藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

救済の基準。


いよいよ五月。
来月には「貸金業の総量規制」が始まる。
だいたい土地取引とか、これまでこの名前の規制が施行されて、景気が良くなった、という記憶がないが、まあそれはともかく。

これまで年収の二倍程度、を目処にキャッシングをしてきた金融業者に、「利率は年18%以下、さらに年収の1/3以下、(さらには300万円以下)」の規制が実施される。

1500万人とされる消費者金融の利用者の中で、実に半数以上のユーザーが影響を受けるという。

突然、借入ができなくなり、生活に困窮する「借金難民」が続出する懸念が指摘されている。

当たり前である。
よほど生活を変えない限り、これまで年収400万円の人が800万円まで借りていたものが、「133万円」まで借金が無くならねば正常、ということにならない。

破産者にも融資。


そして、さらに奇妙な制度が始まるらしい。

自己破産した場合、新規融資を受けられなくなったり、クレジットカードを作れなくなるケースが多いため、違法な闇金を利用し、さらに状況が悪化する恐れがある。
自己破産者融資などの安全網を整備しておけば、こうした事態を防ぎ、安心して生活再建に取り組むことができる。


破産、というのは申立てた人が「目ぼしい財産がなく、借金を返せない」ことを国(裁判所)が認める制度である。
「なぜそうなったのか」ということを語らずに、「しばらくクレジットカードが使えないから、借金できるようにしてやろう」というのは政策ではない。

またしても。「ソフトウェア」がないのである。

破産した人が、その後定職に就ける、とか血縁者の身寄りになる、とかの「先の見通しがつくかどうか」ということが最大の論点である。
いくら破産を認めても、そのまま職がなければ、その後借金しようとしまいと、結局「難民」である。


難民を作らないためには、抜本的に「職に就けない人、就かない人」にメスを入れない限り根治療法にはならない。
「融資」でその場をしのぐのは、ただただ問題を先送りし、「ゆくゆく景気が回復すればいいね」などというお為ごかしでしかない。
その意味で「派遣村」とかも、ただそれだけでは解決には向かって行かないだろうと思う。


破綻したままの破産した人に、幾ばくかの金を融資しても、それは「うちの役所も頑張ってるんです」的ないいわけに終始するだろう。
もっとも重要な「雇用」の事実をどうハンドリングするのか。
現政権は「そこ」に正面から立ち向かわずして、いかなる施策も奏功しないだろうと思う。


重要なのは融資制度ではない。
「雇用に結びつく道筋」をいかに示すか、なのである。
補助金とか緊急支援、というのは「それ」があってこそのもの。
先も見えないのに8%で融資を受けても、弥縫策にしか過ぎない、ということを強く思う。

労金、自己破産者に融資へ 貸金業法改正で安全網整備
企業の労働組合やその組合員が加盟する労働金庫の上部組織「全国労働金庫協会」(東京都千代田区)は6日、自己破産者に生活資金を融資する制度を導入する方針を固めた。


6月に予定される改正貸金業法の完全施行による規制強化で、消費者金融などからお金が借りられなくなり、自己破産に追い込まれる人が増えると懸念される中、勤労者の「セーフティーネット(安全網)」を拡充する必要があると判断した。


政府も安全網の整備を検討しており、具体策の第一弾となる。
金融機関が返済不能になった自己破産者に融資するのは異例。


具体的な制度設計は、全国に13ある各労働金庫に任せる。
原則として、会員以外の一般の勤労者も利用できるようにし、自己破産のほか、任意整理も対象とする。
審査により、ギャンブルなど遊興費が借金の原因の人は除外し、リストラや勤務先の倒産など経済的理由で自己破産した人に限定する考えだ。


会員向けのモデルケースでは、10年間で最高500万円の融資を受けられるプランなどを想定。非会員向けでは、5年間で最高50万円などを検討している。
無担保で、指定機関が債務を保証。
金利は会員向けが保証料込みで年8・75%、非会員が年8・875%となる見込み。


全国13労金は計670店あり、個人・団体合わせて約18万2700(昨年3月末)の会員がいる。
会員の出資金や総額15兆7500億円の預金を勤労者向け融資などで運用している。


貸金業法の規制強化では、年収の3分の1までしか借りられなくなる総量規制などが導入される。
ただ、改正法の認知度は低く、突然、借入ができなくなり、生活に困窮する「借金難民」が続出する懸念が指摘されている。


自己破産した場合、新規融資を受けられなくなったり、クレジットカードを作れなくなるケースが多いため、違法な闇金を利用し、さらに状況が悪化する恐れがある。
自己破産者融資などの安全網を整備しておけば、こうした事態を防ぎ、安心して生活再建に取り組むことができる。


安全網を検討している金融庁の「貸金業制度に関するプロジェクトチーム(PT)」が3月にまとめた試案でも、労金の役割に期待を示していた。