もう「AIが運用」する投資信託にお金が向いているという。
運用会社はAIの分析対象に独自データを加えるなど、「ひと味違うAI」が担う商品の設定に動き出した。
この「ひと味違うAI」がいつまで必要なのだろうか。
AIは大量のデータを瞬時に分析して学習するが、企業経営の先行きを読むといった中長期の予測は苦手とされる。
では「こうしたこと」ができていけば、ヒトのトレーダーというのは相当なくなると予想する。
思えば将棋や囲碁の「盤面と駒のルール」の中ではすでに人知を超えたというAIが、複雑さこそ比べ物にはならない「政治・経済・ボーダレス」の世界で「人間以上の判断を出し続ける」のはそう遠いことではないだろうと思う。
いろんな観点でAIが「会社や経営者」をスコアリングして分析し始めたら彼らの圧勝になるのではないだろうか。
だって自分たちは未だに「経営の神様」とか「不死鳥のカリスマ」とか日々騒いでいるような状態である。
AI投信、手堅く急成長 残高4000億円 半年で2.9倍
人工知能(AI)が運用する投資信託に資金が流入している。8月中旬時点の残高は4千億円超と、半年間で2.9倍に増えた。膨大なデータを分析してリスクを分散するAIは運用成績が安定するため、人気を集めている。好調な販売を受け、運用会社はAIの分析対象に独自データを加えるなど、「ひと味違うAI」が担う商品の設定に動き出した。日興リサーチセンターによると、AIで運用する公募投信は現在11本。公募投信の国内残高は100兆円規模で、AI投信の残高は今のところ全体の1%に満たない。だが、成長の勢いは強い。2月にスタートしたゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのAIの旗艦ファンドは残高が約2400億円まで増えた。今年できた投信では最大規模だ。
ゴールドマンの旗艦ファンドは約1万社を調べ、約280銘柄に投資している。2600万件以上のニュースや100万本以上のアナリスト・リポートを分析し、「利益率の向上」といったプラス評価が増えた場合に投資するといった形。組み入れ首位は時価総額が世界最大のアップルだ。
特徴的なのは2位のサンタンデール銀行(スペイン)や、4位のDNB(ノルウェー)。AIは欧州の銀行株に値ごろ感があると評価しているようだ。組み入れ率が7%程度の日本はトヨタ自動車など主力の大型株が中心のもよう。内山雅浩・計量運用部長は「決して大勝ちは狙わず、市場平均を3%弱上回る運用を目指している」と語る。
三菱UFJ国際投信の日本株ファンドはAIが翌日の相場を予測する機能を備える。決算などあらゆるデータを読み込んで翌日に相場全体が下がると判断した場合、株価指数先物への売りの比率を高める。
アストマックス投信投資顧問のAI投信は金融情報サイト「ヤフーファイナンス」の投稿をはじめとした大量のデータをAIで分析して投資先を選ぶ。再び成長路線に乗る任天堂に加え、業績が好調な大手の建設株を中心に組み入れている。
AIは大量のデータを瞬時に分析して学習するが、企業経営の先行きを読むといった中長期の予測は苦手とされる。短期の株価予測に頼る投資判断が、大きなもうけも損もない「安定」につながっている面はある。先行きを読みながら高い収益を狙うAIへ進化するには、課題も残っている。