藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

AIとの将来。

*[ウェブ進化論]主従逆転
日経より。
リーマンでも利益を出した投資家が今回は敗北したという話。
コロナショックによる株価暴落は統計学的に「1600億年に1度の発生確率」とされ、参考データが乏しい苦手分野だった。
人類の誕生からまだ一億年も経ってないはず(追記:6500万年と)でそれほど「想定外」だったらしい。
さらにはこんな指摘もあった。
1月上旬に同社のAIがパンデミックの兆候を予見。世界保健機関(WHO)よりも3週間近く前に、アジアなどの複数の国や企業に警告したが、目立った反応を得られなかった。
まだAIは全幅の信頼を得ていないがこれが救いな気もする。
一転して現在はAIがコロナワクチン作りに利用され始めているらしい…
 
これから時間と共にこうした「予期せぬ事象とAIの分析」が比較されていくと、いつしか大きな「痛みを伴う決定」にもAIの判断が利用されることになるだろう。
人の判断が「主から従」になってゆく
もうすでに証券業界では「アルゴ取引」がほとんどだというからすでに主従関係の逆転は始まっているとも言えるだろう。
むしろ世論を気にして冷静に判断できない今の政治家よりはいいのかもしれないが、果たして人類は残っていけるのか。
哲学的な話を考えておく必要があると思う。
 
コロナに負けた投資の帝王 AIの本領、生かすは人
 
かつてリーマン・ショックの荒波を乗り切った投資家は、新型コロナウイルスの前に完敗した。
「大きな不確実性に襲われた」。米著名投資家のレイ・ダリオ氏は3月18日、顧客に謝罪メッセージを送った。2月末以降の株価暴落に対応できず、旗艦ファンドの運用成績が年初来で21%悪化したためだ。
AIを駆使した投資で知られる米国のレイ・ダリオ氏は、新型コロナウイルスの影響を読み違え顧客に謝罪した=ロイター
資産規模は約17兆円。リスクを巧みに分散する手法で知られ、2008年のリーマン・ショックでもプラスを維持して名を上げた。12年に専門人材を招き、人工知能(AI)を駆使した経済指標の分析で投資成績を高めた。今回はそのAIも景気後退のサインを示さず、株価は暴落しないとみて株式を持ち続けたが、市場は正反対に振れた。
東京都立大学の足立高徳教授は「機械学習で鍛えたモデルが機能しなかった」とみる。AIは膨大な過去データから、未来を予測する。コロナショックによる株価暴落は統計学的に「1600億年に1度の発生確率」とされ、参考データが乏しい苦手分野だった。"投資の帝王"と呼ばれたダリオ氏は「システムを信じたが……」と悔やんだ。
しかしAIが前例なき未来を予見できないわけではない。むしろ、わずかな手掛かりから推論を繰り返し、迫り来る危機に警告も発する。問題は、人間がそれを受け止められるかだ。
「迅速に対応してくれたのは一部にとどまった」。米国の医療系企業、メタバイオタのベン・オッペンハイム氏が悔しさをかみしめる。1月上旬に同社のAIがパンデミックの兆候を予見。世界保健機関(WHO)よりも3週間近く前に、アジアなどの複数の国や企業に警告したが、目立った反応を得られなかった。
同社のAIは、世界中のニュースや各国当局の声明を分析。地域間の人の移動データなども考慮に入れ、感染拡大のリスクを導き出した。なぜ警告は聞き流されたのか。フィンランド・アールト大のレオ・カルカイネン教授は「前例のない事案だと分析データが少ない分、結論も信ぴょう性が低くみられがちだ。外出制限など痛みを伴う決定には使われづらい」と話す。
AIは人知をしのぐ予見力や分析力を発揮するが、あくまで人間の仕事をアシストする役割だ。その力をどこまで生かせるかは、人間の判断にかかっている。
英国のスタートアップ、ベネボレントAI。「人類には新薬開発を待っている余裕はない」。社内議論の末、AIに過去の医学や薬学の論文を学ばせる手法を試し始めた。
2月末には「既存の3薬品が体内でのコロナウイルスの広がりを抑えられるかもしれない」との研究成果を発表した。候補に挙げたのは関節リウマチや多血症の治療薬だ。AIの目が大量のデータから類似性を見いだした。臨床試験などを経れば、世界各地での治療に役立つ可能性がある。
AIは万能ではなく、依存しすぎれば危険を伴う。だが人間の判断を助ける助言役として使いこなせば、ピンチを打開する鍵を見つける力になる。情報パンデミックの危機は、人類にAIとの適切な向き合い方という課題を突きつける。