藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

これからの業界。


日本司法支援センター、通称「法テラス」が伸び悩んでいる。
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/081024/sty0810240845006-n1.htm

これは、当初から懸念されたことだが、法テラスだけの問題では決してない。

「認知度が低いため、期待されるほど利用されていない。」との分析だが。

そうとは思えぬ。

開業当初に年間100万件と想定されていた相談件数は、23万5593件(平成18年10月〜19年9月)。
19年10月〜20年9月の相談件数も23万7214件と微増にとどまっている。

国内に一千万件超、といわれる「法律問題」。

弁護士法の縛りもあって、基本的に扱えるのは弁護士、司法書士のみ。


ここに最大の問題がある。
なぜ100万件、と予想されたものが利用されないか。

「サービス」が消費者のニーズに合っていないから、に他ならぬ。
サービス業の業界、のイロハである。

また

9月からインターネット上に広告を掲載しており、東京、大阪、名古屋など大都市の大型ビジョンでCMを流すことも予定している。

これも奏功しないだろう。


問題の所在


今も昔も一般市民、は法律問題をかかえてウロウロしている。
その数は一千万件を超えるだろう。

問題はその「受け皿」にある。

二万数千人の弁護士と司法書士
これで一千万件を処理するとなると単純平均で一年に250件。


今平均とされる弁護士一人あたり(年30件)と比べて実に八倍以上の開き。
つまり法テラスの今後は「その受け皿」をいかに整備するか、にかかっている。


幸い規制緩和の恩恵を受け、弁護士は増員中で、昔は年500名だったのが今や三千人時代を迎えている。


あとは相談の受付や、聞き取り、データを管理するソフトウェアが必要だ。
そしてそれらを使いこなす優秀な事務員と。

いつの時代も「手作業で固めた業務」をプログラミングし、それをユーザがさらに使いこんでゆく、というのは「情報システム化の王道」である。

ようやく、法律業界にもそんな波が押し寄せつつある。
法テラスが発展するかどうか、は自分たち「法律事務所やシステムハウス」の今後が決めるのだ、ということを忘れてはならない。




<記事全文>

「法テラス」発足2年 伸びぬ認知度 8割が「存在知らない」


法テラスのコールセンター。
裁判所や検察庁のOBらが電話での相談に応じている。


多重債務や離婚、相続といったトラブルの相談を受け付け、対処方法を紹介する日本司法支援センター(法テラス)のコールセンターへの相談件数が伸び悩んでいる。
法テラスの存在すら知らない人が多いため、運営開始から2年を経ても相談件数は当初予想の4分の1。
「司法を国民の身近な存在に」と国費で設立された公的法人だけに、早急な対策が求められる。
(中略)


法テラスで利用できるさまざまなサービスの総合入り口となっているコールセンターだが、開業当初に年間100万件と想定されていた相談件数は、23万5593件(平成18年10月〜19年9月)。
19年10月〜20年9月の相談件数も23万7214件と微増にとどまっている。


低迷の原因は法テラス自体の知名度が高くないことにある。
今年2月に1100人を対象にアンケートを実施したところ、法テラスを「知っている」と答えたのは22・6%。8割近い人が存在を知らず、業務内容まで知っている人は、わずか3・9%だった。


さらに、法テラスを「利用してみたいと思わない」「分からない」と答えた人に理由を尋ねたところ、「なじみがなく、初めて聞く名称の法人だから」と回答した人が最も多かった。


法テラスの石山宏樹総務課長は「潜在的な需要はあるので、認知度を上げないといけない」と分析。
今月1日に開いたイベントのほか、9月からインターネット上に広告を掲載しており、東京、大阪、名古屋など大都市の大型ビジョンでCMを流すことも予定している。


法テラスについて、早稲田大学法科大学院伊藤真客員教授民事訴訟法)は「経済的に苦しい人や社会的に弱い人は被害に遭ったとき、誰に助言を求めていいか分からない。
そういう人と法律家をつなぐ組織として必要な存在だ」と話す。


その上で、「認知度が低いため、期待されるほど利用されていない。受け身ではなく、自治体などと提携して、積極的に存在をアピールしていく必要がある」と課題を指摘している。



【用語解説】法テラス

総合法律支援法に基づき、政府の全額出資で設立され、平成18年10月2日から業務を開始した。
電話やメールでの相談に対し、法制度の仕組みを伝えたり、弁護士会などの相談窓口を紹介する「情報提供」のほか、経済的に困っている人の弁護士費用などを立て替える「民事法律扶助」、司法過疎地域に常駐の弁護士を置き法律サービスを提供する「司法過疎対策」などが主な業務。