藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

著作権の共和国は作れるか。

自分で紙の書籍を電子化することが「自炊」と言われている。
動画に続いて、いよいよこちらも著作権の"表と裏"が出始めている。
なんとこの自炊の代行業者はすでに100社を超えている、というから「テキストの著作権」についてもそろそろ一定の閾値を超えて来たということかもしれない。

例によって「私的複製の範囲」を超えねば違法ではない。
だがデジタルデータの宿命で、"漏れ"を完全に防ぐことはできないだろう。

動画の後追い。

動画では、5年前くらいからyoutubeを始め、すでに議論は尽くされつつある。

結局、現行の著作権法で違法、とされる動画は、その権利者や出版社の努力によって「こまめに削除」されることにより、「違法投稿サイド」が主流にならないような流れになってきた。

そしてダークサイドではない「オープン・プラットフォームゆえ」のメリットを伸ばし、「メーカーやアーティストのプロモーションのチャンネルとしての地位」を築いている、といっていいだろう。

事実数年前に比べても、youtubeの動画の量や、画質・音質は飛躍的に向上している。
海賊ものや素人動画のアップされている「粗悪なサイト」というイメージはもうほとんどない。

自炊問題、もこれと同様の軌跡をたどれるかどうか。

何せ「テキスト情報」は動画に比べて歴史が古い。
流通しているコンテンツの量も動画に比べてけた外れに多いのである。

国籍の問われない「ネット市民」が、皆で著作権マナーを守ったテキスト文化を作れるかどうか。

ということがこれから問われる。
我われ一人一人のモラルが結果を決するだろう。

「自炊」は著作権法違反…東野圭吾さんら質問状
 東野圭吾さん、藤子不二雄(A)さんら作家、漫画家、漫画原作者計122人と大手出版社7社が5日、紙の本を裁断してスキャナーで読み取り、自前で電子書籍化する「自炊」の代行業者約100社に対し、著作権法違反の疑いがあるとする質問状を送付した。


 質問状は、名前を連ねた作家たちが自分の著書をスキャンする行為を許諾していないことを強調したうえで、〈1〉今後これらの作家の作品をスキャンするか〈2〉スキャン依頼者の使用目的をどのような方法で確認しているか〈3〉法人からの発注に応じているか――を尋ねている。16日までの回答を求めており、内容を見て今後の対応を検討するとしている。

 今回の質問状には浅田次郎さん、平岩弓枝さん、松本零士さんら人気作家、漫画家のほか、角川書店講談社、光文社、集英社小学館、新潮社、文芸春秋が名を連ねた。インターネット上で流通する「電子海賊版」の温床とも言われる自炊代行に対し、出版界を挙げて抗議の姿勢を示した格好だ。

(2011年9月6日01時32分 読売新聞)