ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/11/06
- メディア: 新書
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びっくり。
懸賞といわれるものに当選したのは初めて。
直筆サイン入り、なので結局「お宝」にして、読書用は別に買ったのだがきちんと書棚の一番上に保管しておくことにする。(拝)
ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
懸賞といわれるものに当選したのは初めて。
直筆サイン入り、なので結局「お宝」にして、読書用は別に買ったのだがきちんと書棚の一番上に保管しておくことにする。(拝)
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読後感を二つばかり。
1.この世(日本)は、これほど「ゆがんだ権力構造」になっている、ということ。
自分たち一般人の住む社会では、悪いことをすれば「結構な割合」で注意されたり、罰を受けたりする。
自転車をチョイと拝借したつもりでも、あっという間に窃盗犯になったり。
(東京の刑法犯の検挙率は平成17年で34%とのことだが)
「反転」を読んで「国家権力に近いところ」にはこれほどの「巨悪」が、次から次へと、まるで「温泉場のあぶく」のように涌いて出ているのか。
政治家は何をしているのか、と暗澹たる思いに。
つまり、著者はもはやそんなことは当然、という書きぶりだが、「追求されない悪事」のやりたい放題ぶりが赤裸々に書かれている。
政治家の悪事なぞ珍しくもない、と言われるが、これほど並ぶと胸が悪い。
しかも検察。
検察からして、ガチガチの権力のもとで運営されている、と知ったらだれが検事になろうという志を持つのか。
著者が弁護士に転身した理由もそのあたりにあるようだ。
「最高検の幹部が親戚にいるから」
「建設大臣が縁戚だから」
「政治判断、国益のため」
作品中では「特捜の本懐」とし、幾度となく「政治権力」に斬りこみながらも、
その度に「上からストップ」をかけられるエピソードの連続だ。
リクルート事件や、田中金脈などは大大金星、よくぞ起訴できたものだ、とまったくその「珍しさ」に驚いた。
黒い事件のほとんどは表に出てこない。
そんな権力構造の中での、でも止むにやまれぬ「正義の検察」なのだ、と思い知った。
むしろ、裏側である「権力の側」からみれば当たり前かもしれないが、今の続発する不祥事などかわいいものだ、とさえ思えてしまう。
政治家がこれでは、この国の構造は変わらないのではないか。
やはり「構造改革」は必要だ、と思った。
2.著者はこの本の出版自身を「判決の動静」に有利になることを願って出していないか。
イヤないい方だが、自分の検事としての心構え、弁護士としての倫理観、などは一貫して「それぞれの正義」を主張しているように見える。
また、公判中の「手形詐欺への関与」についても検察の描く「ある筋道」を想定し、それへの反証を挙げているが、そもそもが、「検察のドン」に睨まれたゆえの「冤罪」でしかない、とも一貫して主張する。
読み物としては面白いが、事実関係を示すドキュメンタリーものとしては、内容に「ある種の偏り」を感じた次第。
以前にも書いたが、やはり「その職業の本分」はどこにあるのか。
どんな職業にも「光と影」はある。
が、その多くは事前には分からないものが圧倒的に多い。
ただ「悪を正す」「加害者の代わりになる」「正義の代理」というだけの思いでは到底法曹界を目指せぬことを、本著は語っている。
なにより著者自身その「矛盾点」に悩み、影響されて公判中なのだ。
「仕事の光と影」を後進に伝えていくのは、今の自分達の義務だと強く思った次第。