藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

バーチャル地下鉄。


地下鉄に乗り、目的地に着くまで、乗り換え間違いをしないように本も読まず、ただ暗い景色を眺めている。
慣れない路線では、結構気を許してはいられない。
相当下調べをしたにも関わらず、真反対の方向の路線に乗っていることも稀ではない。
東京の公共機関は複雑である。
それはともかく。


昔から思っていた。
この地下鉄の「暗さ」。
何とかならないものだろうか。


そう遠くない将来。
表示装置が限りなく安価になり、限りなく広大な面積の表示が可能になったら。

都市部の地下を網の目のように這い回る地下鉄の路線すべてに「地上の景色」が与えられるに違いない。


景色の見えない中、今は地上のどの辺りかな、と想像することなく、街中の風景が映し出されるのはなかなか楽しいことだろう。
そう考えれば、何も地上の路面だけではない。空からとか、鳥の目線とか、高層ビルの上層階とか、これまでは有り得なかったビューが楽しめるようになるかもしれない。


ちょっと逸れるが、自分はこのような「表示装置の超大型化」がアナログ世界を変えるのではないか、と兼ねてから思っている。
地下鉄ビュー、の実現はちょっとムダな気がするが、「部屋の壁一面」くらいのディスプレイがあれば、本や洋服のウインドショッピングなどこれまでは今一つ、とされてきたデジタルのマーケットに革命が起きると思っている。
技術革新は「よほど決定的な」差がついたときに、さらに一気に進むのだと思う。


自宅の壁面が本屋の「売り出し棚」と同じだけの面積を確保した時に、ついにウェブはリアルを超えるだろう。
自宅に本屋がある、というのは限りなく衝動買いの欲望との戦いをも意味するから、なかなか大変かもしれないけれど。