藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

貧してもどんせず。


法律扶助の利用が頂点に達しているという。
一位は多重債務の相談(72.6%!)、
二位は離婚やDV(15.4%)
三位は労働事件(2%)。


まだまだ法律相談の底辺に弁護士や、その他の法律家の手は行き渡っているとは言えない。
日本の「法律相談ニーズ」は年間一千万件超と言われている。
「一部の重大な問題」にすら、まだ相談のネットワークは十分ではない。


それが潜在的な需要に比しては、まだまだ足りないのは想像に難くない。
法律扶助、とか弁護士の増員とか、裁判員制度とか、国の施策は進んでいるが、一番「指標」としてもらいたいのは国民の「法律相談件数」の動向である。
セーフティネットの問題と同じく、法律相談のすそ野を広げて本当の欲求を吸い上げることなしには「受け狙い」の場当たり対応の誹りを免れないだろう。
弱い人の声、をどこまで吸い上げ、具体策に仕上げられるか。


政治の評価とはそんな派手でない、地道なところで評価されるのではないだろうか。
いたずらに「救済ありき」でもなく、しかし「弱者切り捨て」にならないような一般人への配慮が、実は政策支持への近道なのではないだろうか。
新党結成とか、またしも派手なパフォーマンスには、もう飽き飽きしている、というのが多数の感想ではないだろうか。



asahi.comより>

経済的に苦しい人向けに国が裁判費用などを一時的に立て替える「民事法律扶助制度」がパンク寸前に陥っている。
昨秋以来の不況の影響で、借金の清算や解雇をめぐって支援を求める人が急増しているからだ。
制度を運営する日本司法支援センター(法テラス)の予算は底をつきそうで、利用を制限する事態に追い込まれている。

 「次に何をしたらいいか、ようやく見えてきた」

 夫からの暴力と多重債務に悩まされ、昨夏、逃げ込んだ施設で法テラスを紹介された都内の主婦(37)は最近、明るさを取り戻した。
弁護士の助けを借りて、解決の糸口を見つけたようだ。こうした深刻な相談が今年に入ってさらに増えているという。

 民事法律扶助は、06年10月から全国で業務を始めた法テラスが窓口。
独立行政法人に準じる組織で、市民の法的トラブルの解決を支援する。
法テラスによると、裁判費用などを立て替える「代理援助」が金額ベースで全体の85%を占めており、この急増が響いている。
今年4〜8月で計4万1865件に達し、前年同期の3万1156件から34%も増えた。


 内訳をみると、自己破産や多重債務の事件が3万392件(72.6%)で最も多く、離婚やDV(配偶者間の暴力)などの家事事件が6445件(15.4%)、不当解雇などの労働事件が853件(2%)となっている。
特に労働事件は前年同期の354件から2倍以上の伸びだ。

 法テラスは今年度の利用額を約140億円と見込んでいたが、このままのペースが続けば2月ごろには底をつきそうだという。

 日本弁護士連合会は今年度に30億円ほど不足すると試算しており、今月、千葉景子法相あてに必要な財政措置を求めた。
日弁連の村越進・民事法律扶助本部長は「利用を制限するようなことがあっては、市民のセーフティーネットとしての機能が損なわれる」と訴えている。

 こうした情勢を受けて法務省は15日、厳しく減額を求められた来年度予算でも、法テラスへの運営交付金は51億円増の155億円を要求。

千葉法相は16日の会見で、「国民の生活支援という点でメリハリを付けた」と説明し、今年度の不足分も「何とか追加措置をとっていただけるよう努力したい」と話している。

 法テラスは9月以降、「苦肉の策」として全国の都道府県に設置された事務所ごとに毎月の利用枠を設け、あふれた分はできるだけ翌月に回すよう指示した。
年度内に予算を使い切った場合は、来年度に持ち越す方針だ。

 日本の民事法律扶助予算は先進国の中でも低い水準で、利用が増えること自体は法テラスも望ましいと考えている。
ただ、急激な利用増に予算が追いつかない状態だ。谷真人・事務局次長は「DVなど緊急の案件は優先して対応するようにしており、利用を断ることはない。
厳しい状況だが、何とか要求に応えていきたい」と話している。(延与光貞)

     ◇

 〈民事法律扶助制度〉 経済的に苦しくても必要な法律的支援が得られるよう、収入が一定の基準以下の人に対して国が費用を立て替えたり、負担したりする制度。
(1)弁護士や司法書士費用などの代理援助
(2)自分で訴訟をする際、書類作成だけを弁護士らに頼む書類作成援助
(3)法律相談援助(無料)の3種類がある。
(1)(2)の利用者は毎月5千〜1万円ずつ返せばよい。
従来は財団法人「法律扶助協会」が運営していたが、06年10月から日本司法支援センター(法テラス)が業務を引き継いだ。