逆境を解釈してみること
まずは"逆境"に遭ったときの大鉄則から。
監督をやって楽しいことなんてほとんどありません。孤独で試行錯誤と失敗の連続で辛いことばかり。でも、辞めるとやりたくなるんですね。僕は優秀な指導者ではないんですよ。世の中にはすごい指導者がいますから、謙遜じゃなく本当にそう思っています。もし僕に強みがあるとしたら、諦めない、投げ出さないことだけ。コツも何もありません。
王道なし。と。(ため息)
でもそう言われれば覚悟もできようというものか。
ねばれ。
そして逆境が「なぜ自分を訪れたのか?」を考える。
僕の経験から言うと、どんなに苦しい状態が続いても、それは必要なものなんです。逃げ出さないで必死にやっていれば、必ず次の高い場所が待っている。「以前のようなプレーができなくなった」と悩む選手たちにもよくこう言います。「何のために今、落ちていると思う? より高い所に行くためだ。高くジャンプするときほど深くしゃがむだろ。そんな低い所ばかり見ていてどうするんだ」と。僕のように上り下がりの激しい人生を送っていると、「この苦しい状況は、次のステップアップのご褒美が待っているな」とわかるんですよ。
「ご褒美が待っているな、とわかるんですよ。」
そう言い切ってもらうと有難い。
そういえば逆境は「何もしない者」にはやって来ない。
なにか「届かない物」へと到達しようとするからそいつはやってくるのである。
自分が動いている証拠なのだ、ともいえる。
さらに「そいつ」を前に、まるで悪あがきするようにでも、くんずほぐれつ格闘して踏ん張っていると、その先には大体においてご褒美が待っているという、まぁそれほど珍しい話でもないと思うが、そう言われてみると、なるほど、であった。
"すべての逆境は、ご褒美のために訪れる"
何と楽しいことだろう。
(つづく)
特別インタビュー 階段を一歩上るとき
2010年のワールドカップで日本代表をベスト16に導いた功績がまだ記憶に新しい岡田武史さん。98年のフランス大会では最終予選中に監督に就任してワールドカップ初出場を果たし、Jリーグの監督としても活躍。人間味溢れる指導者として「岡ちゃん」の相性で親しまれたが、バッシングにもさらされ、決して順風満帆とは言えなかった中、岡田さんはリーダーとして何を考え、どうチームを率いてきたのか。ビジネスパーソンが学び、実践できることを探る。
苦しい状況に陥るのは意味がある
監督をやって楽しいことなんてほとんどありません。孤独で試行錯誤と失敗の連続で辛いことばかり。でも、辞めるとやりたくなるんですね。僕は優秀な指導者ではないんですよ。世の中にはすごい指導者がいますから、謙遜じゃなく本当にそう思っています。もし僕に強みがあるとしたら、諦めない、投げ出さないことだけ。コツも何もありません。
僕の経験から言うと、どんなに苦しい状態が続いても、それは必要なものなんです。逃げ出さないで必死にやっていれば、必ず次の高い場所が待っている。「以前のようなプレーができなくなった」と悩む選手たちにもよくこう言います。「何のために今、落ちていると思う? より高い所に行くためだ。高くジャンプするときほど深くしゃがむだろ。そんな低い所ばかり見ていてどうするんだ」と。僕のように上り下がりの激しい人生を送っていると、「この苦しい状況は、次のステップアップのご褒美が待っているな」とわかるんですよ。
(つづく)