藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

旧体制の硬直度。

公務員改革が、政治家の定数削減などに先駆けて動き出している。
ギリシアは国民の四人に一人が公務員、というが日本もそれに負けず「削減」への拒否反応は強い。
やはり一度「国家、国民の公僕として働く」と思った人たちが、今さら「人員削減」と言われてもピンとこないのだろうと思う。
こうした「職業への認識」なども、国が若い人たちへ一貫してしておかねばならない職業教育だろう。

時代が「大きな官僚組織」から「小さな政府」へと変わってきたのはここ50年のことである。
"いったん緩んでしまった制度"を引き締めるのは、学校にせよ、民間企業にせよ、行政にせよ、非常に難しい。
そこにははからずも「既得権益者」が出てきてしまう。
本人に悪気はないにせよ、「今の立場が、これまでにない理由で脅かされるのは脅威である」という立場の主張に、周囲は立ち尽くしてしまうのである。
"だが、それでは改革は成せない"という認識を周囲が持てないならば、その国や集団は「ギリシァ化」して、結局「沈む船」になってしまう。

小さな政府は、決して行政官を減らすためにあるのではない。
全体のバランスを維持するためにあるのだ、ということを、今のこのネット時代に民衆に示すのが政府・政治家の役割ではないかと思う。

透明化され、もはや周知の事実となったことに、民衆は決して「耳を傾けない」ことなはい。
見えない事実にはいろいろと呟くが、結果が示されれば、非常に「和を尊ぶ」のが日本の民衆だと思う。
思えば、これからの政治家の能力は、そうした「プロセスの透明化」を有権者に対してやれるかどうか、ということにかかってくるのではないだろうか。

公務員削減も、子供手当も高齢者医療費の負担増も、すべて「そうしたほうがいいね」という理屈の見えやすさが、今の政治には求められているのである。
衆愚衆愚というが、有権者はそれほど盲目ではないと思うのだ。

公務員7割採用減 異例の閣僚折衝、政治決着狙う
各省反発

政府は2013年度に新規採用する国家公務員数の大幅抑制に向け、閣僚による折衝を来週実施する方針を決めた。消費増税に理解を得るための「身を切る改革」の一環とする岡田克也副総理の要請に、各府省から「組織が持たない」と反発や不満が相次いだためだ。採用調整に閣僚が乗り出すのは異例だ。

「採用抑制の調整は厳しく、閣僚折衝は避けられない。その前に事務方でできる限りの整理をしてほしい」。竹歳誠官房副長官は16日の各府省連絡会議で、事務次官らにこう指示した。採用数は4月から始まる試験に備えて3月末には確定させる必要がある。岡田氏や川端達夫総務相が各閣僚と協議する見通しで、政治主導の決着をめざす。

総務省は既に各府省に全体で09年度比7割減となる抑制案を提示した。削減幅が大きい府省で74%減、少ない府省でも50%減となる。民主党政権交代前の09年度に8511人だった採用を11年度は37%減(5333人)、12年度は26%減(6336人)と抑えてきた。岡田氏はさらに13年度から2年間、大幅抑制を継続する方針を掲げた。

■「伝承途切れる」
各府省では悲鳴が上がる。刑務官を抱える法務省は「治安悪化の恐れもある」と指摘。検察官も削減対象のため
「司法試験に受かっても採用されなければ法曹養成の根本にかかわる」(滝実法務副大臣)としている。

6割超の削減を示された外務省では「在留邦人の増加で邦人保護やビザ発給など関連業務は増えている」と在外公館の職員減少を懸念する。財務省は「入省3〜4年の官僚を地方の国税調査官に出す通例もままならなくなる」と現場へのしわ寄せに言及。経済産業省には「法律や規制のノウハウ伝承が途切れてしまう」との声がある。

閣僚も呼応する。岡田氏が大幅抑制を要請した6日の行政改革実行本部では、6割超の削減を迫られた田中直紀防衛相が「緊急時に備えることが難しい場合もある」とし、玄葉光一郎外相も記者会見で「本来は在外公館を強化する時代だ」と反論した。15日には連合の南雲弘行事務局長が藤村修官房長官を訪ね、就職難の時代に政府が率先して若者の雇用を絞ると懸念を示した。

■根本的改革なく
民主党は09年衆院選マニフェスト政権公約)に国家公務員総人件費2割削減の目標を掲げたが、実現のめどは立っていない。出先機関廃止や仕事の地方移管による定数削減が難航。国家公務員給与を12年度から2年間平均7.8%引き下げる特例措置は決めたものの、09年度比の削減幅は1割程度にとどまる。支持団体に連合を抱えて公務員制度のあり方などの根本的な改革は置き去りにされている。消費増税を実現するため、政権にとって手のつけやすい採用抑制に走った形だが、決着はまだ付いていない。