*[ウェブ進化論]立法・行政・司法は20年後。
政府が裁判の文書の電子提出を検討しているという。
自分が法曹界に関わった20年前からあった話だ。
法務省や内閣など、色んなところに提案書を持って回ったが全く具体化しなかった。
今思ってみると「お上」がITの技術導入にもっともニブいことに気づく。いわゆる"権力者"は変化を嫌うのだ。そして、だからいずれ瓦解する、というのは実に皮肉で、しかしながら普遍的なストーリーと言うしかない。
高齢者が増えるこれからがピークで、「高齢者主軸の時代」は終わってゆく。
そのあとは若者というか「現役の時代」になり、今の"お上の体制"は間違いなく滅んで行くと思う。
多分これから20年後だろう。
今の六十代以上の層にとってみれば「逃げ切る」を考えているだろうが、そんな人たちに振り回されることなく、今の二十代以上の人たちは「自分たちの社会」のことを考えておいた方がいい。
ネットの普及で一人一人の声が「圧雪」されていた時代はもう直ぐ終わるから。
ただ「好き嫌いだけで何でも決まる社会」は戦前の日本みたいになる可能性もあるから、若者にはいつも"オープンマインド"でいてもらいたいと思う。
弁護士立てない「本人訴訟」サポートどうする?
2019年9月25日 2:00
インターネットでの訴訟申し立て、提出文書にネットでアクセス――。政府が検討を進めている民事裁判手続きのIT(情報技術)化で、代理人弁護士を立てない「本人訴訟」への対応が課題となっている。書面を一切認めず、完全なIT化を目指すか。あるいは本人訴訟に限り、書面による手続きができるようにすべきか。ネットを通じた申請に不慣れな人が裁判を受けにくくなる懸念があり、サポート体制をどう築くか焦点となりそうだ。
民事裁判手続きのIT化が目標としているのは、コスト削減と審理のスピードアップだ。例えば実際に裁判を申し立てるには、訴状など大量の書類の用意が必要となる。司法のIT化が進んでいる米国や韓国、シンガポールなどではネットで文書を提出できるが、日本では紙の書類を裁判所に持参したり郵送したりしなければならない。かねて弁護士などから「負担が大きい」といった声が寄せられてきた。
世界銀行の2019年のビジネス環境ランキングで、日本の司法の利便性は52位と出遅れている。政府は国際基準の民事裁判を目指す方針で、「e提出」「e法廷」「e事件管理」といった3つのe(電子化)を掲げ、有識者らによる研究会を設けて議論してきた。e法廷とは裁判所と法律事務所をオンラインで結んで審理する仕組みだ。まず20年2月ごろから一部の裁判所でウェブ会議を使った争点整理が始まる見通し。一方、e提出とe事件管理については民事訴訟法などの改正が必要で、22年度以降に導入される予定だ。
IT化に向けた今後の焦点について法務省幹部は「オンライン申し立ての義務化の在り方だ」と語る。研究会は現時点で(1)原則義務化(2)条件付きで義務化――という2案を掲げている。
いずれの案でも本人訴訟に対する措置が課題として浮上している。最高裁の統計によると、18年度に全国の地裁で審理された民事訴訟(約13万8千件)のうち、原告、被告のいずれかあるいは両方が本人訴訟だったケースが過半を占める。訴訟になじみがないうえ、ITにも不慣れな人をどう支援するか。サポート体制に関する具体的な議論が重要だ。
司法のIT化が進む海外ではどう対応しているのだろうか。国ごとに司法制度が異なるものの、先行事例は参考になりそうだ。
IT化が義務化されているシンガポールでは、「ITに不慣れな人でも書面を裁判所に持参すれば、委託を受けた民間スタッフが書面を電子化してくれる仕組みがある」(日本大学の杉本純子教授)。電子化に伴うコストは「本人負担となっている」という。
法務インサイド
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韓国では、電子訴訟か、書面による訴訟かを選べる。電子訴訟を選択する場合、趙貴章弁護士は「裁判所のホームページで手続きのひな型が紹介されるなど、簡単で分かりやすいシステムが構築されている」という。18年の一審の電子訴訟の利用率は71%を超えている。
米国の本人訴訟では、基本的にIT化が義務付けられていない。ただ州によっては裁判所が許可すれば、電子訴訟を選ぶことができる。書面は裁判所に持参・郵送すると「裁判所の職員が電子化してくれる」(杉本氏)という。
米国のカリフォルニア州では「各地に州裁判所がヘルプセンターを設置し、専門のスタッフが本人訴訟のサポートに当たっている」(早稲田大学の石田京子准教授)。スタッフは原則として弁護士で、外国人の住民にも対応できるよう英語のほか中国語やスペイン語、ロシア語など「2カ国語を話すことができる」という。
日本では今後、研究会が19年中に報告書をまとめたうえで、20年2月の法制審議会(法相の諮問機関)に諮る予定だ。日本に適したサポート体制を築くには、裁判所や日本司法支援センター(法テラス)、日本弁護士連合会といった関係者がスピード感をもって支援の枠組みを考えていく必要がある。
(江藤俊也)