考えを出し合えるようになる。患者ごとのゲノム解析データや薬剤アレルギーなどの情報なども取り込んで解析して、患者の疾患診断や個々に適切な薬なりの治療方針を導き出す時代にしていきたい。

――電子カルテとAIを組み合わせて市場を作るんですね。

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 大病院だけではなく、電子カルテが入っていないクリニックなどに初期費用なしの月1万円とか提供して面を取るとか、イノベーションによる差別化でマーケットシェアを取っていくことも検討します。

もっとも、これは大きな仕掛けの一部。リアルワールドデータにおいては、患者ごとにどういう治療や薬が治りやすいかといったパーソナルケアなどに取り組んでいて、そうなると次に目指す姿はAIというソフトの部分と、リアルワールドデータというデータの部分を繋げるプラットホーマーです。

一歩、二歩、三歩進んで考えると、医療機関内の情報システムは全部繋がり、患者の家もセンサーの付いたスマートハウスになって日常のデータが取れるようになり、これらが全てつながる。今は研究としてやっていますが、未病(病気ではないが健康ともいえない状態)のところがうちはまだちょっと弱い。電子カルテにはその部分のデータがないですから。

健常者が病気にならないようにする新しくて大きいマーケットでビジネスをしていくには、いろいろな会社とパートナーと組んで攻める必要があります。エクササイズレッスンをやっているスポーツクラブだったりね。

BtoBを基本線にしながらも、BtoBtoCといったところが非常に大事になる。パーソナライズなケアの世界は、業界の垣根がどんどんなくなっていくでしょう。

――5年後の絵図は?

糖尿病であれば発症前の段階からα、βなりに細分化され、それごとにマーケティングや薬なりの開発が進んでいる。そのベースとして、AIやリアルワールドデータを活用してもっとインテグレートされたヘルスケアのエコシステム(複数の企業らよって構築された製品やサービスの収益環境)が構築されていると思います。

かねこ・たつや/米国の大学で経営学会計学の学士を取得後、プライスウォーターハウスを経てIBM入社。国内外で製薬企業対象のプロジェクトなどを経験。2016年よりヘルスケア事業部とライフサイエンス事業部が統合されたヘルスケア・ライフサイエンス事業部の事業部長