藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

HMV、閉店。


HMVの閉店の報道に、60年〜80年世代の反応アツい。
(一方、90年以降はかなり無反応である)

みな一様にに「あのHMVが」とか「私はi-Tunesよりも店頭派だったのに」という声をよく聞く。

やはり、音楽は「アナログ派」が多いのだな、と改め思った。
思えばi-Tunesが格安でコンテンツのダウンロード販売を行うまで。
いや、ネット経由で「ダウンロード」という販売形式が成立した途端から、アナログのレコード店は「閉店の危機」に晒されたのである。


ただし、普及のための制度整備とか、インフラの環境整備とか、そんなことで「これまでの寿命」になったのだが、もともとその世代交代自体は、HMVをはじめとするアナログ店舗が真っ先に感じていたことだろうと思う。


思えば、世の中での「淘汰」とか「世代交代」はいつもそんな感じである。
「茹でガエル」とよく例えられるが、自らの存在を脅かす「危機的な存在」の発芽にも、自分たちは最初は反応が鈍い。
頭の隅でチラっと「やばいな」と感じていても、あえて大騒ぎをせず、平静を保とうとして、結果本当に対応に遅れてしまう、というのは多くの事例ではないか。

日常にある「変わり目」。


思えば、自分の生きてきた50年弱に、世代交代とか技術革新、というのは相当な数で発生している。
記録媒体では磁気カードから、フロッピーディスク、各種メモリーカードに、磁気テープ。
今はハードディスクにクラウドの時代である。


その間にカセットテープが主流の録音媒体だった時代は、テープ、cd、dvd、さらにその先へと移行している。
そんな「トレンドの変わり目」を敏感に感じる目を持ち、それに対応してゆくか、それとも「ままよ」と周囲の変化にあえてオタオタしないのか。


その、いわば思想的な「見極め」を我われ一人一人がする目を持たねばならないと思う。
HMV閉店は決して「急な出来事」ではないのである。
けれど、自分たちは日常「そのこと」からあえて目を逸らすような習性を持っているのである。


今ある現実が、一体どのような「先」を示唆するのか。
その一点については目を逸らしてはならない。
なぜなら、その「目を逸らした現実」は、いずれ「必ず自分の前にリアルに現れる」からである。

「ヤバい」と思った理屈は、いずれ「自分の前に立ちはだかる問題となる」。

本当にシリアスな問題にこそ、「光速」で対応する機敏さが問われると思う。
普段は寝ていても、ここ一番の対応力とは、そんな「生き延びるための生命力」のようなものなのである。

HMV渋谷」閉店−多くのファンらに見送られ20年の歴史に幕
みんなの経済新聞ネットワーク


 渋谷で20年間にわたり営業を続けてきた「HMV渋谷」(渋谷区宇田川町)が8月22日、閉店した。
シブヤ経済新聞

同店は1990年11月、英音楽・映像ソフト販売チェーン「HMV」の日本1号店として、Bunkamura通りの「ONE-OH-NINE」内に開業。
1998年7月に現在の渋谷センター街に移転し、計20年にわたり渋谷の地で営業を続けてきた。


7月から閉店に向けインストアイベントを企画し、今月19日からはカウントダウンイベントを展開してきた同店。

閉店当日の22日にはファイナルイベント「REGENERATION」を開催。
沖野修也さんや須永辰緒さん、DJ KAWASAKIさん、佐藤強志さん(BLACK EDITION)らがDJ出演したほか、オレンジ・ペコー、椎名純平さんらがライブを披露。

最後は、池田憲一さんのソロプロジェクト「ROOT SOUL」やピアニストや音楽プロデューサーなどで活動するSWING-Oさん、椎名さんらがセッションを行った。


最終日は、イベント客や買い物客で終日混雑が続いた同店。
23時過ぎ、センター街メーン通り側の入り口が閉められ、井の頭通り側の入り口のみを使い店内の客が退出するのを待つ。
23時30分ごろ、ファイナルイベント実現に向け多くのミュージシャンに声掛けしたDJ・音楽プロデューサーの沖野修也さんと、同店の池住則光店長が鏡開きを行った後、閉店を惜しむ一般客や多くの報道陣が見守る中、シャッターがゆっくりと下ろされた。


池住店長は「閉店の発表をしてから、毎日のようにお客さまからいただく『ありがとう』や『本当に残念』という言葉は当店スタッフの心の励みになった。足しげく通っていただいた方はもちろん、最終営業日まで毎日のように自発的にイベントを開催して下さったアーティストの皆さん、HMVをサポートし続けていただいた音楽関係者の方々など、本当に多くの方に支えていただいてやってこられた20年だと感謝の気持ちで一杯」とコメントを寄せる。


閉店の様子を見守っていた男性会社員(46)は「Bunkamura通りにあったころから利用していた。
アナログレコード店が集積していた『シスコ村』にレコードの買い出しに行くときに、コースでHMVも回っていた。
HMVは、ただ大きいだけではなく、アーティストをサポートしたり、多くのインストアイベントを開いたりするほか、『これはいいと思う』ものをスタッフが推す姿勢がPOPなどに表れていた。
発見があり、店全体がメディアになっていた。
こういう店は、これからもあり続けてほしかった」と残念そうな表情をにじませていた。


同じく女性会社員(31)は「小学生のころに店ができて以来の長い付き合い。
特に『渋谷系』の音楽が全盛のころはよく利用した。
HMV渋谷は、ムーブメントをつくり出す力があり、ニーズにいち早く応えることができた店。
時代を読む力より、つくる力の方が強かった印象。
ここは渋谷の象徴だと思っていただけに本当に寂しい」と話しながら、閉店の様子をカメラに収めていた。


HMVジャパン(港区)は、今月15日に「イオン上里店」、17日に「吉祥寺パルコ店」、19日に「イオンモール浜松志都呂」を閉店したほか、29日に川西モザイクボックス店」、31日に「キャナルシティ」、9月12日に「イオンモール名取エアリ店」、同20日に「イオンモール土浦」を、それぞれ閉店すると発表している。