asahi.comより。
流通業がすべて「コンビニ化」しているという話。
コンビニが、一時は頭打ちになったと言われつつも進化を遂げ、宅配や発券所とか銀行ATMとか、最近は「美味しいカフェ」なども標榜するようになった。が
さらにもう少し広い範囲を見てみれば「小売業全体」の進化がまだまだ進行中のようである。
スーパーが小型の「コンビニ型」の店舗を増やしているという。
「小さめの店内に生鮮食料品やお惣菜がある」のがコンセプト。
コンビニよろしくATMやコピー機も配備。
背景には"おひとり様の急増"と"高齢化"があった。
なるほど。
商売とはこうしてお客様に合わせていくものだ、と今更ながらに感心した次第。
そして「細かく」「高齢に」なる社会では「より近く、より小さく」という店舗の展開になっているようである。
やはり戦略というのは重要なものである。
さらに。
大手のドラッグチェーンも黙ってはいない。
ドラッグストアもコンビニ化するという。
日用品だけでなく弁当や総菜を充実させ、宅配便も扱う。
バトルロイヤル化するような、こうした小型スーパーの商圏はなんと「徒歩五分圏内」だともいう。
小売・流通の世界もついに「徒歩五分圏」の競争になったのだ。
お客は買い物の精算にレジで並ぶのを避け、より近く、より早いお店に向かうという。
それにしても東京は一人所帯がダントツに多く、なんと46%。
全国平均(32%)よりも44%も孤立化が進む都心で、壮大な暮らしの実験が始まっているような気がするのである。
首都圏スーパー、進むコンビニ化 単身・高齢世帯に照準
平井恵美、生田大介
2014年5月2日18時58分首都圏で、小型スーパーの出店が過熱気味だ。急増する一人暮らしや高齢世帯をねらい、各社は低コストで出せる「コンビニ型」など知恵をしぼる。迎え撃つコンビニは生鮮食品の品ぞろえを充実させている。消費者にとっては朗報だが、生き残り競争は熾烈(しれつ)だ。
■小型化・長時間営業
東京・品川の東急電鉄中延駅に4月9日、「フードステーション中延店」がオープンした。中堅スーパーの東急ストアがつくった初めてのコンビニ型店舗だ。広さは約190平方メートルとスーパーとしては小さい。しかし、店頭には野菜や果物が山積みにされ、棚には刺し身や肉、天ぷらなどがずらりと並ぶ。買い物に来た女性(79)は「商店街まで歩くのが大変だったので、こういう店ができて助かります」。店にはコンビニではおなじみのATMやコピー機もある。パートの長浜江美さん(43)は「買い物も公共料金の支払いも1カ所で済ませられ、使い勝手がいい」と話した。
同店は、半径約500メートルに5軒以上のスーパーがひしめく激戦区にある。電鉄系スーパーの強みを生かして駅直結のコンビニ型店舗で、高齢者や仕事帰りの単身者を取り込む作戦だ。将来は、こうした店舗を沿線の駅前や商店街に50〜100店舗まで増やしたい考え。
首都圏地盤のスーパーいなげやも1月、東京都清瀬市にコンビニ型店舗を初めて出した。歩いて来店する客を想定して駐車場はなし。従来の品ぞろえに加え、フライドチキンなどのファストフードやひきたてコーヒーも扱う。営業時間も朝6時〜深夜0時と長くした。
ドラッグストアも負けていない。大手のサンドラッグは昨年、都内にコンビニ型の「サンドラッグCVS」を2店出した。弁当や総菜を充実させたほか、宅配便も扱い、住宅街やオフィス街への出店を図る。
■小型スーパー増殖中
小型スーパー競争で先行したのは、2005年に産声を上げた「まいばすけっと」だ。小売り最大手のイオングループが運営する。昨年度だけで100店以上を出店し、じわじわと存在感が高まっている。150平方メートル前後とコンビニなみの広さで、売るのはほぼ食品だけ。4月中旬に都内の店を訪れると、ジャガイモ(5個)やバナナ(1房)、食パン(1斤)はいずれも税込み99円。豆腐は1丁50円、「第3のビール」は88円と安い。
客のターゲットを、徒歩5分圏内に絞る。ある店に人気が出てくると、近くに次の店を出す。「レジに人が並ぶようになり、客の利便性が下がるから」だ。
牛乳などはケースごと冷蔵棚に置き、店員が並べ直す手間を省いてコストを削減している。現在の店舗数は約450店だが、3年後には1千店を目指す。
食品スーパーのマルエツも、小型店「マルエツプチ」を56店展開する。上田真社長は「20年の五輪に向けて、東京はまだ人口が増える。早期に100店まで増やしたい」と話す。
一方のコンビニは、弱点だった生鮮品や総菜の強化に乗り出している。ローソンは2月、ミニスーパー型の「ローソンマート」の1号店を横浜市に出した。おなじみの青色ではなく、オレンジ色のロゴマークで目を引く。首都圏を含む3大都市圏で、今年度中に100店を出す計画だ。
■一人暮らしのニーズつかめ
首都圏で、コンビニ以外にも小型店が増えているのは、世帯あたりの人数が減っているからだ。都内の全世帯に占める一人暮らし世帯の割合は10年で46%と、全国平均の32%を大きく上回っている。10年前より5ポイントも増えた。
高齢化や核家族化も顕著で、都内の65歳以上の高齢者の一人暮らしや、高齢夫婦だけの家庭は計111万世帯にのぼり、10年前の1・5倍にふくらんでいる。働く女性も増えており、「家の近くで総菜などの食品を必要な時に少量だけ買いたい」というニーズが高まっている。
阪南大学の仲上哲教授は景気低迷による消費欲の減退も一因とみる。「買い物の量を減らすだけでなく、時間や労力も節約したい消費者に小売店が近づこうとしている」と分析する。
ただ、小型店は出店コストが低い分、生き残り競争も激しい。すでに首都圏はコンビニだけで1万5千店を超え、飽和気味との指摘もある。ローソンの玉塚元一社長は「小さい店で、売れ筋の商品を絞り込むノウハウは長年コンビニが磨いてきた。異業種は、なかなか追いついてこられないだろう」と指摘する。(平井恵美、生田大介)