藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

金貸しの執念。

質屋を装ったヤミ金業者が台頭してきているという。
聞いてみればさもありなん、「入口は質屋」だが実体は「高利で年金を担保に取ること」だけを狙った業態のようである。
思えば生活保護とか、保険とか、常に「現金のあるところ」にそうした犯罪は巣くう。
実にその嗅覚や悪知恵の働き方はすごいものだが、それにしても「カネ」をめぐる周年には恐れ入る。

もう「それ」をせしめるためなら、いかなる工夫も厭わず、またいかなる邪悪な発想もできるのだろう。
つくづくそれが「表の世界」で生きれば大したものになると思うのだが、今の世の中は「そうした機会」を相当閉ざしていってしまっているのかもしれないとも思うのだ。

起訴され、服役したり執行猶予になったりした人の「更生の可能性」についてはよく話題になるけれど、もう少し広く「ビジネスの可能性」といった視点で、合法的な商売へも目が向くような、つまり「ベンチャー育成的」な視野の工夫か必要なのではないだろうか。
規制や取り締まりばかりでは息苦しいだけで、あまり前向きな発想にならないのは自分も学生時代に大いに経験したところである。

ヤミ金が「水面下」に潜らずに、表の世界で地域に根ざした「マイクロ金融」をやれる可能性はないのだろうか。
そりゃ突飛だろうが、そのために必要なインフラはどのくらいのものか。
実はそうした(融資)ニーズは前出の「老人の年金狙い」と同様に、今求められているものではないのか。

さらに、そうした借金をした人たちがどうすれば経済的に更生できるのか。
といったことまでを、ユーザーにも聞きながら検討すべきだと思う。
決して行き過ぎた者たちを、ただ取り締まっていても事態の根本的解決には至らない、ということをよくよく政治家には考えてもらいたいものだ。

ヤミ金が偽装質屋、年金狙い質草「何でもいい」

質屋を装った新手のヤミ金業者の活動が目立ち始めている。

 質屋の法定金利貸金業より高いことに目を付け、価値のない品を“質入れ”させて金を貸す「偽装質屋」。

 これまで警察に摘発された3業者だけでも貸付金額は計23億円にのぼっており、質屋の業界団体の調査でも約20の問題業者を確認した。高齢者を標的に年金を担保にとる業者もおり、警察庁が注意を呼びかけている。

 「質入れする品は何でもいいから……」

 鹿児島市内の60歳代の無職男性は、市内の「質屋」に電話を入れると店員からこう告げられた。「年金手帳だけ持ってきて」

 ビルの一室にある店舗を訪れ、自宅にあった安物の貯金箱を「質草」として渡すと、店員は鑑定もせずに受け取り、男性の年金受給額より若干少ない十数万円を渡したという。

 年金給付口座から店の口座に自動的に引き落として返済するよう店側に指示された男性は、その後、約30回にわたって計230万円を借りたが、新たな質草は求められなかったという。返済は元利合わせて約280万円にのぼった。

 今年2月、鹿児島県警は経営者の男を貸金業法違反(無登録)などの疑いで逮捕。経営者は「貸金業ではない」と言い張ったが、その後、容疑を認め、3月に略式起訴された。

 県警幹部は「質草に価値はほとんどなく、質屋を隠れみのにしていただけ」とみる。男は開業した2010年9月以降、約430人に約3億2000万円を貸し、4000万円の利益を違法に得ていた。

 警察庁によると、こうした偽装質屋は3年ほど前から確認され始めた。携帯電話のストラップや1000円前後の時計などを質入れさせ、数万円〜十数万円を貸す手口が特徴だ。国民生活センターも「相談はこの2〜3年で少なくとも150件はある」と指摘する。

(2013年5月2日17時57分 読売新聞)