藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

自分の世界で一番になること

やるべきことが見えてくる研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論

やるべきことが見えてくる研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論


Ideas are new combinations(新しいアイデアは新しい組み合わせである)


とはジェームズ・ヤングの言葉とのことだが、さもありなん。
無から有、を生むような発明はそれこそ努力だけでは為し得ないことも多い。
特許などその典型である。


だが、どのような方法でもいい。

自分の立つ領域で、自分の定義でNo.1になること。
トップ集団でなくともいい。

ローカル集団で構わぬから、トップに立つこと。


これが研究者としての最大の戦略だ、と説く。

確かに、研究者であれ、ビジネスマンであれ、「何か努力して突っ走った後」結果、「トップかどうか」という判定を自分たちはしがちである。

だが、それではまったく「戦略的」でないのだ。
予め、「その分野」ではトップに踊りどることができるような、そんなフィールドを。


あざといようだが、研究者の著者の無駄をそぎ落とした戦略だと思う。


「まず一番になれるカテゴリーを見極めてから、突っ走る。」
実は闇雲に走っているのではない。
「あたり」はついているのだ。

ビジネスでも。


度々で恐縮だが、ビジネスでも全く同じではないか。


「その分野で生きていけるかどうか」を斟酌して起業する人は多いだろう。
だがいつしか「業界トップ」が明確に頭に描けている経営者はごくまれではないか。
自分などは反省しきり。


でも今から考えよう、と思う。
自分だけの世界、自分がトップである、といえる水準の仕事ができるかどうか。

この章で著者は「Dip」という概念を紹介している。

Dipとは、「その世界から撤退したいと誰もが感じる時期のこと」とある。
一旦はその世界に飛び込んだものの、皆がぶつかる壁にぶち当たり、そこから逃げたい、と思う状態。
そのDipを越えたものが、その分野でトップになれるという。
この見極めは難しい。

Dipの先、は何もないかもしれないからである。


今の挫折、スランプがDipであり、その先には自分にだけ開かれた世界があるかどうか、ということは相当な見極めを必要とするだろう。
だからこそ、著者は説く。

「まず自分の世界でトップになる見極めをつけること」。そして
「今は困難に見えても、その向こうに『自分唯一の何か』をもたらす期待があるならば、そのDipを諦めずに貫くこと」。


ビジネスも、こんな視点を持ちながらドライブできれば、と改めて思う。


思えば、「事業をする人」の中でこれほどまでに戦略性を持ち、オリジナリティを追求する人は少ない。
多くはオリジナリティより、いわゆる「ビジネスモデル」の信憑性に目が行きがちである。


その意味で研究者の真摯に「独自性」を追求する姿勢、というのはビジネスにおいては、実に新鮮なアプローチ手法に思えるのだ。
参考にしない手はない。